関東大学選手権1234567計日体大14002029早 大00010001●廣瀬、伊藤、増田-川崎◇(二塁打)小野寺 ◇(三塁打)なし ◇(本塁打)なし 関東大学選手権(関カレ)もいよいよ最終日。大会の準決勝と決勝が行われるこの日、早大は絶…

関東大学選手権
日体大
早 大
●廣瀬、伊藤、増田-川崎
◇(二塁打)小野寺 ◇(三塁打)なし ◇(本塁打)なし

 関東大学選手権(関カレ)もいよいよ最終日。大会の準決勝と決勝が行われるこの日、早大は絶対女王・日体大と対戦することとなった。9月に行われた東京都大学連盟秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)で日体大に完敗して以来、待ち望んできた再戦の舞台だ。選手が口々に「日体に勝って優勝したい」と語る中で始まった決戦は、終わってみればまたも完敗。しかし、これまでのように「何が課題なのかも分からない」(川崎楽舞、スポ3=千葉・木更津総合)試合ではない。『歯車が噛み合えば勝機があった』と思える展開だっただけに、なおさら悔しさの残る敗戦となった。

 1回の表、日体大の攻撃。先発の廣瀬夏季(スポ3=北海道・とわの森三愛)はストライクゾーンの高低を活かした投球で2者連続三振を奪い、快調な立ち上がりとなるかに思われた。しかし、相手三番打者に初球を捉えられ、中堅方向に完璧な一発を浴びる。テンポよく2死を取っただけに、悔やまれる一球となった。反撃したい早大は、その裏1死から2番・遠藤真衣(スポ2=東京・日出)が技ありの左前打で出塁すると、捕逸で二進し好機をつくる。しかしここは3、4番が内野フライに打ち取られ、無得点で初回を終えた。
続く2回表には、連打で1死二、三塁なったのち、二ゴロの間に1点を追加される。その後相手9番打者に適時打を放たれたところで廣瀬はマウンドを降り、伊藤貴世美(スポ2=千葉経大付)にマウンドを託した。伊藤は「大会ではあまりない」と語る、回の途中からの登板。悪い流れを断ち切りたかったが、痛烈な打球を一塁手が処理しきれず内野安打となるなど不運が重なり、この回計4点を失った。


普段先発を務める伊藤は、この日は回の途中からの登板

 しかし伊藤は3、4回を無失点に抑える力投で、試合を立て直す。すると4回裏の攻撃で小野寺詩織(スポ2=千葉経大付)が右中間適時二塁打を放ち、1点を返した。なおも好機で打席には堀奈々美(スポ2=千葉経大付)。詰まった打球は遊撃手の前にポトリと落ちるかに思われたが、ダイビングキャッチに阻まれ、追撃はここまで。すると直後の5回、先頭打者に伊藤が一発を浴び、日体大に流れを引き戻されてしまった。なんとか反撃したい早大だったが、好機で打球が野手の正面を突くなど、運を味方にできず。決定機を逃す一方で、ミスから失点を重ねるという悪循環にはまり、気が付けばスコアは1-9に。接戦となっても不思議ではなかった試合は、不本意な大敗という結果に終わってしまった。


痛烈な打球が次々と飛んだ

 「本当に悔しい」。試合後、マスクを被っていた川崎はこう口にした。勝負所でミスを犯し、好機で美守に得点を阻まれる。歯車がかみ合えば勝機もあっただけに、なおさら悔いの残る一戦となった。しかし、だからこそ得られたものもある。「この試合で、何をすれば日体に勝てるのか分かった気がする、と言う選手も多くいる」(川崎)。改善点は、基本の徹底。「ノーミスで戦わなければ日体には勝てないけど、そこを冬で詰められればいい試合ができる」(川崎)。大会を通じて好調だった打線に、「良くなっている」と選手自身手ごたえを感じる投手陣。そこに堅い守りが加われば、チームに隙はなくなるだろう。今年度最後の公式戦は、ほろ苦い結果となった。悔しさを力に変えるべく、早大は鍛錬の冬に向かう。

(記事、写真 望月優樹)


コメント

川崎楽舞(スポ3=千葉・木更津総合)

――日体大の投手を打つ上で、難しかったのはどのような点でしたか

打てない、と思うようなボールはなかったです。だからなんで打てなかったのかというところを詰めると、もっと考えて打席に立っていればワセダのバッターの実力でも点数を重ねられるピッチャーだったかなと思います。自分たちが(打線の)つながりを意識できていなかったことと、相手のムードに押されたことが反省点として残っていて、「自分のバッティングができなかった」というのは全員の感想だと思います。

