Tリーグの開幕で卓球界に大きな注目が集まる中、学生卓球界でも熱戦が繰り広げられている。学生ナンバーワンの座を懸けた全日本大学総合選手権個人の部(全日学)が開幕したのだ。競技初日のきょうはダブルスの準々決勝までとシングルスの1回戦が行われ…

  Tリーグの開幕で卓球界に大きな注目が集まる中、学生卓球界でも熱戦が繰り広げられている。学生ナンバーワンの座を懸けた全日本大学総合選手権個人の部(全日学)が開幕したのだ。競技初日のきょうはダブルスの準々決勝までとシングルスの1回戦が行われ、早大からはダブルスに計7組が出場し、女子2組男子1組がベスト4進出を決める好スタートを切った。

 女子ダブルスではグランドスラム達成に大きく貢献したレギュラーペアが順当に勝ち上がった。阿部愛莉(スポ4=大阪・四天王寺)・徳永美子(スポ4=福岡・希望が丘)組は実力の差を見せつけてストレート勝ちでベスト16まで勝ち上がると、ランク入りが懸かった4回戦ではカットマンを擁するペアと対戦。鋭い下回転のカットでシード選手を苦しめて勝ち上がってきた相手であったが、百戦錬磨の阿部・徳永組は冷静にボールを見極め冷静に対処した。結局全く相手を寄せ付けずに準々決勝へ進むと、準々決勝では激しいラリー戦でフルセットの接戦となるものの、終盤にポイントを重ねて勝利し、見事ベスト4進出を決めた。また、全日学初出場となった笹尾明日香(社1=神奈川・横浜隼人)・岩越帆香(スポ1=福岡・希望が丘)組も圧巻のプレーでベスト4へ。ランク入り決定戦で6月の関東学生選手権で敗れた日大のエースペアと対戦した笹尾・岩越組は、最初のセットこそ奪われたものの、2セット目以降自分たちで立て直し、強気の卓球を見せて見事に逆転勝利を収めた。準々決勝ではなんとストレートで勝利し、初めての全日学の舞台でもリーグ戦と変わらぬ堂々としたプレーを見せた。


初めての全日学で躍進した笹尾(右)・岩越組

 男子ではエースペアの硴塚将人主将(スポ3=東京・帝京)・緒方遼太郎(スポ2=東京・帝京)組が全国の舞台でも実力を十二分に発揮した。大会前には、ダブルスでは優勝することができる実力があると思うと硴塚が自信を覗かせていたように、ペア結成から1年あまりで初めてのタイトルを目指して試合に臨んだ二人。初戦となった2回戦では動きが硬くミスを連発するなどらしくないプレーも見られたが、すぐに修正し危なげなくトーナメントを勝ち上がった。ランク入り決定戦でも相手を寄せ付けず、迎えた準々決勝では第3シードを破って勝ち上がってきた千葉・中村組(埼玉工大)と対戦。序盤は不運な失点もあって流れを失い、相手のペースで2ゲームを連取されてしまう。しかし、「台から下がりすぎないように」(硴塚)というコーチのアドバイスのもと、台の近くで早い展開のラリーに持ち込むと一気に流れは硴塚・緒方組へ。2ゲームを取り返して最終ゲームではさらに理想的なプレーを見せる。「良い時にはどちらかが前でカウンターをできている」と緒方が語るように、二人のどちらからでも鮮やかなカウンターで相手を押し込み、終始攻め続けて勝利を収めた。目標の全国タイトルまではあと2勝。ここからはどのペアも実力差はほとんどなく、より強い気持ちで向かったペアに軍配が上がるような戦いとなるだろう。男子部不動のエースペアは栄冠をつかめるか、明日の戦いに注目が集まる。


逆転で準々決勝を突破した硴塚(左)・緒方組

 明日はダブルスの決勝までとシングルスのランク入り決定戦までが行われる。ダブルス準決勝では、硴塚・緒方組はリーグ戦で完敗を喫した相手へのリベンジを狙い、女子ダブルスは阿部・徳永組と笹尾・岩越組の同士討ちとなる。3組とも初めての全日学のタイトルへ向けて持てる力を全て出し切ってほしいところだ。そして、シングルスでは昨年度を超える人数のランク入りに期待がかかる。

(記事、写真 吉田寛人)

結果

▽男子ダブルス

2回戦

○硴塚・緒方組3―1猪俣・芦刈組(西日本好工大)

○川上・福田組3―0芝田・松出組(西日本工大)

●平野・五十嵐組2―3馬渡・佐藤組(朝日大)

3回戦

○硴塚・緒方組3―0佐藤・盛武組(法大)

○川上・福田組3―2菅沼・西組(明大)

4回戦(ランク入り決定戦)

○硴塚・緒方組3―0柏・吉田組(中大)

●川上・福田組0―3吉村・木造組(愛工大)

準々決勝

○硴塚・緒方組3―2千葉・中村組(埼玉工大)

▽女子ダブルス

1回戦

●伊藤・須黒組0―3宮脇・秋山組(関学大)

2回戦

○阿部・徳永組3―0竹田・光根組(関学大)

○笹尾・岩越組3―0澤田・田熊組(近大)

○鎌田・金子組3―0北野・寺嶋組(中京学院大)

3回戦

○阿部・徳永組3―0寺門・小林組(国学院大)

○笹尾・岩越組3―0阿部・小島組(国学院大)

●鎌田・金子組2―3小村・畠山組(東京富士大)

4回戦(ランク入り決定戦)

○阿部・徳永組3―0朝田・塩見組(同大)

○笹尾・岩越組3―1小室・奥下組(日大)

準々決勝

○阿部・徳永組3―2伊藤・瀬山組(中大)

○岩越・笹尾組3―0上田・松本組(愛工大)

▽男子シングルス

1回戦

○葉波3―0大西(関学大)

○川上3―1楊(関学大)

▽女子シングルス

1回戦

○林3―1堀口(東北福祉大)

○澁谷3―2佐々木(富士大)

コメント

硴塚将人主将(スポ3=東京・帝京)、緒方遼太郎(スポ2=東京・帝京)

――準々決勝ではシードを破って勢いのある相手との対戦でした

硴塚 リーグ戦では勝った相手だったのですが、その時も点数はすごく競っていたので、そう簡単にはいかないだろうなとは思っていました。

――逆転勝利できた要因は何だと思いますか

硴塚 1セット目はリードしていながら逆転で取られて流れが悪くなってしまって、ついていないようなポイントとかもあったのですが、0-2になってから、コーチに台から下がりすぎないようにというアドバイスをもらったので、できるだけ前につくようにしたら少しずつ攻めていくことができてました。5セット目は自分たちからどんどん攻めて点数が取れたので、そこが勝因かなと思います。

緒方 自分たちが良い時にはどちらかが前でカウンターをできているのですが、準々決勝では消極的になって下がってしまったんですけど、そこをうまく修正できたかなと思います。

――明日の準決勝に向けて意気込みをお願いします

硴塚 明日は朝一の試合ということで少し厳しいのですが、コンディションをできるだけ整えて、試合の入りからきょうの最後のゲームのようなプレーができるように頑張りたいと思います。

緒方 リーグ戦で0-3で負けた相手なので、良いプレーをして勝てるように頑張ります。