樫村のクイック秋季リーグ戦第10戦。この日は、高い攻撃力を武器に今季好調な東海大との対戦となった。慶大の悪い傾向である「終盤のミス」がこの試合でも出てしまい、一矢報いることはできなかった。ストレートでこの試合に敗れ、慶大は最終戦を前にリーグ…


樫村のクイック

秋季リーグ戦第10戦。この日は、高い攻撃力を武器に今季好調な東海大との対戦となった。慶大の悪い傾向である「終盤のミス」がこの試合でも出てしまい、一矢報いることはできなかった。ストレートでこの試合に敗れ、慶大は最終戦を前にリーグ最下位が決定してしまった。

10月14日(日)

秋季関東大学男子1部バレーボールリーグ戦

慶大×東海大

@ウイング・ハット春日部

得点
慶大セット東海大
1625
2125
2025


富澤はこの日も得点を量産した

第1セット。慶大の武器であるクイックが決まらない。さらに、スパイクやサーブレシーブのミスが続いて3-9、慶大は2回目のタイムアウトを要求する。タイムアウト明け、富澤太凱(経3・慶應)がスパイクを決めると、直後には相手クイックをワンタッチにかけてつなぎ、富澤のスパイクでブレイクに成功。その後は清水柊吾(総2・広島城北)のクイックなどでサイドアウトを確実に取っていった。しかし、終盤に入ってから、オーバーネットや相手サービスエースなどでリズムが乱れ、大量失点。序盤のリードをさらに広げられ、9点差でこのセットを落とした。


久しぶりの出場となったリベロ・永田

第1セットからの切り替えを図った第2セット。自分たちの攻撃のペースをつかみ、サイドアウトを確実にものにしていく。樫村大仁(環2・茨城高専)の一枚でのブロックポイントやサービスエースなどで、緊迫した試合展開の中、中盤までリードを奪う。しかし、ここまで得点を量産してきた富澤がブロックに捕まり3連続失点を許すと、相手サーブにも崩されまたしても3連続失点。勝負どころで詰めきれなかった慶大は21-25でこのセットも落とす。


声を掛け合う選手たち

あとがない第3セット、この日途中からコートに立ったリベロ永田将吾(総1・高松)の正確なサーブレシーブから樫村がクイックを確実に決め、順調な滑り出しを見せる。このセットは大量失点は少なく、細かにブレイクを重ねていく試合展開に。小出捺暉(環1・駿台学園)の鋭いスパイクや、加藤真(商2・慶應)のバックアタックなどで得点していく慶大。一方で、東海大の高い攻撃力を前に、持ち前のブロックで対抗することができなかった。終盤まで2点差で進んだが、慶大はこのセットも終盤にミスを続けてしまい、追いつくことはかなわなかった。20-25でこのセットも落とし、ストレートで敗れた。

この結果、最終戦でストレート勝利を収めた場合でもセット率が暫定11位のチームに及ばないことになり、最終週を前に慶大のリーグ最下位、入れ替え戦進出が決定してしまった。

「ここっていうときにやっぱり慶應独自の簡単なミスがポロポロ出ていた」。宗雲監督は、こう指摘した。今季の慶大は、序盤で生まれたリードを縮めることができず、そのままセットを落としてしまうケースが多い。以前は土壇場で追いつく「爆発力」もあった慶大だが、近ごろは曇った表情がどうしても拭いきれていない様子だった。まずは次の駒大戦で、自分たちのバレー、そして自信を取り戻してほしい。


慶大の道しるべ・伊藤主将

試合後、伊藤祥樹主将(総4・清風)は言葉を詰まらせながらも必死に前を向こうとしていた。「祥樹さんは、僕らが何をしたらいいかわからないときでも道を示してくれる」――以前、樫村がこう語っていた。正セッターの負傷という想定外の事態を始まりとするこの厳しい状況の中で、今できること、今しなくてはいけないことを全員で考え抜いてきた慶大。その中心には、いつも伊藤主将の姿があった。最終戦、そしてその先に控える入れ替え戦、伊藤主将の周りに笑顔の輪が広がっていることを願ってやまない。

(記事・写真:藤澤薫・太田彩恵)

以下、コメント

宗雲監督

――今日の試合を振り返って

昨日ふがいない試合をしたので、そういう意味では今日は少し気持ちを入れ替えていたみたいなので、まずは今日そこにフォーカスを当てて試合を見ていたので、私としてはまあちょっと財産になるかなと思っています。

――良かった点と悪かった点をひとつずつ挙げるとしたら

良かった点は、一枚岩になってやっていたというところ。悪かった点は、ここっていうときにやっぱり慶應独自の簡単なミスがポロポロ出ていたので、そこはだめですね。

――今日のブロックは

まあ偶然出たのが何発かあったので、まあ決して組織立って止めたっていうわけではないと思います。まあでも、相手が攻撃力がるチームなのでしょうがないですね。

――クイックをなかなか使えなかった

サーブレシーブがネットに全然つけなかったです。向こうの左利きの子(新井雄大=体2)とか、キャプテン(永露元稀主将=体4)のサーブが良かったです。サーブレシーブするメンバーが頑張らなくちゃいけないですね。

