第7回は、今年からペアを組み始めた桃井伶実(スポ3=石川・金沢向陽)・平野紗妃(スポ1=福岡・九州国際大付)組。リーグ戦では全敗となってしまったが、東日本学生選手権ではベスト16入りを果たし、「自信がついてきた」と語る。インカレではさらに…

 第7回は、今年からペアを組み始めた桃井伶実(スポ3=石川・金沢向陽)・平野紗妃(スポ1=福岡・九州国際大付)組。リーグ戦では全敗となってしまったが、東日本学生選手権ではベスト16入りを果たし、「自信がついてきた」と語る。インカレではさらに上を狙う二人の思いをお聞きした。

※この取材は9月29日に行われたものです。

真逆だけど一緒


今年からペアを組み始めた


――はじめに、お互いを紹介し合う他己紹介をしていただけますか

桃井 性格は……なんか恥ずかしいな(笑)。

平野 (笑)。

桃井 すごくマイペースです。あと、インドア。ずっと寝てる感じ(笑)。

平野 性格は、すごいハッキリしてる。決断力とか。生活面でも早寝早起きだし、自分と真逆(笑)。

桃井 そういう面では真逆なんですけど、好き嫌いとか考え方は一緒な気がします。

――バドミントンを始めたきっかけを教えてください

桃井 いとこもお姉ちゃんもずっとバドミントンをしていました。兄弟がやっていたからその流れで自分も始めました。小1からジュニアのチームに入って、という感じです。

――他のスポーツをやってみようと考えたことはありましたか

桃井 そんなに運動神経が良くないので……(笑)。でも小学校のときは水泳とかピアノとかいろいろやっていました。

平野 英才教育。

桃井、平野 (笑)。

――平野選手はいかがですか

平野 自分もいとこがバドミントンをやっていて、いとこに連れられて年長さんの時に始めました。昔は水泳も習っていました。

――ダブルスを専門的にやろうと決めたのはいつ頃でしたか

桃井 自分は小学5年生くらいです。一緒に組んでいた子が、保育園からずっと一緒で。高校の時とかはシングルスもやっていたんですけど、ダブルスの方が成績を残せていたので、やっていて楽しかったし。

平野 自分は高2。ダブルスは団体戦のときに出るくらいで、専念するようになったのはそれくらいからです。

――ダブルスの魅力はどんなところですか

桃井 二人で一緒に考えながら頑張れるところですね。

――高校ではお二方ともにインターハイベスト8となりましたが、今振り返ってみて、高校時代の自分はどのような選手でしたか

桃井 本当にバドミントンだけっていう感じの生活でした。朝練もあったし、家から学校も遠かったので、家帰ってすぐ寝て始発で出て。遊ぶ時間もなかったし、学校でもバドミントンのことばかりでした。

――プレーの面ではいかがでしたか

桃井 組んでいた人が、パワーがある人だったので。自分はどっちかというと、今と違って、前で球をつくってその人に決めさせる感じでした。

――平野さんはいかがですか

平野 みんな寮生だったので。朝練も自由だったし、夜も練習が終わった後も体育館が使える環境だったので、バドミントンを第一に考えて次に勉強っていう生活でした。

桃井 勉強してたんだ……(笑)。

平野 クラスがスポーツクラスだったんですけど、その中では1、2番でした。

桃井 すごい。

平野 スポーツクラスなので授業が午前中で終わって、その後はずっと練習っていう感じで。キツイっていうイメージしかなかったです。

――特に辛かった練習はなんでしたか

平野 坂ダッシュもきつかったけど、インターバルもキツかったです。坂を含むインターバル走なんですよ。アップダウンもあってそこを走るのがキツかったです。

――大学進学か実業団か、進路を決めたのはいつ頃でしたか

平野 自分はギリギリまで悩みました。でも実業団に行ってやれる自信がなかったので。

東日本の転機

――ワセダを選んだ理由はなんですか

桃井 ワセダは監督もいなくて自分たちで全部考えなきゃいけないので、そこで自分のやりたいこともできるし、考えて行動する力もつくし、その力が社会に出たときに役立つと思いました。あとは、ネームバリューも少し(笑)。高校2年の3月くらいに先生との面談があって、そこから行きたいと思っていたんですけど、でも結果を残さなきゃいけないので。まずは結果を残すことしか考えていなかったです。

