これから勝ち上がっていくためには、4年生だけではなく下級生の活躍も必須だ。オフェンスが有利といわれるこのラクロスという競技において、ディフェンスが強いということはすなわち、チームが強いということだと言っても過言ではないだろう。連載第2回は…

 これから勝ち上がっていくためには、4年生だけではなく下級生の活躍も必須だ。オフェンスが有利といわれるこのラクロスという競技において、ディフェンスが強いということはすなわち、チームが強いということだと言っても過言ではないだろう。連載第2回は、ディフェンス陣の中で活躍が期待されるG勝本勇人(社3=東京・早大学院)、DF中島大介(社3=東京・早実)、DF平塚弘喜(政経2=東京・早大学院)、DF奈須由樹(文2=東京・早実)に、これからの戦いへ向けての意気込みを伺った。

※この取材は10月17日に行われたものです。


今年のチームや4年生についての話も伺えました!

「どこでも(相手のボールを)落とせる」(勝本)

――関東学生リーグ戦(リーグ戦)ブロック戦を終えていかがですか

勝本 自分は出られない試合も多かったんですけど、最初の試合の千葉大戦は結構いい感じで入れて良かったと思います。でもどんどん僅差の試合が続いてきて、思うようにいかない部分が多かったです。ファイナル4に向けて練習しているので、自分は出る機会が少ないと思うんですけど、チームに貢献できるように頑張っていきたいと思います。

中島 千葉大戦でスタードダッシュがよく切れて、20−6の大差で勝てて、しっかりワセダの強さというのを見せられたと思います。でもそこから法政、中央、成蹊、立教と続いていく中で、法政で課題が浮き彫りになって、中央が結構危ない試合で、その後海外遠征で成長したはずだったんですけど、成蹊にもそんなに圧勝できていないし、立教は引き分けだったので…。このリーグ戦を通して課題が分かったり、ギリギリの戦いができたのはいい経験だったかなと思います。

平塚 自分は2年生なので今年が初めてのリーグ戦で、一応全試合に出させてもらったんですけど、個人的には思っていたよりもできた部分の方が多かったです。ただ個人的にもチーム的にも課題が浮き彫りになったかなと思います。特に立教戦は最後引き分けてしまって、そこでは課題が多く出たと思うので、来週からファイナル4が始まりますけど、それまで合宿もありますし、どこまで突き詰めて課題を克服できるかが勝負だと思います。

奈須 自分も初めてのリーグ戦だったんですけど、ケガ人もいて意外と出場機会に恵まれたというか、予想以上に出せてもらえて、その上で割と結果も残せたのかなと思います。でもまだまだ先輩と一緒にプレーするには物足りないなと思うところが自分には多くて…。最初の開幕戦に比べれば最後の立教戦は個人的には成長できたと思うので、このまま一試合一試合成長していけたらなと思います。


数々のビックセーブで窮地を救ってきた勝本

――特に印象に残っている試合はありますか

中島 僕は中央戦かな。結果からしても12−11の結構緊迫した試合で、盛り上がった試合でした。いいプレーだったり悪いプレーがいっぱいあって、そこで一回気持ちをリセットできたし、いろいろ振り返ることができる試合だったなと思っています。

平塚 僕は立教戦が一番印象に残っています。出場時間が長いというのもそうですし、自分的にもできたプレーとできなかったプレーが大きく分かれた試合だったので、すごく印象に残っています。

勝本 僕が印象に残った試合は中央戦です。シーズン当初からAチームでやらせていただいていて、ずっと早慶戦(早慶定期戦)も少しだけど出していただいたり、千葉大戦も出していただいたりしたんですけど、中央戦で4年生の小川先輩(G、スポ4=埼玉・早大本庄)と入れ替わりでベンチ外になってしまって、上から見ていました。中島くんとかが出ている中自分は上から見ていて、一番苦しい展開の試合でチームの戦力になることができなかったのが悔しくて、印象に残っています。

奈須 自分は点を取ったので成蹊戦で。

中島 出たよ(笑)。

平塚 自分でミスして見せ場を作ったんだよね(笑)。

奈須 アメリカで教わった切り替えと判断というのを生かせました(笑)。第4クオーター(Q)の開始2分で点を決められたのでよかったです。

――個人のプレーの出来としてはいかがでしょうか

平塚 僕は今年のコンセプトである『攻めるディフェンス』という中で考えると、死角から飛んで相手のボールを奪ったり、いろいろな奪う方法があるんですけど、その中で自分が心掛けている奪い方で相手のボールをいくつか奪うことができたので、そういったところは練習の成果が出たと思います。でも基礎的な部分が自分的には足りなかったなと思っているので、それがこれからの課題として詰めるべきところなのかなと思っています。

