セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)のコーチであるパトリック・ムラトグルーは、テニスでも試合中のコーチング(試合中の指導、助言)は、競技の人気を考えて認められるべきだと話した。なお、グランドスラムを除くWTAツアーでは、1セットにつき1回までの…

セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)のコーチであるパトリック・ムラトグルーは、テニスでも試合中のコーチング(試合中の指導、助言)は、競技の人気を考えて認められるべきだと話した。なお、グランドスラムを除くWTAツアーでは、1セットにつき1回までのオンコート・コーチングが許可されている。

「全米オープン」の決勝戦で、セレナは主審のカルロス・ラモスへの「暴言」、そして試合中のコーチングに対する警告(コーチングはグランドスラムの試合では規則違反となる)、ラケットを破壊したことの3つの規則違反を犯したとして罰金処分を受けていた。

ムラトグルーはコーチングが禁止されている大会で実際に選手たちがコーチングを受けていることを指摘し、「偽善」と呼んだ。そして、ボクシング、ゴルフ、サイクリングなどあらゆる個人競技で、選手が競技中に誰かと協議をすることが認められている点についても指摘する。

「どうしてテニスだけ試合中のコーチングが認められないのか、理解できない」とムラトグルーは話す。

さまざまなテニス運営組織やグランドスラム大会もこの問題の行方を注視しており、コーチングを認める方向で検討したいとする意向にも差が見られる。たとえば「ウィンブルドン」は、「基本的にはどんな形であれ試合中のコーチングには反対」という姿勢を明確にしている。

さらにムラトグルーはコーチングを禁止することは「コーチングは見られてはいけないこと、恥ずべきことだと言っているようなものだ」と話し、この問題は「二つの考え方、つまり保守的で伝統的な考え方と、現代的で進歩的な考え方という両者を隔てる対立の象徴」だと語る。

そして、ムラトグルーはコーチングを認めるべきとアピールすることの一面として、そうすれば観客も「感情的に観戦」しやすくなると考えている。

続けて「それだけじゃない、試合中にコーチが選手に何か言えば、感情が高ぶる。コーチの言っていることに選手が耳を貸さないということも時にはあるが、そういうことも含めてドラマ性が高まって、ソーシャルメディア上で大勢の人が関わり合える」とムラトグルーは話した。(C)AP(テニスデイリー編集部)

※写真は「全米オープン」でのセレナ(右)とコーチのムラトグルー(左)

(AP Photo/Adam Hunger, File)