ロジャー・フェデラー(スイス)とアンディ・マレー(イギリス)がウィンブルドンの決勝に迫りつつある。 7度にわたってウィンブルドンを制したフェデラーは、34歳にして8度優勝という最多記録により、歴史に名を刻むことを目指している。 一方、2…

 ロジャー・フェデラー(スイス)とアンディ・マレー(イギリス)がウィンブルドンの決勝に迫りつつある。  7度にわたってウィンブルドンを制したフェデラーは、34歳にして8度優勝という最多記録により、歴史に名を刻むことを目指している。

 一方、29歳のマレーは2013年の優勝で、1936年のフレッド・ペリー以来のウィンブルドンにおけるイギリス人チャンピオンになった。

 このふたりは、ドローのトップハーフにフェデラー、ボトムハーフにマレーがいるため、対戦するならば日曜日の決勝で顔を合わせることになる。  「もう一度ウィンブルドンで優勝できるよう祈るよ。そうできればいいんだが」とフェデラー。彼は2012年の決勝でマレーを破っている。 これは控えめな表現と言えるだろう。

 ピート・サンプラス(アメリカ)と1880年代の選手、ウイリアム・レンショー(イギリス)は7度ウィンブルドンで優勝したが、8度優勝した選手はこれまでひとりもいない。グランドスラム大会のどれかでこれほど多くの優勝をやってのけた人物は、ラファエル・ナダル(スペイン)のみだ。彼は全仏オープンで9度優勝を遂げている。  第3シードのフェデラーは準々決勝で第9シードのマリン・チリッチ(クロアチア)と対戦し、第2シードのマレーは第12シードのジョーウィルフリード・ツォンガ(フランス)を待ち受けている。

 もしフェデラーが勝てば、彼はウィンブルドン準決勝進出が11回という、ジミー・コナーズ(アメリカ)が持つ記録と並ぶことになる。  そのほかに行われる準々決勝は、第6シードのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)が第28シードのサム・クエリー(アメリカ)と、そして2010年準優勝者で第10シードのトマーシュ・ベルディヒ(チェコ)は22歳で第32シードのルカ・プイユ(フランス)と対戦する。

 クエリーは3回戦で、ディフェンディング・チャンピオンでグランドスラム連勝記録を更新中だったノバク・ジョコビッチ(セルビア)を倒して勝ち上がった。  水曜日に行われる男子シングルス準々決勝の顔合わせは、以下の通りだ。 ●フェデラー(スイス)vs チリッチ(クロアチア)

 フェデラーが5勝1敗でリードしているが、その1敗は今でもフェデラーに痛みを与えている。チリッチは2014年の全米オープン準決勝でフェデラーをストレート(6-3 6-4 6-4)で下し、それが、ふたりが対戦した最後の機会となっている。

 「ああいうことは起こる。コートから弾き飛ばされるのは構わない。ただ僕はあの試合で、決してのびのびとプレーすることができなかった。しかし、それはビッグサービスと強烈なリターンを打ち続けた彼の手柄でもある」とフェデラーは振り返った。

 チリッチはそのニューヨークの大会で、初めてのグランドスラム優勝を遂げた。彼は今、初のウィンブルドン準決勝進出を目指している。 ●マレー(イギリス)対ツォンガ(フランス)

 ツォンガは2度ウィンブルドン準決勝に進んだことがあり、そのうちのひとつ、2011年大会では準々決勝でフェデラーを倒している。  しかしながらマレーはツォンガとの過去12回の対戦のうち11回でツォンガを破っており、そのうち2試合がグラスコート上でのものだった。

 「ツォンガが世界最高峰のグラスコート・プレーヤーだということは知っている」とマレー。

 マレーのウィンブルドン準々決勝での勝率は6勝2敗だ。彼はまた、次のように続けた。 「もし彼がいいプレーをし、僕がベストの力を出せなければ、間違いなく僕は負けるだろうね」。 ●ラオニッチ(カナダ)対クエリー(アメリカ)

 クエリーはキャリア初のグランドスラム準々決勝に進出し、その道のりの3回戦では世界1位のジョコビッチを倒して生涯最高の大会をプレーしている。

 「クエリーは素晴らしいプレーをしているんだろう」とラオニッチは言った。彼は第11シードのダビド・ゴファン(ベルギー)に対して最初の2セットを落としながら、そこから巻き返して準々決勝に勝ち上がった。

 「彼はまた、ほかのプレーヤーたちにプレーする準備は万端だというメッセージを送ったんだ」とラオニッチは言う。  クエリーは、2012年のウィンブルドン2回戦でラオニッチを倒している。当時のラオニッチは、まだ21歳の若手だった。2014年のラオニッチは初めてウィンブルドンの準決勝に進出し、そこでフェデラーに敗れた。 ●ベルディヒ(チェコ)対プイユ(フランス)

 ベルディヒは準々決勝進出者の中で、試合前に丸1日の休みをとれなかった唯一の選手だ。同胞のイリ・ベセリ(チェコ)に対する4回戦が日没順延となり、火曜日に試合の続きを戦うことを強いられたからである。  「回復(調整)という点から言えば、1セットをプレーするのが適切だったと思うよ。練習したようなものだ」とベルディヒ。「毎日プレーするのには慣れているしね。毎日一歩一歩進み、ここまでのところ問題なくやっているよ」。  一方、22歳のプイユがグランドスラムの2週目でプレーするのは初めてのことだ。大会前の彼のグラスコートでの戦績は0勝4敗だったが、今それは4勝4敗となった。

 「大会前の僕の目標は芝の上で1勝することだったんだ」とプイユ。とはいえ、彼はこのところの成長によって、注目を集め始めていた選手である。(C)AP