中島 やっぱり成長できている部分もあれば、たくさん課題も見えてきているので、成長しつついろいろな課題を改善しなきゃいけないなと思います。

勝本 自分はシーズン当初は自分の中ではあまりよくなくて、その結果中央戦で(メンバーから)外されてしまったんですけど、そこからアメリカ遠征に行ってまだまだ自分を振り返ることが多かったので、帰ってきてから成長したことによってシーズン終盤にかけて自分の調子を取り戻していくことができたかなと思います。

平塚 本当にすごいんですよ、勝本さんは。

勝本 上げられるとちょっと恥ずかしい(笑)。

奈須 自分は最初の3試合はすごく調子が良かったんですけど、アメリカ遠征に行って、アメリカのやり方を取り入れたら調子を落として…。あんまり最後の2試合は…。特に成蹊戦は調子が良くなかったです。今はアメリカのやり方と自分のやり方をよく考えて、いい感じで調子は上がってきているかなと思います。


積極的な攻撃参加で特点も狙う奈須

――お互いにどんなプレイヤーか紹介していただけますか

平塚 じゃあ奈須くんについてですね。奈須くんについては色々諸説あるんですけど(笑)。僕は結構頭がいいというか、彼的にはあんまり勉強の方はできないんですけどラクロスのIQは高くて…。僕も頭いいんですけど、波長が合います。

中島 まあ怖いよね、奈須くんは。

勝本 怖いよね。

中島 みんな言っているよね。

奈須 おかしいな…。

勝本 雰囲気とかだけじゃなくて、プレーも怖いんだよね。

中島 結構感情に左右される感じがあります。

勝本 もう身を任せているよね、感情に。

中島 でも影の努力家だなと思います。(家で)壁当てできないのでわざわざ朝早く来て練習しています。

勝本 1年生のときはネット打ちしていたしね。向上心高いよね。

中島 (奈須は)そんな感じです。

平塚 勝本さんは、自分は高校時代からの先輩なのですごく親しく優しくしてもらっていて、本当に見た目の通り優しくていつも僕たちのことを考えてやってくれています。ゴーリーは本当にディフェンスの最後の砦(とりで)なので、僕らがどんなミスをしても最後は勝本さんが止めてくれます。

勝本 初めて言われたわ(笑)。

平塚 勝本さんにお任せしていれば何とかなるというような気持ちで、自分たちも気軽に攻めるプレーをさせてもらっているので、本当に感謝しています。

中島 (勝本は)まあ優しい。彼女思い。イケメンで彼女大好きなので…。幸せだな、これは(笑)。それくらいかな。

勝本 中島さんはちょっと言いづらいよね。怖いから(笑)。

中島 でも奈須とはちょっとタイプ違うよね。

勝本 奈須はプレーが怖い。中島は…。

平塚 中島さんは、ラクロスのことをよく分かっています。去年から出ていることもあって、僕らによくディフェンスのことについて教えてくれるんですけど、ちょっと変わっているというか、結構僕に当たりがきついので…。

中島 平塚とは結構バチバチしてるよね(笑)。

平塚 それがコミュニケーション方法でもあるので、全然(気にならないです)。あとは周りをよく見ています。

勝本 意外とね。

平塚 こう言うといい印象ばっかりだな…。よく女の子を見ていますね(笑)。そこらへんの視野も広いです。ちょっとニヤニヤしています。

勝本 プレーも視野が広いです。だいたい周りのことを分かっています。頭がいいよね。

平塚 相手のプレイヤーのことを見ながら、相手のマネージャーのことも全部見えています(笑)。

勝本 平塚は…。

平塚 僕はもう見た目のままで、すごく優しくて、体は大きいんですけど、見た目のギャップがあってすごく人思いというか…。フレンドリーで誰にでも優しく接していて…(笑)。

勝本 自分で言うのかよ(笑)。

奈須 平塚も意外と一途だよね。彼女思い。

中島 プレー面では、ガタイの割には意外と技術もあるんだなという感じです。

勝本 意外とデカいだけじゃない。

平塚 ギャップは大事だと思うんですよね。

一同 (笑)。

――目標や参考にしている先輩はいますか

平塚 僕は4年生の本田丈武さん(DF、政経4=東京・早大学院)です。ラクロス面でも、プライベートでもしっかりしている方なので、すごく参考になるというか、尊敬できる先輩です。いろいろなところに気を配れるし、自分をしっかり追い込むこともできる方なので、すごく尊敬しています。

中島 僕は早実サッカー部の直属の先輩である高橋健太さん(DF、社4=東京・早実)です。切り替え・判断リーダーという役職についていて、そういう面では特化しているので見習っていきたいなと思っています。

