応援席を支える面で大事な存在である吹奏楽団。リーダーやチアリーダーズのように目立つ存在ではないものの、吹奏楽団の演奏がなければどの曲も盛り上がりに欠け、寂しくなってしまう。今回は、若松佑副将(教4=埼玉・川越)、和田奈津希吹奏楽団主務(基…

 応援席を支える面で大事な存在である吹奏楽団。リーダーやチアリーダーズのように目立つ存在ではないものの、吹奏楽団の演奏がなければどの曲も盛り上がりに欠け、寂しくなってしまう。今回は、若松佑副将(教4=埼玉・川越)、和田奈津希吹奏楽団主務(基理4=東京・八王子東)、進藤愛純学生誘導責任者(人4=米国・サウストーランス)に、吹奏楽団から見た応援の魅力を語っていただいた。

※この取材は10月15日に行われたものです。

「得点の時に歌う『紺碧の空』は楽しいので大好きです」(和田)

1つ1つの質問に、考えながら丁寧に返す和田

――応援部に入ったきっかけを教えてください

若松 自分は高校から吹奏楽を始めました。高校にリーダーだけの応援部があって、その応援部と一緒に高校野球の応援に行って野球応援が楽しかったので、大学でも楽器をやるなら野球応援ができる所がいいなと思い応援部吹奏楽団に入部しました。

和田 私は高校3年生の頃にたまたま親に強制的に連れて行かれたオープンキャンパスで、本当に偶然理工キャンパスの方で応援部のデモンストレーションを見ました。そこで、「頑張れ頑張れ受験生」とやってくれたのを見て…そもそも馬鹿真面目にあのような事をやっているのは面白いじゃないですか(笑)。面白いなと思いながらも元気を貰えたので、後ろでスーツで吹いている団体は誰なのだろうと興味を持ちました。元々吹奏楽をやっていたので、その関係で興味を持って入りました。

進藤 自分も吹奏楽を続けたいという一心が一番強かったのですが、それと中高ずっとマーチングバンドをやっていて、マーチングバンドを続けられるのがこの団体だけだったというのもあってここにしました。あと、吹奏楽を続けるとすると色々サークルもあると思うのですけど、サークルを色々回って見て「ちょっと自分とは違うなと」という部分もあったりして…。この部活で人が合うかは分からないですけど「まあマーチングバンドも続けられるし」という軽い気持ちで入ったのがキッカケでした。

――試合中の応援で意識していることは何ですか

進藤 自分は学生誘導対策責任者という役職に就かせてもらっています。役職だけだと何をしているか分からないと思うのですが、簡単に言うと座席に来たお客様を椅子まで誘導したりだとか、お客様に野球に来てくださいと広報をしたりするのが主な仕事です。それをする為には、来たお客様に不快な思いをさせないことが一番大きいと思っています。そのためには立ち振る舞いであったり、言葉遣いであったり、そういうところを(特に)4年生になってからは意識しています。

和田 自分は役職とは絡められないですけど。一部員として応援する時は、自分の声とか音が選手に届いているか分からないのですが、ゼロよりはマシだなと思って、少しの音でも選手に届いてそれによって動きを変えられたらいいなと思って、それを信じて応援するようにしています。

若松 応援部員も人間であることに変わらなくて、応援したら疲かれるので、試合の後半であったり途中途中であったり、どうしても声援が薄くなってしまうタイミングがあります。でも全員が声援をずっと出し続ける必要はなくて、順繰り順繰りで常に声援が出続けるようにすれば、声援が出ないタイミングがあるよりは良いと思うので、声援が薄くなるタイミングとかに声を多く出すようには意識しています。

――では、練習中の時に意識することはありますか

若松 応援の演奏をやっていると、どうしても力んでしまうというか、勢いや空気に乗っかってと雑な部分が出てきてしまうので、普段の練習では基礎的な部分や応援だと雑にしがちな部分を意識して練習するようにはしています。

