夏の鍛錬期を終え、勝負の秋を迎えたヨット部。今大会はクラス8位以内に入った大学に対して、全日本学生選手権(全日本インカレ)への出場権が与えられる。早大からは各クラスに3艇ずつ送り出した。台風の影響もあり、2日目までに消化したのは両クラス合…

 夏の鍛錬期を終え、勝負の秋を迎えたヨット部。今大会はクラス8位以内に入った大学に対して、全日本学生選手権(全日本インカレ)への出場権が与えられる。早大からは各クラスに3艇ずつ送り出した。台風の影響もあり、2日目までに消化したのは両クラス合わせて3レースのみ。2日目を終え、早大は総合2位につける。最終日は各クラス4レースが行われ、非常に安定した走りを見せた早大は見事に2年連続の総合優勝を果たした。

 初日は風が弱く、なかなかレースが始まらなかった。一度は両クラスでノーレースもあったが、その後再スタートし、470級は1レースが成立。田中美紗樹(スポ3=大阪・関大第一)・嶋田篤哉(文構3=神奈川・鎌倉学園)組がトップフィニッシュで好発進を決める。しかし、西村宗至朗(社1=大阪・清風)・秦和也(基理3=東京・早大学院)組が30位と振るわず。スナイプ級のレースが行われなかったこともあり、総合4位で初日を終えた。続く2日目は台風25号の影響で朝から強風が吹き、出艇が見送られる。午後まで待ったものの風が落ちてしまい、両クラスともに1レースのみの実施となった。470級ではルーキーのスキッパー西村・秦組が1位に入る活躍を見せ、早大は470級クラス1位に浮上。一方で、スナイプ級は全日本学生個人選手権チャンピオンの松尾虎太郎(スポ2=山口・光)・海老原崇(法3=埼玉・川越東)組がトップフィニッシュしたものの、岩月大空主将(スポ4=愛知・碧南工)・三宅功輔(商4=東京・早大学院)組がまさかのBFD(※1)。慶大が15点でまとめてスナイプ級でトップに立ち、早大は4位にとどまる。総合では1位の慶大に7点差を付けられ2位で最終日を迎えることとなった。


存在感を示した西村・秦組

 3日間で最も風が吹いた最終日は各クラス4レースが消化された。この日最初のレースは、早大から出場した6艇全てがシングルに入る好調ぶり。このレースでは慶大の1艇が470級で失格となり、総合順位で早大が5点差まで詰める。次のレースで470級、スナイプ級ともに早大がトップを取ると、総合1位に躍り出た。その後の2レースも全艇が崩れずに上位でまとめ、逆転総合優勝を決めた。また、抗議や審問を経た結果、総合2位は日大、3位は慶大となった。終わってみれば2位・日大に94点差を付けての圧倒的な総合優勝となった。


松尾・海老原組は3レース連続でトップフィニッシュを決めた

 今大会は2日目まで十分なレース数が行われなかった点やBFDを取ってしまった点において、創部史上初の4連覇を逃した昨年の全日本インカレの状況に似ている。実施されるレース数は最後までわからないからこそ、全日本インカレでは確実に総合優勝を果たすため、昨年の経験も生かして最初から首位に立っておきたい。また、全日本インカレは今大会よりも出場艇数が多いため、失格による点数も大きくなる。どんな局面であっても、大きな痛手となる失格は避けたいところだ。とはいえ、今回は早大の総合力の高さが実を結んだ。全艇がシングルでまとめるレースも複数あり、4艇が少なくとも一度はトップフィニッシュを飾っている。470級リーダーの元津志緒(スポ4=長崎工)も「徐々に調子も上がってきてるのを感じている」と手ごたえを語る。残す大会は1年間の集大成である全日本インカレのみ。約1か月、最終調整をして雪辱を誓う舞台に万全の状態で乗り込みたい。

(記事、写真 加藤千咲)

(※1)規則30.4(Black Flag Rule)に対する違反のこと。そのレースは失格となる。



※掲載が遅くなり、申し訳ありません


集合写真

結果

▽470級

早大(西村・秦組、元津・古橋捷太(先理4=東京・早大学院)組、田中・嶋田組)135点(1位)

▽スナイプ級

早大(岩月・三宅組、入江裕太(スポ3=神奈川・逗子開成)・原潤太郎(商3=埼玉・早大本庄)組、松尾・海老原組)120点(2位)

▽総合

早大 255点(1位)

コメント

スナイプ級スキッパー岩月大空主将(スポ4=愛知・碧南工)