勝本 僕が尊敬している先輩は、ゴーリーの西谷さん(G西谷光平、社4=東京・早実)なんですけど、西谷さんはプレーがうまいことはもちろんなんですけど、後輩思いですごく教えてくれるんです。自分だけじゃなくて、他の(早大内の)チームの人にも教えていて、とても尊敬できる先輩です。

奈須 自分は石関さん(DF石関航平、商4=埼玉・早大本庄)なんですけど、一対一の形がすごくきれいなので参考にしているのと、DFリーダーなので、2年後僕も同じ立場になったときに…。チームのメンタル的な部分とかすごくよく見えているし、自分で自分をよくコントロールできているので、尊敬しています。

――皆さんから見た今年の4年生はどんなカラーですか

勝本 我が強い。個々がはっきりしているというか…。

中島 それ去年も言ってた気がする。

勝本 去年よりも強いよね。圧倒的に強い。

中島 去年に比べたら真面目というか…。量をこなしているというか、チームで勝つためには何をしなければならないかというのをそれぞれ考えていて、いいチームだと思います。

平塚 僕は去年の4年生のことはあんまり分からないんですけど、グランドスラムした代ということもあってうまい人も多い中で、そのうまい人同士が話し合って全体としてのプレーの質が高くなっているのがすごいなと思っています。それができているのがラクロスに対して真面目に全員が取り組んでいるからなので、そう考えるとキャプテンの後藤さん(MF後藤功輝、政経4=東京・早実)が本当にすごいキャプテンなんだなと思います。ここは太文字でお願いします(笑)。

勝本 自分が4年生を見て思うのは、ラクロスに向き合う姿勢がすごいなと思っていて。去年からオフェンス陣が強いと言われていて、今年の代は負けるならディフェンスのせいだと言われていたんですけど、そんな中DFリーダーの石関先輩がチームをまとめあげてくれたことによって今六対六とかをやってもディフェンスが優位な日があって、チーム力が高まっているなと感じています。

奈須 雰囲気作りがいいというか、A(チーム)は怖いんですけど、BC(チーム)の下級生とかが割とチームでいきいきできていています。去年は割とBCが怖かったんですけど…。

中島 去年のBは怖そうだったな。

勝本 Bは本当に怖かった。

奈須 今年はみんな楽しそうにのびのびとできていて、羨ましいなと思います。

勝本 お前ものびのびやっているだろ(笑)。


サイズを生かした守備だけでなく器用さも見せる平塚

――今年のディフェンス陣はどんな特徴がありますか

中島 去年は黒瀬さん(黒瀬聡志、平30政経卒)、丸山さん(丸山将史、平30政経卒)というすごくうまくて強い2人を中心に守っていたんですけど、今年は全員で奪うということをコンセプトにやっていて、誰に頼るというよりも総力戦という感じです。1人も欠けちゃいけないような感じです。

平塚 去年のことはわからないんですけど、今年はやっぱりリーダーである石関さんを中心に、4年生だけで作っていくような感じではなく、下級生も多くAチームでやらせてもらっています。下級生を合わせた全体としての、組織としてのディフェンスができていて、そこはやっぱりリーダーである石関さんの力があってこそだと思うので、本当に去年に比べて下級生の意見が反映されたりだとか、全員でディフェンスをしているなと感じます。

勝本 中島くんも言ってくれたんですけど、去年はうまい2人の人が中心となってやっていたんですけど、今年はバランスがいいなと思っています。去年は人によっては集中的に狙われたりしていたんですけど、今年はみんなレベルが高いので狙いどころがなくて、どこでも(相手のボールを)落とせるというのが強みかなと思います。

奈須 みんなが言ってくれた通りです。ボックスのディフェンスがダレていてもある程度のディフェンスはできるというか、それが今年のいいディフェンスかなと思います。

「借りを返さないといけない」(中島)

――Aブロックを勝ち上がってきた慶大と東大の印象を教えてください

中島 ケイオーは今年の早慶戦は圧勝して勝つことができたんですけど、去年とかは、早慶戦は引き分けで、開幕戦で圧勝して、ファイナルは負けてしまって、どんどんシーズンを通して強くなっていくチームだと思っています。(今年の)早慶戦で勝ったからといって気を抜けるチームではないので、しっかり謙虚な気持ちを持ちつつ全力でやっていきたいと思います。

勝本 東大はシーズン当初六大戦で負けたり、結構悔しい思いをしてきた相手です。東大のイメージとしては、かなり守備が固くてなかなか攻め切れないという感じなんですけど、自分たちは15点取って勝つという点の取り合いを目標にしていて、その中で(ディフェンスの固い)東大をどうやって落としていくかが課題として取り組んできています。その課題をクリアして勝っていきたいと思います。