和田 応援の練習で、総合練習みたいに3パートで誰もいないところで「頑張れ〇〇」と声援を送る練習があって、すごくシュールで私も最初見たときは抵抗があったのですが、それがリハーサルみたいな感じで、そこで声援を出す練習や声を出す練習にはなるのかなと思って、前向きに練習をしています。演奏とドリルに関しては、人に感動を与えられるような音楽が出来たらいいなというのがこの団体では目標みたいな感じであるので、それを目指してクオリティーを上げられるように意識をして練習をしています。

進藤 自分はもう楽しむということだけを考えています。吹奏楽団は応援の練習は合宿でやることがほとんどで、普段の練習は演奏練習とマーチングの練習の2つになります。応援の練習は和田が言ったように側から見るとシュールな状況でやっているので、それを「(こんなに)シュールな事、何やっているんだろう」と思ってやっても身にはならないので、シュールな環境をいかに自分が楽しんで前向きにやれるのかというのがあります。おそらく自分達が感じている事は下級生も感じている事だと思うので、いかに下級生達に馬鹿みたいなことを一生懸命やっているところを見せて、自分も馬鹿になろうと思わせる事も上級生達の一つの役目なのかなと思っているので、そこを意識していたりしています。また演奏練習でもマーチングでもそうなのですが、自分自身が一番楽しまないといけません。嫌な練習で成果が伴わなくても、この人達と吹いていれば楽しいなと(下級生らが)思ってくれれば、吹いている自分達もそれを聞いてくれる人達も何かしら想いは届くのではないかと思っているので、基本的に楽しむという事をスタンスで頑張っています。

――どれくらいの頻度で練習をしていますか

若松 普段は演奏の練習を週2回ほど、マーチングの練習は不定期で週1回あったり、なかったりという感じです。応援の練習と言われると、合宿の中で練習をしたり、早慶戦の前に今言ったような総合練習をやるくらいになります。

――土日の各部活への応援に行くメンバーはどのように決まるのですか

若松 野球の応援は全員参加が原則なのですが、他の応援に関してはそこまで人数がいなくても大丈夫なので、人数を選びます。基本的に何日に応援があるという内容を全体に連絡して、予定があれば参加できないという事を連絡してもらって、行ける人達の中で演奏や学年のバランスを鑑みながら行くメンバーを決める感じです。あと試合会場が色々と点々としているので、そこに近い人を選んだりしています。

――応援をしていて1番楽しい時や嬉しい時はどのような時ですか

進藤 やはり、白熱した試合の時とかで勝った時とかはウォー!となります。どの試合も楽しいかと言わると、もちろん楽しいのですが、その中でも特に早慶戦や一つの節目となる試合の時はボルテージが上がっているのもあって、楽しくて。特に自分がよく覚えているのは、3年生の時に学生誘導で一番大きな入り口に立っていたんです。ある程度お客が入ってから、少しスタンド内に入ってみて満席のお客様を見た時に、そのお客様が自分を通っていったと考えると「こんなにお客様をさばいた自分って割と凄くない」と思いました(笑)。一人一人の顔を覚えているわけではないですが、早慶戦を楽しみにしているお客様や、一イベントとして来てくださるお客様を見ると、自分も「おお、すごい」と思うので。やはりそういうところを見ると、楽しいとは思います。応援の醍醐味(だいごみ)ですね。

若松 極端な例えですが、東大に大差で勝っても正直そこまで嬉しくなくて、点が入って普通かなと思ってしまうので。競っている時に点が入った時が嬉しいです。沢山点が入っている時に点が入っても、正直「まあまあ」という感じで…。逆転の瞬間は凄く嬉しいです。自分が覚えているのは、(今年の)春の早慶戦の3日目に延長ホームランで点が入った時は感動というか凄く嬉しくて。あと野球以外では、春の早慶レガッタの最後の一番大きなレース(対校エイト)で、最初は早稲田が負けていたみたいなのですが、途中で早稲田が抜かして、最終的に早稲田が逆転優勝した時には応援していて良かったなと感じました。