――来週の最終戦に向けて

気持ちは高めて、直せるところは直して頑張りたいです。

伊藤祥樹主将(総4・清風)

――今日の試合を振り返って

終盤20点前後くらいで自分たちのミスを出してしまって、そこから一気に崩れていった感じですかね。自分たちが耐えきれなかった感じがします。

――以前、調子の波が課題と話されていたが

今日はそこまでなかったんじゃないかなと思います。

――チームの雰囲気は

昨日雰囲気が悪くて、今日はまだ良かった方だと思うんですけど、良い雰囲気ではあったけど勝てる雰囲気ではなかったなと思います。勝つときの雰囲気ってちょっと違うと思うんですよね、今日の雰囲気とは。

――慶大のブロックは

両サイドをきっちり止めきれたというわけではないので、そこの両サイド止めきれなかったら勝てないな、という感じですね。

――来週に向けて修正していきたいところは

自分たちの分析をきっちりやって、選手たちがどういうふうに勝ちにいくのかっていう方向性をもう一回定めた上で、夏から比べてチームのバレーの質、レベルが落ちていると思うので、なんで落ちているのか、それをもう一回上げていくにはどうしたらいいのかっていうのを考えることが一番必要なんじゃないですかね。

――来週に向けて一言

勝ちたいのは勝ちたいんですけど、そのためにも自分たちのベストのパフォーマンスが出ないと勝てないので、それを出せるように1週間を過ごしたいっていうのと、あとは、こうやって負けが続いている中でも見に来てくれているお客さんとかファンの方とかOBの方とか、そういう人たちに感謝の気持ちをバレーで伝えたいし、そういうバレーをしたいっていうのが僕たちの一番の目的だったので、そこも忘れずにやっていきたいです。

永田将吾(総1・高松)

――今日の試合を振り返って

全体的にレセプション(サーブレシーブ)がまとまってなくて、そのせいで攻撃が単調になってしまったので、相手の高いブロックに捕まったりとか、その抜けたあとのものを全部切り返されて、向こうのペースに持ち込まれたかなという感じです。

――2セット目は良い流れがつかめていたが

自分が2セット目入って、コートの中の雰囲気も良くなかったので、それだけは変えようと思ってやった結果が少しは良い方向に働いたかなというふうに思います。

――久しぶりの出場となったが、自身の役割について

夏以降あまり調子も良くなくて外されてしまって、それは個人としては悔しかったので、走り回って雰囲気を上げたりとか、あとは相手のスパイクを上げるというのが自分の持ち味なので、そこはできたかなと思うんですけど、満足いく内容ではなかったかなというふうに思います。

――サーブレシーブについて

相手の佐藤さん(佐藤謙次=体4)のサーブだったり、1部の中で良いとされているサーブについてはまだまだ自分の力では上げきれないなと思いました。

――ブロックとの連携は

東海大は全体的に高いので、ブロックの脇だったり上だったりを抜けてくるケースがすごく多いのは想定していて、取れるボールと取れないボールをはっきりさせようというのはチームの中でやってはいたんですけど、ブロック自体は今日に関しては良かったと思うんですけど、後ろに抜けてきたボールを自分中心に上げきれていないので、申し訳なかったなというふうに思います。

――最終戦にむけて

絶対に2部にはいきたくないですし、それも含めて来週の駒澤戦は流れを作るうえでも大事な試合になると思うので、勝って入れ替え戦にいく、そして良い流れで残留を決めたいと思います。

出場選手
サイド小出捺暉(環1・駿台学園)
センター樫村大仁(環2・茨城高専)
オポジット富澤太凱(経3・慶應)
サイド加藤真(商2・慶應)
センター清水柊吾(総2・広島城北)
セッター吉田祝太郎(政2・慶應)
リベロ岩本龍之介(商4・仙台第二)
 永田将吾(総1・高松)
途中出場宮川郁真(総1・松本県ヶ丘)
 片波見和輝(文3・成田)
 谷舜介(環1・徳島城東)
順位表(10月14日終了時点)
 大学勝利数セット率
1位早大2.5455
2位筑波大2.4545
3位日体大2.0833
4位明大1.8571
5位東海大1.3529
6位順大1.2941
7位中大1.2353
8位日大0.4400
9位学芸大0.5417
10位駒大0.5000
11位国士舘大0.4400
12位慶大0.2759

◇順位の決め方◇

勝利数が同じ場合、セット率(得セット数/失セット数)の高い方が上位となる。

セット率も同じ場合、得点率(総得点/総失点)の高い方が上位となる。