平野 自分は、中学1年生の時に高校3年生の先輩がワセダに行って、その時は早稲田大学に行きたいってすごく思っていたんです。その後(進路に)悩んだ時にそれを思い出したのと、大学に行くなら関東1部、トップでやりたいと考えたので。決めたのは高2の冬くらいの面談でした。

――実際に自律性が求められる場面はありましたか

桃井 高校時代はすごく言われて行動していた分、今はなにが自分に必要なのか指摘してくれる人がいないので。

平野 自分も時間の使い方にはすごく気を付けます。高校生の時は周りもバドミントンだけだったけど、また一年生に戻ったので準備もやらないといけないし、そういう環境のなかでも自分の練習をやっていかなきゃいけないというのがすごく厳しいです。

――平野選手は練習面で難しいと感じる部分はありますか

平野 最初は周りばかり気にして自分の練習のことは考えられていなくて。でも春リーグ(関東大学春季リーグ戦)が終わって全然通用しなかったときに、自分を見つめ直したというか。そこからは上手くやれるようになってきたかなと思います。

――モチベーションの維持はどのようにしていますか

桃井 やっぱり結果を残したいので。そのために「ここで頑張れば……」みたいな考え方はすごくします。

――プレーの持ち味や癖を教えてください

桃井 連続ミスが出る(笑)。自分はここに打っちゃダメってわかっていてもそこに続けて打ってしまうのが最近の課題です。

平野 自分は、色んなことをしたがる(笑)。だから変なミスをたまにしてしまいます。1本1本確実に点数を積み重ねるということをしっかりやって、そのうえで違った正しいことをできたら良いなと思います。

――自分の中で転機になった試合はなんでしたか

桃井 高1のJOC(ジュニアオリンピックカップ)で中学生に負けてしまって。地元開催だったのもあって、このままじゃいけないという気持ちが強くなりました。全国で優勝するのが目標だったのに、下の学年に負けているようじゃダメだ、という気持ちになりました。

平野 試合というか、高2から高3の、キャプテンになった時に考え方が変わりました。選抜(全国高校選抜大会)のシングルスで、怪我もあったんですけど、負けてしまって。そこからシングルスで試合をするのが怖くなってしまって、インターハイも勝っていたのに負けてしまって。でも、それでも開き直って楽になってから勝てるようになりました。

――お二人がペアを組むようになったきっかけはなんですか

桃井 春合宿で色々試して、そのなかで一番組みやすかったからです。球をつくってくれるので、自分がやりたいようにさせてくれる。

平野 二人でぶつかるとかもないし。組みやすかったのは桃井さんでした。

――最初のお互いの印象はいかがでしたか

桃井 全然実力が追いついてないという感じでした。二人が組みやすいというのは良いけど、個々の技術とかは他の大学に比べたら全然だったので、何も通用しなくて。何をしていいのかも分からなくて、絶望的でした。

――秋リーグ(関東大学秋季リーグ戦)のインタビューで東日本学生選手権(東日本)をきっかけに自信がついた、とおっしゃっていました。大会期間中のどのタイミングでそのように思われたのですか

平野 リーグで勝ってない、関東学生選手権も1回も勝ってない、なのに東日本で勝てた、やっと勝てたっていうのが自分的にはあって。そこで、負けより勝ったときの喜びの方がメンタル的に大きくて。全然だめってことないじゃん、やればできるってなって。鈴木(ゆうき、社1=宮城・聖ウルスラ学院英智)・吾妻(咲弥、スポ2=福島・富岡)がいないから自分たちがやるしかない、ってなった時に練習も意欲が湧いたっていうのはあります。

――春に比べてお二人の試合中のコミュニケーションが増えているなと感じました

桃井 東日本はすごい喋ってた気がする(笑)。無駄な話もしたよね(笑)。

平野 インカレは本当に出たかったんですよ。そこだけはすごいあったので。

桃井 自分は、(インカレに)出たいけど、すごく勝ちたいって思うと空回りしちゃうので。入っちゃって周りが見えなくなるタイプだから、喋ってるとリラックスして、相手も見えてくるっていうのが東日本ではあったかなって思います。


1年生ながら春から試合に出場する平野


趣味は「K−POP」(桃井)、「韓ドラ」(平野)

――少しプライベートな質問に移ります。学校生活はどうですか

桃井 学校は楽しいですね。教職を取っているので、実技とか、嫌なやつでもとんなきゃいけないやつがあるときは本当に行きたくないなって感じです(笑)。

平野 最初って大体1人じゃないですか。部活でみんな固まっちゃうから、それがすごい嫌でした。最初はひっそりしていました(笑)。1人の人いるな~ってくらい。めっちゃ喋れるっていうタイプじゃなくて、人見知りがすごいんです。今は、前期で友達ができて、後期一緒に授業を取ったりしています。