和田 一部員としての話ですが、点が入った時に吹奏楽団はハイタッチするのですが、上級生や下級生と上下関係なく夢中になって喜ぶのが一番楽しいというか嬉しい瞬間です。あと、途中で士気を上げるために隣の人と目を合わせて思い切りコールを言う瞬間が、楽しくて大好きな瞬間です。

――逆に応援をしていて辛い瞬間はありますか

若松 全体的にみたら辛いところの方が多いのですが、なかなか点が入らない時はやはり辛くて、特にもう少しで点が入りそうなのに点が入らないで終わるとすごく辛いです。それこそチャンスなので、こっちも一番ボルテージを高めて応援しているので、チャンスのまま終わってしまうと、次の回は落ち込む感じにはなります。

和田 守備回で応援していても全然アウトが取れないとか、ただひたすら塁に人が出たりとか、点数が取られ続けていると、いくら声援を送っても、いくら『ダイナマイトマーチ』などを歌い続けても、手がどれだけ疲れたとしても、選手には届いていないのかなと思うことがあって…。そういうのが辛かった記憶はあります。

進藤 流れを変えられない時が一番辛くて、点を取られて流れが全部向こうにいってしまうと、応援部として流れを引き戻せないというのは一番辛い時です。

――吹奏楽団が応援の時に注目して欲しいポイントはありますか

進藤 一番はやはり、縁の下の力持ちというところだと思います。実はよく考えてみると、私たちの演奏がないとリーダーもチアリーダーズも花が出てこないというのはあります。リーダーは凄く格好良いのですが、無音のままやっていると「何をやっているのだろう」となりますし、チアリーダーズも「何か踊っているけど何の曲なんだろう、どういうの振り付けなんだろう」と、面白さが半減してしまうと思うので(笑)。勿論、リーダーやチアリーダーズは視覚的に楽しむのが重要だと思うのですが、やはり音がないと出来ない部分もあります。試合展開で使用する応援曲も違うので、試合展開とマッチングさせて聞くと、面白いかもしれないです。

――好きな応援歌・応援曲はありますか

進藤 君(若松)はもう一択でしょ。

若松 どっちも一択だけど…。僕が好きな応援歌は『精悍若き』っていう…ちょっとマイナーな曲なのですが、おととい(13日)に演奏したという曲と、あとは『ダイナマイトマーチ』が大好きです。低音から始まってはじける感じが好きです。

進藤 応援歌は『Viva Waseda』っていう曲が、楽しく「ワー!」というような感じなので自分の性に合っているので好きですね。応援曲は『Shining』と『Sunrise』が2つ好きです。『Shining』はキラキラしているおしゃれで陽気な感じの曲なんですけど、吹奏楽団が唯一揺れながら吹くので、吹奏楽団にもアクションがあって楽しいなと思います。『Sunrise』に関しては、『Shining』とは違う感じだけれど楽しい曲で、途中に「フッフー」という掛け声があるんですけど、それを言うのがものすごく好きです。掛け声を言うと自分も「フォー!」という感じになる(テンションがあがる)ので、「フッフー」を言えるから好きですね。

和田 私は『スパークリングマーチ』が好きです。だいたい『コンバットマーチ』の前に演奏されることが多くて、ここでテンションを上げよう!というような曲なんです。最初がすごくかっこよくて、私はトロンボーンなのでアクションが付いているんですけど、(『スパークリングマーチ』を)やっていると「キター」という感じでテンションが上がるので、好きです。応援歌は…(しばらく考えて)『紺碧の空』ですかね。一番初めに歌詞を覚える曲で、歌うのも楽しいですし得点の時に歌う『紺碧の空』は楽しいのでた大好きです。