――総合優勝という結果についていまのお気持ちをお聞かせください

私自身失格をくらって、チームの足を大きく引っ張ってしまった中でも、他のメンバーがしっかり走ってくれてすごい助けられた部分が大きくて早大のいまの底力を実感できて、全員でつかんだ秋の総合優勝だなと感じました。

――ご自身の走りは

自分は本当に大きい失敗をしてしまって、昨年の全日本インカレでも痛い思いをしたBFDをしてしまって、チームにとってはすごい大きな点数を付けてしまったところはすごい反省しないといけない部分ですし、全日本インカレでは絶対にやらないように残り1か月切ってますけど修正をしっかりしていきたいと思います。本日の4レースに関しては比較的3杯ともしっかり走れて、自分もしれなりに持てる力は出せて、シングルに入ることもできたのできょうの北風の部分で見ればすごい成績としては良かったと思います。

――BFDはどういう状況でしたか

スタートの有利不利が激しくて、右から出ないと不利になってしまう状況でした。自分は右から攻めていたんですけど、やっぱりそこは人がたくさん集まって混戦になってしまって、かたまりごとラインを切ってしまって、自分を含め周りの艇が番号を読まれてBFDが付いてしまった状況でした。

――初日、2日目は少ないレース数となりましたが、全日本インカレではそういった場合どのように対応していきたいですか

今回、最後まで誰も諦めることなく、レース数があると信じて1レース1レース準備をして「これが最終レースかもしれない」って思いながら取り組んで、1レースずつスコアを慶大に対して上げていって、最終的にしっかり逆転してそのまま最終レースは勝ちを守りきって勝ったという状況で、今回少ないレース数の中でも勝ち切ったという自信が全員の中にあると思うので、それは全日本インカレに向けても大きな財産だと感じます。実際全日本インカレで少ないレース数になったとしても、焦ることなく粛々と1レース1レースに向けて準備をするだけだと思います。

――全日本インカレに向けて意気込みをお願いします

もう総合優勝、王座奪還あるのみです。今回早大の底力を見られて、特に下級生の支えが大きくて、自分たち4年生はそれに応えられるようにやっていかないといけないですし、全日本インカレでもチーム一丸となって王座奪還に照準を合わせて、この1か月準備をしていって最後まで勝ち切るということをしていきたいと思います。

470級スキッパー元津志緒(スポ4=長崎工)

――総合優勝されて、率直ないまの気持ちをお聞かせください

すごいうれしいです。秋勝てたことは結果としては良かったんですけど、内容的にもいいところももちろんわかりましたし、全日本インカレにつながる大会になって本当に良かったなと思います。

――470級はチームとしていかがでしたか

クラス優勝できたということはすごい良かったなと思っていて、3艇まとまって特にきょうは結構良い順位で回ることができた場面もあったので、徐々に調子も上がってきてるのを感じていて、全日本インカレに向けて残り数日できることをやっていって、総合優勝するために470チームで上位を走れるように頑張りたいと思います。

――3日間通してご自身の走りは

前半は南風でうねりも大きくて台風の影響もあっていつもと少し違うコンディションで、対応する力が求められていてその中でのレースはあまり良くなくて、スタートもあまり決まっていない感じでうまくいかないことの方が多かったのが印象に残っています。きょうはきのうおとといとは違って北風で練習のような走りができなのではないかと思います。

――470級はクラス優勝されましたが、強みはどこにあると思いますか

早大全体的にそうなのかもしれないですけど、個性が強くて自分がこうしたいというのをみんながそれぞれ発信してたり、そういうオーラがあったりっていうのはすごい良いところだなと思っています。あとチームで勝つっていうことを目標にしているので、雰囲気がすごく良いと思っていて、レース前とか特に、あまり緊張しすぎないようにいつも通りやるということができるチームだと思うので、いつも通りをレースでするというのは簡単なようですごく難しいことだとで、それができるチームは勝てると思うので、全日本インカレに行ってもいつも通り練習でやっていることを発揮できるチームを残りの数日でもう一回つくり直していきたいと思っています。

――全日本インカレへの意気込みをお願いします

もちろん全日本インカレで総合優勝するために、今まで1年間みんなで頑張ってきたので、もちろん総合優勝を目標にするんですけど、総合優勝するためにまず自分たちは470チームとして上位を走りたいです。総合優勝を掲げてるというのはスナイプと470で助け合って勝てるのが良いところだと思っていて常に総合優勝を意識してきたので、最後の最後までチームで助け合って笑って終われるように過ごしたいと思っています。