――部のホームページに今年の抱負は文武両道とお二人とも書いていますが、実際どうですか

桃井 それはやっぱり教職。将来は教員になりたいと思っているので、学校は部活も勉強も頑張らなくてはいけなくて。勉強は勉強、ってはっきりしたいなっていう目標です。勉強はやんなきゃいけないって思うんですけど、部活もあって。良くないなぁって思いながら3年生になっちゃいました(笑)。

平野 授業でしか勉強してないです。でも、テスト勉強は頑張りました。テスト勉強してると眠たくなるんですよね。

――オフの日は何をされていますか

桃井 一人暮らしで。オフの日は家にいますね。やることやって、テレビ見て、気づいたらもうこんな時間だって。ケータイ触っちゃう。いつのまにかオフが終わっちゃうんですよ。

平野 土日に練習がある日はあんまりどこも行かないです。けど、月曜とかは逆にどっか行きます。学校帰りに服見たり、外に行きます。新宿とか所沢のエミオとか。バスがちょっと面倒なんですけど、入間のアウトレットも2回行きました。

――寮生活ではなく一人暮らしを選んだ理由は

桃井 寮だと人がいっぱいいるじゃないですか。リラックスできないっていう感じで。

平野 自分は逆に6年間寮だったので、もう寮は嫌だって。一人暮らししてみたいなって思いました。実際やってみると寂しい(笑)。誰かいてほしいなって。ホームシックじゃなくてみんなシックです。

桃井 最初はさみしすぎていつも親とかに電話してたけど、1人の時間も必要だなって思う。3年くらいになったら1人の時間ほしいなって思うよ。

――趣味はありますか

桃井 最近Kポップにハマっていて。SHINeeが好きです。曲もそれしか聞かない(笑)。ケータイにそれしか入ってないです(笑)。

平野 一時期は韓ドラにハマっていました。結構見ています。『太陽の末裔』は定番です(笑)。俳優よりかはあのストーリーが好き。

――試合前のルーティンはありますか

桃井 ないね(笑)。

平野 まず、それをせないけんってのが無理。トイレ行くとか。

桃井 それは行きたいからでしょ(笑)。でもルーティン作ったらできなかったときがいやだ。ルーティンしなかったから調子悪いとかなっちゃいそう。気にしちゃいそう。

――好きな食べ物は何ですか

平野 オムライス。おばあちゃんのオムライスが好きです。それ食べてから大好きになりました。帰省して最初にオムライス!って言う(笑)。会うたびにオムライスって言っています。お店行って、オムライスがあれば頼むけど、おばあちゃんのを食べたくなっちゃいます。結構オムライス食べますね。

桃井 抹茶ですね。1回先輩と抹茶のスイーツを食べに神楽坂に行って、表参道に行って、ぶらぶらしました。

――今年のインカレは京都開催ですね

桃井 そうなんですよ(笑)。

平野 箱に入ったティラミス食べてみたい。

桃井 でもそれ入間にあるらしいよ。友達に抹茶好きな子がいて。月1で食べに行こうみたいな感じになってて。忙しくて、今はあんま開催されてないんですけど、楽しいです。

――先程少し話にあがりましたが、リラックス方法などはありますか

桃井 自分はYouTube。SHINeeの(笑)。

平野 結構お風呂浸かるのが長くなる。だいぶ浸かりますね。普段でも30分は浸かると思う。入るときは1時間とか入っちゃうこともあります。中でテレビとか見ます。TVerとか見ながら入っちゃう。

――好きなユニフォームの色はありますか

桃井 薄い方が良い。

平野 今なら青。

――この試合にはこのユニフォームを着たい、など考えながら選んでいるのですか

桃井 そのときそのときによります。

平野 シングルは考える。ダブルスは(桃井に)合わせます。東のシングルスのときはインカレ決めとかあるじゃないですか。自分の好きなやつ着ようっていうのはありました。あんまり好きじゃないのはあんまり着ないです。

桃井 そのときの気分で、これにしよって。

――ラケットやシューズなどにこだわりはありますか

桃井 グリップは下を太く巻くようにはしています。そこでしっかり止めないと(ラケットが)けっこう飛んでいっちゃうので。それないとほんとに飛んでいっちゃう(笑)。打ったらぽーんって(笑)。下を太く巻かないとだめですね。