――野球以外の応援ではどの部活の応援が好きですか

進藤 趣旨によって違うかも。

若松 好きのベクトルがね。

進藤 見ていて楽しいのは早慶サッカー(早慶クラシコ)です。試合の展開がわかりやすくて好きですね。また早慶レガッタも好きです。どちらも年に一回なんですけど、早慶レガッタはサークル団体なども来てくれることが多く出し物もあり、またコラボのイベントもあるのですごく楽しいです。

和田 私も早慶サッカーが結構好きです。私は3年生の時に応援当番という吹奏楽団を仕切る役割を行っていて、案内したり、何時にこれをやりますとか、次に行うコールの指示をしていました。基本的に吹奏楽団は前を向いているのですが、当番は楽団に指示を出すため客席に向かっているんです。まずお客さんの多さにびっくりしました。コールを言っている間に回りをチラッと見たらお客さんが全員楽しそうにコールをやってくれていて、そういう場面を見たときに客席が一体となっているなと感じて、この応援当番をできてよかったなと思いました。コールを言うのが楽しいっていうのもあるんですけど、早慶サッカーではノリもそうなのですが一体感があるところが好きです。

若松 自分は基本的には応援はどれも好きなのですが…一番好きと言うか、自分が中学生の間は卓球をやっていて卓球はわかるので、早慶卓球は他の応援よりも見ていて楽しかったですね。

「(弟と)一緒に遊んでいます」(若松)

オフの日は副将からいいお兄ちゃんになる若松

――オフの日は何をして過ごすことが多いですか

和田 一人でカラオケや映画に行ったりしていますね。なぜ一人かというと、応援部はいつ用事が入るかわからない生活を送っているので基本オフには自分からあまり用事を入れないです。たまたま何かが入ればそちらに行って、当然予定がない日ができると誰かを誘うのも面倒ですし、今行きたいなと思ったときに一人で行くことが多いですね。まあ時々虚しさは感じるんですけど、それは置いておいて…(笑)。

――急に予定が入ることは多いのでしょうか

若松 4年だと減りはするけど、下級生時代は急に予定が入ることがあったりするので…。

和田 たまたまそれ(応援部の仕事)に手を付けられるのがその日しかないとか…(友達との約束を)ドタキャンすることとか結構あったので、申し訳ないなと(思います)。

――若松さんはオフの日はどうされていますか

若松 自分は寝ることが多いですね。あと弟が幼くて今9歳なので、弟とゲームをして遊んでいます。二人でゲームセンターに行ったり、車を運転できるので遊園地に連れて行ったりしています。最近ではニンテンドースイッチでマリオパーティが出たので一緒に遊んでいます。

進藤 私たちも連れて行ってよ(笑)。

若松 (笑)。近くのスーパー銭湯とかに連れて行ったりして過ごしています。

――弟さん思いですね

進藤 ブラコンなんです、ブラコン(笑)。

一同 (笑)。

若松 最近はマリオパーティー(任天堂のゲーム)が新しく発売されたので、一緒にやっています。

――進藤さんはいかがでしょう

進藤 私もいつ予定が入るかわからないので自分から遊ぶ予定は立てないのですが、誘われたり絶対に予定が入らない日などは友達と映画に行ったりご飯に行ったりします。急にできたオフには若松みたいに家でゆっくりしたり、自宅で映画を観たりすることもあります。また家の中の掃除などたまったことしますね。応援活動中は立て込むとなかなか家のことはできないので、整理したりするとリフレッシュできて好きです。

――特に仲のいい部員さんはいますか

和田 一番近いなと自分が思うのは同じトロンボーンパートの子です。大学で知り合ったのですが新人の頃からお互いにふざけて悪口を言うこともできて遠慮なく言い合えるので、彼女が一番近い存在かなと思います。もう一人仲のいい部員がいるのですが姉妹のように接することができて、楽しい仲間です。この二人がいたからこれまで部活を続けることができたと思うので感謝をしている時もあります。

進藤 基本的には全員と仲がいいかなと思っています。自分の性格で話すことが好きなので誰とでも分け隔てなくという感じですね。和田、若松とももちろん仲がいいです。特に若松は同じ西早稲田駅を使っていて、その駅を使う部員とは新人の頃から4年間ずっと、練習があるときは毎回一緒に帰ります。

