結果を残して活躍したいなら、節制して引き締まった身体にしよう。そんな現代の風潮に逆行するような存在が、今季からマリナーズに加入した元ソフトバンクの李大浩だ。■解析不能!?「“ユニーク”な体型、存在、打撃」と地元紙が特集 メジャーリーガー、あ…

結果を残して活躍したいなら、節制して引き締まった身体にしよう。そんな現代の風潮に逆行するような存在が、今季からマリナーズに加入した元ソフトバンクの李大浩だ。

■解析不能!?「“ユニーク”な体型、存在、打撃」と地元紙が特集

 メジャーリーガー、あるいは野球選手といえば、どんなイメージを抱くだろう。マーリンズの大砲スタントンのような立派な体格をした強打者? あるいは、ヤンキース守護神チャップマンのように時速160キロを超える速球で三振の山を築く剛腕投手? イメージした選手は、いずれも鍛え上げられ引き締まった、いわゆるアスリート体型をしているのではないだろうか。日本球界を見ても、日本ハムの大谷翔平やソフトバンクの柳田悠岐のように、堂々たる体躯を誇る選手が増えてきた。

 結果を残して活躍したいなら、節制して引き締まった身体にしよう。そんな現代の風潮に逆行するような存在が、今季からマリナーズに加入した元ソフトバンクの李大浩だ。テディベアのような愛くるしい体型ながら、今季すでに11本塁打を放つ大砲に、地元紙「シアトル・タイムス」電子版が注目。「スラッガー李大浩は、メジャーにはない“ユニーク”体型、存在、打撃」と題した記事を掲載している。

 メジャーで有名なポッチャリ体型といえば、メッツのベテラン右腕コロンだが、記事では李大浩も「大きくユルい」体型と指摘。そんなメジャーではあり得ない体型ながら、試合でインパクトを残し続ける事実に驚愕。先週末にシアトルで行われた試合前、両軍監督に「李大浩に似ている選手を知っていますか?」という素朴な疑問をぶつけている。

 28年間も球界にいるマリナーズのサービス監督は「体型はもちろん、彼の何もかもが、性格も含めてユニーク(独特)だ。誰も思い浮かばないよ」と答えたという。対戦相手だったオリオールズのショウォルター監督は、ヤンキースやレンジャース監督を歴任し、GMの経験も持つ生き字引のような存在だが、しばらく考え込んだ後で「多分誰もいないな。似ている人が思い浮かばない」と“ギブアップ”したそうだ。

■カウントで変わる“レッグキック”、打撃コーチは逆方向への打撃を高評価

 珍しいのは体型だけではない。日本をはじめアジアの打者は、打席で踏み込み足を大きく蹴り出してタイミングを取ることが多い。時速150キロを超えるツーシームを持つ投手が多いメジャーでは、この“レッグキック”を入れるとタイミングが遅れるとされ、あまり高く評価されない。特に、パワー打者は足を上げないノーステップ打法がほとんどだ。サービス監督も「強打者であれをする人はあまり多く見ない」と首をかしげながらも、長い時間ストライクゾーンにバットを残せる「アジア流打法」が身についていると評価したそうだ。

 マリナーズ伝説のDHで現在打撃コーチを務めるエドガー・マルティネス氏は、李大浩の“レッグキック”を徹底的に観察。カウントによって「時には(キックが)高くなり、時には低くなる」という法則を発見したという。また、ライト方向へ強い打球が飛ばせる能力にも注目。これには、サービス監督も同意見で「パワーのある右打者が右へ強く打球を飛ばせれば、大抵いいことがある。つまり意のままにストライクゾーンの球を操れるということだからね」と称賛したそうだ。こういった事実が、今季はこれまで163打数ながら11本塁打、打率.294という好成績につながっているのだろう。

 マイナー契約で招待選手としてメジャーキャンプに参加しながら、しっかり結果を残して開幕メジャーを勝ち取った李大浩。時代と逆行するポッチャリ体型のアスリートとして、後半戦もチームを勝利へ導く活躍をしながら、メジャーの常識を打ち破っていきたい。