――今までの一方的にやられる展開とは違った試合のようにも見えました

はい、そんな感じでした。私はキャッチャーだったので、日体大のバッターとも(距離が)近かったんですけど。野手のエラーで取られた点数が5点なので、1ー9の試合だったんですけど、ミスがなければ本当は1ー4の試合だったかなと思っていて。実力で取られた点数が4点だとすれば、逆に考えれば4点に抑えられたということで、こっち(ワセダ)にいるピッチャーのレベルの高さを再認識した試合でもありました。ノーミスで戦わなければ日体大には勝てないという厳しさも改めて認識したんですけど、でもそこを冬で詰めることができれば、かなりいい試合ができるんじゃないかって。だから、いい反省も得られた試合だったかなと思います。

――今大会、堅実な守備を誇っていたワセダが日体大戦では失策が目立ちました。日体大戦特有の緊張感などもあるのでしょうか

そうですね。それか、みんなが予想していたような(痛烈な)打球が案外来なかったというギャップもあるのかなと自分は思っています。外野の間を痛烈にいかれるのが今までのパターンだったので、スコアは変わらないかもしれないけど、意外に内野ゴロが多かったり。私としては内野の準備不足もあったかなという風には感じて、今までできていたことのミスが日体戦で出てしまうのは、まだまだ私たちの甘いところだなと思います。

――今大会の投手陣の総括、秋季リーグ戦からの変化などはありますか

基本的には3人とも、吉村先生(正監督、昭44教卒=京都・平安)からアドバイスをいただいて、ドロップでまとめようと。廣瀬は元々ドロップピッチャーなのでさらに磨きをかけて、とにかく低めに集めること。伊藤は(ストライクゾーンの)上が使えるので、ライズを含めて対角で勝負すること。増田は元々ある速いストレートと、あとはコースにしっかり投げること。そういう細かい調整を秋リーグからしてきたので、まだまだ反省するところは多いんですけど、今までやってきたようなミスをすることはなくて。(自分は秋の)日体戦でパターン化した配球とかもしてしまっていたので、そういうところも考え方を変えました。

――今年度の公式戦がこれで終わりました。来季、川崎選手は最終学年となります。そこに向けた意気込みをお願いします

正直今、本当に悔しくて。なんとしてでも勝ちたいという思いなんですけど、でも気持ちだけが先走っても何もできないので、とりあえず目の前のものを潰していかなければいけないと思います。今までは何が課題かも分からなかったというか、負けているのに収穫がそんなに無いという試合もあったんですけど、きょう日体と戦ってみんなから「何をすれば日体に勝てるのか分かった気がする」という声がかなり聞こえてきてるので。あとは吉村先生のミーティングで「基本中の基本をもっと詰めよう」という話をしたので、その2点を、自分もそうだけどチームとしても、課題として取り組んでいきたいと思っています。

伊藤貴世美(スポ2=千葉経大付)

――本日の投球を振り返っていかがですか

(きょうは試合の)途中からの登板で、前回までは初回から大量得点を取られたり、自分はあまり、日体戦で抑えられたいい記憶がなくて。きょうは自分のスタイルで投球ができていた印象ではあるんですけど、結局一番点を取られてしまったので……。そこはやっぱり、点を取られないように投げないといけないな、というのが一番の思いです。

――イニングの途中から登板することになりました。そのような経験はこれまでありましたか

今までは「この回から投げる」という感じだったんですけど、きょうは「一巡したあと」という感じだったので。大会では(回の途中からの登板は)あまりないかな、という感じです。

――2イニングを無失点に抑える投球もありました。その部分は振り返っていかがですか

前まではホームランを打たれるイメージとかがあったんですけど、(日体大が)新チームで、(自分の状態が)上がってきているというのもあったので。あまり苦手意識なく(試合に)入れて、「自分の投げたいボールを投げられれば抑えられるかな」という気持ちでいきました。

――一発を浴びたのはどんな球でしたか

外のライズで、ワンボールから安易に(ストライクを)取りにいってしまったところを持っていかれたので、あそこはすごく反省です。

――新チームとなった日体大打線も、やはり長打の出るチームという印象ですか

そうですね。ランナーを溜めないことが大事で、ランナーが溜まってからの一発が本当に怖いので。ツーアウトまでしっかり抑えて、打つバッターもヒットで止めるという感じで、最少失点で抑えなければいけないと思います。

――冬の間にレベルアップしたい点や、来季への意気込みをお願いします

自分は速度がないので、冬の間に球速をアップしたいというのと、変化球も継続して(練習して)いくこと。今年は東日本とか春リーグみたいな(冬)明けが良くなかったので、今年はしっかり下積みをして、もっとパワーアップして、今度はゼロで抑えられるようにやっていきたいと思います。