専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第175回 今回は、ゴルフ場同士の提携の話をしたいと思います。 関東や関西の名門コースの一部では、他の名門コースと提携(レシプロ)を行なって、相互交流を図っています。 具体的に…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第175回
今回は、ゴルフ場同士の提携の話をしたいと思います。
関東や関西の名門コースの一部では、他の名門コースと提携(レシプロ)を行なって、相互交流を図っています。
具体的に言うと、関東の名門コースは、北海道の名門コースや、軽井沢、富士山周辺のリゾートコースと提携し、お互いのコースをプレーできるようにしています。つまり、関東の名門コースのメンバーさんたちは、夏場の猛暑に関東ではとてもラウンドができる状況ではないとき、涼しい軽井沢や北海道に行って快適にプレーするわけです。
しかも、遠征してラウンドするコースは、自らが所属するコースと同じグレードで、メンバーの質もいい。誠にコンフォータブルではないですか。俗に言う「金持ち喧嘩せず」の精神で、メンバーさんたちは各々交流を図って、お互いにゴルフ人生をエンジョイしているのです。
もちろん、関東の名門コースは、沖縄の高級リゾートコースとも提携しています。冬場、凍えるような寒さの関東を離れて沖縄に行けば、暖かくラウンドができるとあって、メンバーさんたちは”ひと粒で三度美味しい”状態です。
海外に目を向けると、このレシプロ戦略は、ワールドワイドな広がりを見せています。
マレーシアのクアラルンプールにあるロイヤル・セランゴーン・ゴルフクラブは、アジア屈指の由緒ある超名門クラブで、王室御用達のコースです。なにしろ、名称に「ロイヤル」と付いているぐらいですから。
そのコースの日本人メンバーと知り合いで、そのコースのすごさを聞いて、びっくり仰天しました。レシプロコースについては、100近くに及ぶそうです。
なおかつ、そのコースのレベルが半端ないです。例えば、120年以上の歴史を持つ名門・香港ゴルフクラブや、アジア有数の景色が広がるマカオゴルフ&カントリークラブに、日本のスリーハンドレッドクラブなど、一般ビジターではまず入れないコースのオンパレードとなっているのです。
優雅なゴルフライフを楽しめる方々が本当にうらやましい......
そんなわけで、超名門コースの会員にひとつでもなっていれば、1年中、居心地のいいラウンドが保障され、実に効率的です。当然、移動費、宿泊費、ラウンド代など、もろもろお金はかかりますけど、そうした超名門コースのメンバーさんなら、みなさんお金持ちですから、その辺は気にしないのでしょうね。
翻(ひるがえ)って、庶民だって、バイキング料理のように、あれこれ選んでラウンドしてみたい――そう思うのは、もっともです。
そういう方には、共通会員権システムを取っているゴルフ場がオススメです。
有名なのは、『太平洋クラブ』ですよね。関東を中心に、17コースが共通コースとして存在しており、どのコースもメンバー扱いでラウンドできます。そりゃ、17もコースがあったら、愛人を17人も抱えているみたいで、ほんと体がもちません……って、それは妄想激しすぎです。
ただ、人気コースに予約が集中することもあって、なかなか予約が取れないとか。2017年現在、会員数は1万7000名ぐらいと聞いています。それで、17コースを持ち合っているのですから、人気は偏りますよね。また、ゲスト料金がちょっとお高めで、友人を誘いづらい、という人もいるみたいです。
共通会員権は、基本的にはひとつのコースを自分のホームコースとして選び、そこで月例などの競技に参加するシステムです。ですから、見栄を張って、遠い高級コースをホームコースに選んだりすると、せっかく会員になったのに、結局「あまり行けなかった」なんてことにもなりかねません。
自分なりの使い方を吟味して、身の丈にあったコース選びをすることが大切です。
他にも、グループになっているコースであれば、メンバー以外のコースでも割引料金でプレーできる、というサービスもよく耳にします。
以前、私が入会していたコースにも、まあまあのコースが同じグループということでプレーできたのですが、実際に行ったのは、たったの1回でした。
なぜ、行かなかったのか?
それは、割引と言っても、メンバー料金でプレーできるわけじゃなくて、通常のビジター料金から2000円~3000円ぐらい引いてくれるだけだったからです。それでは、さほどメリットはありません。
それに、行くときはひとりでふらりと、というわけにはいきません。一応、よそのコースですから。そうなると、1組予約を取って、友人に「○○クラブへ行かない?」って誘わなければいけないのが、面倒くさいのです。
慣れないコースへ行くために、なんで、友人にわざわざ気を遣って、ゴルフに誘わねばならないのか。やっぱり、初対面の”愛人コース”っていうのは、手間も、お金もかかる? そういうことなんですなぁ……。
まあ、そうしていろいろと考えた挙句、インターネットを見てみると、予約サイトが充実しており、ほとんどのコースをビジターとしてプレーできるじゃないですか。2サム保証も多く、2人から気軽にプレーできるのもうれしいです。
そのうえ、予約サイトでプレーできるコースは価格競争が激しく、関東の奥のほうであれば、平日は3980円で昼食付き、というのがざら。都心の名門コースだと、土日はすべて込みこみで4万円ぐらいですから、ざっと10分の1の料金です。
これは、銀座の高級クラブで4万円で飲むのと、郊外のガールズバーで4000円で飲むのと、とても構造が似ています。それでもって、銀座のお姉ちゃんに「以前はどこの店にいたの?」と聞いたら、「郊外のガールズバーにいた」なんて言われた日には、ぜひそこに戻ってもらって「安く飲もうよ」って言いたくなりますよね。
というわけで、共通会員権というシステムは、ひと頃の輝きを失っているのかもしれません。実際、『太平洋クラブ』は、会社更生法の適用を受けていますからね。ちなみに現在は”ホワイトナイト”の登場によって、再び活気を取り戻しているようです。
一番いいのは、友人がどこぞの名門クラブのメンバーで、そこにお呼ばれするのが楽です。すなわち”ひとりレシプロ”を実践すれば、非常に楽しい名門クラブ巡りができます。
とはいえ、名門ゴルフ場を気軽にリクエストして、本当に大丈夫なのだろうか?
これが案外、大歓迎されます。お金持ち目線で言えば、名門コースの会員になったのはいいけど、ゲストだと平日でも2万5000円ぐらいするプレー代にビビって、知り合いを誘っても敬遠する人が多い、と嘆いているのです。
名門コースのメンバーは、さりげなくクラブライフを自慢したいし、知り合いと気軽にラウンドしたかったのもあって、まさしく桂文枝の「ビジターさん、いらっしゃ~い!」という心境です。
そこで、”ひとりレシプロ”の達人としては、「素敵なコースですねぇ~」「一生の思い出になりましたぁ~」と言って、メンバーさんを持ち上げてあげる。さすれば、メンバーさんも気分がよくなって、「ドリンク、どんどん飲んで」「昼飯、おごっちゃおうかなぁ~」なんて、言ってしまいがちです。
一方、庶民コースのメンバーさんに頼んでラウンドをリクエストしますと、一応歓迎してくれますけど、愚痴が多いです。
「最近、年会費が上がってさ、5万円だよ。年10回、土日に来ないと元取れないじゃん」とか、ぼやくことしきり。昼休みになると、「ビジターはいいよなぁ、ランチがついて4980円だろ。こっちは、食事なしで4980円だからな。あぁ~、ビジターになりたい」などと嘆きまくります。
やはり、お値打ちなのは、ネットで予約して、ささっと2サムでプレーしたほうがよさそうですね。