若松 西早稲田駅は歩いて15~20分かかるのですが、みんなで話しながら駅まで行きます。自分と進藤を含めて5人いるんですけど、何も用事がなければみんなで待って一緒に駅まで帰りますね。

――後輩とは遊びに行ったりしますか

若松 遊ぶという文化はあまりないですね

進藤 下級生や同じパートのメンバーと一緒にご飯に行ったりします。もちろん下級生のほうから一緒にご飯行きたいですと言ってもらえば連れていきますし、それはどの部員も行っていると思います。遊園地などに行くということはないのですが、ご飯は頻繁に行きますね。

「秋は引退が懸かっている」(進藤)

早慶戦の事前準備についても考える進藤

――早慶戦で最も盛り上げたい部分はどこですか

若松 難しいですね…。でもやっぱり試合を一番盛り上げたいですね。朝からほかの団体やサークルと企画を行うこともあるのですが、そこで盛り上がっでもしょうがなくて、結局何をしに来ているのかというと応援しに来ているので、その企画で盛り上がったものをより応援で盛り上げられるように、午後の試合でボルテージを上げていけるようにしていきたいです。

進藤 早慶戦と聞いておそらく多くの学生は春のイメージが強く、秋は少し認知度が低いと思うのですがそこを盛り上げていきたいです。試合に来てくれれば盛り上がると思うので、その前段階で来てもらうための広報やどういう特典を付けるかなど、お客さんを呼び込むことを考えていきたいですね。特に秋は引退がかかっているのでエモい感じもあり来ていただきたいなと考えています。

和田 応援ですね、やっぱり。先ほど若松も言っていたのですが早慶戦は特別なイベントなのでいつもの野球の応援とは違うところもあるのですが、野球の応援を盛り上げるためにいろいろなものがくっついてきているので本質を分かったうえで部員全員が力を入れて応援で気持ちが出てきたらいいなと思っています。

――それぞれの役職から早慶戦特有の応援の難しさをお願いします

和田 人が多いので、吹奏楽団は内野と外野で分かれていつもの2分の1の量で応援しなければなりません。いつもより人数が少ない分1人当たり2倍以上声を出さないと、応援の勢いが減ってしまったり、クオリティがそもそも下がってしまったりします。音が薄くなってしまうのに周りのお客様は多いという感じなので、いかに最後までスタミナを持たせつつ、音量も声もちゃんと出して応援席を作るのかというのが難しいです。

若松 企画の面では、自分たちは部内の中では1分刻みでスケジュールが決まっていて、それこそ試合前の『早慶賛歌』の斉唱であったり、そういったところで時間が押さないようにだとか、他の団体さんにも来てもらっているので分刻みで管理をしています。やっぱりどうしてもそう上手くはいかないことがあって、そこでどう時間調整をするかとか、結構合間合間に(調整を兼ねて)『応援曲メドレー』をやったりするんですけど、そういった時間調整が難しいです。

進藤 人が多いといのが一番で、通常のリーグ戦よりも規模が大きくなっているので、いかに分刻みのスケジュールに合わせて誘導するといいますか…やっぱり早く入れればその分企画も見れますし、(来てくれたお客さんに)不快に思わせないように迅速に対応するというのがあります。また普段は開門しない外野も空けるので、普段誘導しない外野も、自分たちがいかにスムーズにお客さんを誘導できるかというのが、早慶戦の醍醐味でもあるし、大事なところでもあるし、やりがいを十分感じるところだと思います。

