試合後の記者会見というより、心理セラピーのような雰囲気のあったその会見の間、ニック・キリオス(オーストラリア)はウィンブルドンの4回戦でアンディ・マレー(イギリス)に敗れたあとの心境を部分的にさらけ出した。 キリオスは2013年のウィン…

 試合後の記者会見というより、心理セラピーのような雰囲気のあったその会見の間、ニック・キリオス(オーストラリア)はウィンブルドンの4回戦でアンディ・マレー(イギリス)に敗れたあとの心境を部分的にさらけ出した。

 キリオスは2013年のウィンブルドン・チャンピオンであるマレーに対する5-7 1-6 4-6の敗戦について、自分のパフォーマンスをあざ笑った。

 彼は以前にも言ったことがあったが、自分はテニスを愛していないと感じる、とも言った。

 キリオスは自分が可能な限り最高の選手となるために、できるすべてをやっていないということを認めた。そして、自分がその部分を修正したいと願っているかということに、確信が持てないのだという。彼はまた、コーチを持たないことによる自由を楽しんでいるのだとも言った。

 「ある週に僕はかなり練習し、プレーする意欲に満ちている。コートに出ていくことを楽しみにしているんだ」と21歳のキリオス。しかし、「ある別の週には、僕は何もやっていない。こういうパターンを受け入れるコーチが存在するかはわからないね」。

 第15シードで今年のウィンブルドンに出場し、4回戦まで勝ち上がった最年少選手だったキリオスは、テニス界最大の急上昇中の若手のひとりと見なされている。彼は膨大な才能に恵まれている。そのことだけは誰の目から見ても明らかだ。

 彼はロジャー・フェデラー(スイス)やラファエル・ナダル(スペイン)のような選手たちを倒したことがある。足の間から放つショットで観客を沸かせたかと思ったら、次の瞬間には粗雑で無礼な発言によって批評家たちを怒らせる。

 月曜日に行われたマレーとキリオスの試合は、この日の注目カードのひとつだった。しかしそれは、かなり迅速に、キリオスの敗退で終わった。

 第1セットの終わりはマレーがフォアハンドのランニングパスを放つと、キリオスがボレーをネットに打ち込んだ。

 「いい第1セットだったよ。でも残りはかなり悲惨だった」とキリオス。そして一瞬置いてから、こう言い添えた。

 「第1セットを落としたら、信じる気持ちを失ってしまったよ」。

 その心理的テーマの話を続けたキリオスは、また「ことがうまくいかなくなったときに、僕は少し甘い。経験を積みはしたが、根本的には精一杯努力し、長い時間を戦い続けるというのが肝心なことだ。でも今日の僕はまったくそうしていなかった」。

 彼は成功したいという意欲を強めるには何が必要なのか、よくわからないとも言った。そして、あたかも彼にとって物事が何を意味するかの具体的な例を提供するかのように、自分がセンターコートでの対マレー戦の準備をどのように行ったかを説明した。

 「正直に言うが、僕は今朝起きて、コンピューターゲームをプレーした」とキリオス。「それがもっとも素晴らしい準備の仕方か?どうかな。でも楽しかったよ」。

 マレーは先週を含め、過去に何度かキリオスの肩を持ち、メディアが彼を苛めすぎていると言っていた。

 月曜日の試合のあと、キリオスが試合の中で存在感を保ち続け、競り合い続けるためには、よりよい仕事が必要だという概念にマレーは同意した。

 「選手は各々違う。いろいろなことについて援助してくれる、相応しい人物を見つけることが大事だと思う。ある者にとってそれはコーチで、ある者にとってそれは心理学者だろう。ときには家族に問題を話して聞かせるといった、シンプルなことでもあり得る」とマレー。「問題への取り組み方は、たったひとつではないんだ」。

 キリオスの記者たちを前にした珍しく腹を割った告白の中で、彼はおそらくテニスでの成功に心から献身するかについて、自分は心を決めかねている、それについて相反するふたつの感情を持っているのだ、と考えていることを打ち明けた。

 「ときどき、前にも何度か言ったように、このスポーツが好きではないと感じる」とキリオス。「でもテニスがなくなったときに、僕が何をやるかもまたはっきりわからない。何かのゲームをプレーするのが好きなことは明らかだ。それは僕の人生で非常に大きな部分を占めているんだよ」。(C)AP