中島 オフェンス頑張ってという感じだな。

――勝ち上がっていくために必要なことは何だと思いますか

平塚 ファイナル4、ファイナルと、ブロック戦に比べて相手のレベルも上がりますし、本当に大事な試合なので、劣勢になったときにどれだけ自分たちが質の高いパフォーマンスを出せるかというところが大事です。技術面もそうですし、メンタル面でも強くやらなきゃいけないなと思います。


チーム屈指のラクロス知識と視野の広さを有する中島

――キープレイヤーを挙げるとしたらどなたでしょうか

奈須 本間さん(MF本間陽介、商3=東京・麻布)です。最近Aに上がってきたDMFの選手なんですけど、すごくショートディフェンスが強くて、多分他大と比べても一番強いんじゃないかというくらい強いです。DMFが活躍してくれると、ロング(スティッククロス)は楽なので、本間さんの活躍を期待しています。

勝本 自分の注目している選手は小野泰輔くん(MF、社3=東京・早実)です。奈須が言った本間くんと同じDMFなんですけど、やっぱりDFとしてはDMFが強いとかなり守れて攻撃につなげる機会も増えてくると思うので、ショートディフエンスは小野くんに期待しています。

中島 僕は半場くん(MF半場涼介、スポ3=東京・東大和南)かな。彼は試合に出る機会は少ないんですけど、試合に出て活躍して点を決めたりするとチーム全体として勢いづいて盛り上がるので、ぜひ彼には試合に出てもらって活躍してもらいたいです。

平塚 自分が思うキープレイヤーは、3年生の青木秀斗さん(DF、人3=東京・城北)で、よく声が出てチームに喝を入れるような声出しができる方です。これから厳しい戦いが続くと思うんですけど、そんな中で秀斗さんのような声を出せる人がいるとチームもまた力が出ると思いますし、そういった面でキーになる人かなと思います。

――最後に、自分がしていきたいプレーと意気込みをお願いします

平塚 個人的には、1年間やってきた『攻めるディフェンス』の集大成がこのファイナル4からのプレーオフだと思うので、1年間やってきたいろいろな手段での(ボールを)奪う方法を使ってオフェンスにボールを供給して、目標である15点以上を(達成したいです)。相手のレベルは高いですけど、それでも15点以上取れるように、自分たちで仕掛けて相手のボールを奪っていきたいと思います。

勝本 ディフェンスが『攻めるディフェンス』をすると、やっぱりミスをしたときに結構大ピンチになってしまうんですけど、でもそういうときにゴーリーが止めれば点は入らないので、そこでビックセーブをしてワセダに流れを持ってこられるようにしたいです。

奈須 自分は点を取りたいんですけど、『攻めるディフェンス』をしてボールを落とした後に、どれだけロングが攻めて点を取れるかというのも割と重要になってくると思うので、フルフィールドオフェンスというのを積極的にやっていけたらいいなと思います。

中島 自分は運動量と判断の面でしっかり貢献したいです。運動量多く、正しい判断で、チームがピンチのときにいかに守ったりだとか、攻められるシーンで攻めて、奪って、点につなげられるようにやっていきたいなと思っています。ファイナル4への意気込みは、去年ファイナルでケイオーに負けているので、その借りをしっかり返さないといけないなと思います。絶対に負けられない戦いなので、頑張ります。

――ありがとうございました!

(取材・編集 今山和々子、石井尚紀)


それぞれの意気込みを書いていただきました!

◆勝本勇人(かつもと・はやと)(※写真中央右)

1997(平9)年10月15日生まれ。身長176センチ、体重78キロ。東京・早大学院高出身。社会科学部3年。ゴーリーという、まさに最後の砦(とりで)のポジションを任されている勝本選手。優しそうな顔立ちですが、試合中はガラリと変わりショットをしっかりセーブします!

◆中島大介(なかじま・だいすけ)(※写真中央左)

1998(平10)年1月3日生まれ。身長176センチ、体重70キロ。東京・早実高出身。社会科学部3年。去年は先輩方と一緒に対談を受けてくださった中島選手。取材最後の色紙の書き方を覚えていて、今年は先輩らしく後輩に教えてあげる姿が見られました!

◆奈須由樹(なす・ゆうき)(※写真右)

1998(平10)年6月1日生まれ。身長174センチ、体重80キロ。東京・早実高出身。文学部2年。高校時代、英語表現のテストで6点を取ったことがあるという奈須選手。隣のクラスの人も奈須選手の点数を知っていたそうです。しかし英語は駄目でも、ラクロスの知力なら同期にも負けません!

◆平塚弘喜(ひらつか・ひろき)(※写真左)

1998(平10)年10月13日生まれ。身長186センチ、体重82キロ。東京・早大学院高出身。政治経済学部2年。とても身長が高く、一見怖く見られることもあるという平塚選手。しかしその実、彼女に一途で優しい性格なのだとか。見た目を裏切る細かいプレーにも注目です!