――4年間でも最も印象に残っている早慶戦を教えてください

進藤 私は2年前の秋の早慶戦です。最後、(入部してから)早慶戦で初めて勝ち点を取れなくて、新人の頃も、2年生の春も勝ったんです。だから早慶戦は何となく勝つものだと思っていて臨んだんですけど、初めて負けて…。これがすごく悔しかったです。またさっき言ったように、引退ということで、自分はその当時の4年生がとても好きで、特に指揮の方が自分と同じ楽器を吹いていた方だったんですけれども、その方が最後に泣きながら『紺碧の空』を吹かれていて、それを見たときの自分は、もうどうしようというくらいガンガンに泣きながら吹いてしまって。この人たちと一緒に吹くのは最後と思った瞬間に涙が止まらなくなって…。悔し涙も感謝の涙も全部詰まっていて、自分の中では涙の早慶戦という感じでした。

若松 一番印象に残っているのは、きょねんの秋の早慶戦です。先ほど和田がサッカー(早慶サッカー)の話をしていたように、吹奏楽団は試合の方を向いているので基本的に客席が見えないのですが、きょねんの秋の早慶戦の時に応援当番というものをやらせてもらって、そこで初めて観客席を見たんです。その時に得点の『紺碧の空』が入って、神宮球場のお客さんのみんなが肩を組んで揺れて歌っている景色は今でも頭から離れないです。

和田 私は、ケイオーの完全優勝を阻止した今年の春です。ケイオーは優勝がもう決まっていたのですが、ワセダは負け試合も多くて、当たり前に勝ってきたケイオーに勝てるのかなという気持ちもあったのですが、それでも勝てたので、点が入る1点1点も嬉しかったですし、ケイオーに後味悪い感じで終わらせられて(笑)、嬉しかったです。

――早慶戦に向けて意気込みをお願いします

若松 優勝の可能性が残っている試合なので、自分たちにとっても最後のシーズンですし、野球部にとっても最後の試合なので、絶対優勝させたいという気持ちで臨みます。

和田 もうあの席で演奏ができるのも、応援部員として応援できるのも、下級生たちと一緒に応援ができるのも最後なので、下級生たちが来年以降も自分たちだけで応援ができるようになってほしいなという思いがあります。今まで反省とかをやってきて積み上げてきたものがあるので、それを全部出し切って、野球部に頑張れという気持ちを全員で届けられるように頑張りたいです。

進藤 みんなと一緒に吹けるのは最後なので、今まで自分たちが伝えてきたことを下級生のみんなが実践できているかというのを見守りつつ、でもサポートもしてあげなきゃなとも思うので、自分たちも楽しみながら、早慶戦みんなで吹けて良かったねと笑顔で終われるように、楽しむ気持ちも忘れずに野球部を応援に導けるような応援を作っていきたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 岡秀樹、大島悠希)

終始笑いの絶えない楽しい対談となりました!

◆若松佑(わかまつ・ゆう)(※写真中央)

1996(平8)年12月16日生まれ。埼玉・川越高出身。教育学部4年。役職は副将と吹奏楽団責任者と応援企画。担当楽器はパーカッション。休日には9歳差の弟と遊ぶという若松さん。遊園地へ連れていったり、一緒にゲームをしたりと理想のお兄ちゃんですが、球場では応援企画としてぴしっと全体に指示を出します。早慶戦では、そのギャップに注目です!

◆和田奈津希(わだ・なつき)(※写真左)

1996(平8)年12月26日生まれ。東京・八王子東高出身。基幹理工学部4年。役職は吹奏楽団主務。担当楽器はトロンボーン。最近流行している『LINEで発見!!たまごっち』にハマっているという和田さん。育てていたたまごっちが、最近めめっち(たまごっちのキャラクター)になったそう。早慶戦は、スマートフォンの中からめめっちも一緒に応援してくれることでしょう!

◆進藤愛純(しんとう・あずみ)(※写真右)

1996(平8)年9月26日生まれ。米国・サウストーランス高出身。人間科学部4年。役職は学生誘導対策責任者。担当楽器はホルン。明るい性格で対談を盛り上げてくれた進藤さん。4年の春からはスーザフォンも始めたそう。マウスピースのサイズが大きく異なる2本を吹きこなす姿に注目です!