平野 ラケットは絶対軽いのがいい!グリップはきれいに巻ければいい(笑)。

――平野選手はシングルスとダブルスを兼任することが多いですが、そのときはラケットを変えていますか

平野 変えないです。逆に変える人はすごいって思う。(ラケットを)変えると感覚も変わるじゃないですか。だから、器用じゃないのであんまりできないです。

桃井 ラケットはあんまり気にしないです。

――ガットやグリップなどの色はどうですか

桃井 ほんとに何もないなあ(笑)。グリップは黄色しか使ったことないかも。こだわりがあるかって言われたらないですね。でも、赤とかにしたらなんか嫌だなって感じ(笑)。

平野 ありますよ。ガットは、色つきは嫌で白とかクリーム色。グリップは白、ピンク、黄色が好き。ディズニーのグリップとかあるんですよ。裁縫道具みたいな(笑)。小学生のころはそればっかり使っていました。YONEXのTシャツにもあるじゃないですか。めっちゃそういうのを使っていました。

勝ちでチームに貢献したい


秋リーグは全敗と厳しい結果に終わってしまった


――先日の秋リーグではチームとして厳しい状況の中、ダブルスに出場されて、平野選手はシングルスも出場されました。リーグ戦を終えてみて、今の気持ちは

桃井 団体戦で戦えたのは良かったんですけど、勝ちに貢献することが1回もできなかったので、インカレでしっかり結果を残せるように、もう1回考え直していかなきゃいけないなって思いました。

平野 自分も内容は悪くなかったけど、勝ちきれてないところがあるから、勝てるように二人でやっていかないといけないなって思いました。

――ここを直したらインカレでは勝てるだろうといったポイントはどこだと思いますか

桃井 ずっと課題にしていた連続でとられるところを2、3点くらいで流れを止められるようにしないといけないなっていうのは話しています。

――桃井選手にとっては3回目の、平野選手にとっては初めてのインカレです。まず、個人戦への思いを教えてください

桃井 とりあえず一つ一つを大事に考えながら、どこまで勝ちたいとかじゃなくて、最初の試合のことを考えながら、また次にいきたいです。一気にどこまでいきたいとか考えないで、目の前の試合を大事に頑張っていきたいなって思います。

平野 とりあえず1回は勝ちたいし、ダブルスに関しては自分だけじゃないので、精一杯やることを目標に頑張りたいです。

――団体戦はアベック優勝を目標に掲げていますが、それにあたってキーポイントとなるのはどこだと思いますか

桃井 吾妻と鈴木が(ダブルスとシングルスを)兼ねると思うんですけど、ずっと戦っていくと、疲労がたまってくると思います。そんな中でしっかり自分たちが勝って、「後ろに回さない」くらいの気持ちでいきたいです。何試合か重なると負担が増えると思うので、二人の疲労が軽くなるように自分たちが1つでもチームに貢献できたらと思います。

平野 勝ちたいです。切実に(笑)。

――最後に、お二人にとってバドミントンはどのような存在ですか

桃井 いろんな人と関わることができるので、人間性を成長させるもの。感謝の気持ちだったり、チームでの協力、強調性だったりを身につけることができたのはバドミントンのおかげだです。沈んでいても部活に行くと楽しかったです。

平野 対人スポーツでもあるので、人間性、感謝とかは1番感じられるスポーツです。私がこの大学に来たのもバドミントンをしていたからだし、進学とかを考えたときに、自分バドミントンやってなかったらどうだったんだろう、って思うこともたまにあります。それぐらい、自分の1番の強みです。今までも、これからも。そんな感じです(笑)。

――ありがとうございました!

(取材・編集 石名遥、山本小晴 / 編集 望月優樹)


二人でWポーズをしてくれました!


◆桃井伶実(ももい・れいみ)(※写真右)

1997年6月20日生まれ。162センチ。スポーツ科学部3年。石川県金沢向陽高校出身。ダブルスプレーヤーとして活躍する桃井選手。インカレでは1試合1試合を大事にしていきたいと語ってくれました!SHINeeについて話す時の目の輝きが素晴らしかったです。

◆平野紗妃(ひらの・さき)(※写真左)

1999年4月7日生まれ。157センチ。スポーツ科学部1年。福岡県九州国際大学付属高校出身。秋リーグではシングルスとダブルス療法に出場した平野選手。試合中のポーカーフェイスが印象的ですが、時折見せるガッツポーズをインカレでも見せてください!色紙には「感謝」と書いてくれました!