リオオリンピック以降、卓球の試合を観戦する人達が増えてきた。最近では、イオンレイクタウンなど、比較的小さなスペースでも実演が出来ることもあり、ショービジネスとしての卓球の可能性が少しずつ見えてきたところだ。【卓球・Tリーグ】イオンモール幕張…

リオオリンピック以降、卓球の試合を観戦する人達が増えてきた。最近では、イオンレイクタウンなど、比較的小さなスペースでも実演が出来ることもあり、ショービジネスとしての卓球の可能性が少しずつ見えてきたところだ。

【卓球・Tリーグ】イオンモール幕張新都心でT3イベントが開催 卓球界の“エンターテイナー”が盛り上げた

一方で、卓球のコアなファンは、主に卓球をプレーする人達だ。一流選手のようなプレーに憧れて、日々練習をしプレースタイルを磨く。しかし、卓球は特に使う用具によって、プレースタイルが大きく変わる競技である為、どんな用具を使うかも重要だ。ただ、用具を気軽に試し打ち出来る場所は限られている。

今回は、そんな卓球愛好家にとっては願ってもないイベントに参加してきた。その名も「卓球メーカー10社合同試打会」



本イベントに参加する為に、会場である老舗卓球場、ITS(アイティーエス)三鷹卓球クラブへ訪問した。

(取材・文・写真:座間辰弘/Rallys編集部)



ユーザーとメーカーの垣根を無くすことがイベントの目的



(出典:ITS三鷹Facebookページ)

9月17日の昼頃に会場入りをすると、写真のような大盛況だった。「これでもピーク時の1/5の人数になったんですよ」とITS三鷹クラブのイベント担当者、織部隆宏氏は語る。

織部氏に伺ったところ、「卓球ファンと卓球メーカーが直接繋がれる場を作ることで、ファンもメーカーも垣根無く楽しめる場を作ることが本イベントの目的」だと言う。

卓球用具の性能、使い勝手は人それぞれだが、そのリアルな声を知るにはWebサイトや雑誌での口コミ・レビューが手っ取り早い。あまりにいろんな情報があり、ユーザー側もどの用具にするべきか迷ってしまうが、実はメーカー側も製品開発の参考意見にするには偏りがある為、非効率な側面が大きかった。

そこで、実際に用具を打ってもらい、ユーザーの声が直接メーカーに届く場を設けることで、お互いの意見が通じやすい環境を作ることが今回のイベントの目的だった。

中高生を中心に合同試打会の会場は大盛況



(出典:ITS三鷹Facebookページ)

今回、来場者の中心は中学生と高校生。卓球人口の中で最も多いプレーヤー層がこぞって来場し、思い思いに普段は試せないラケット・ラバーを使っていた。

特にラバーの球離れ、ラケットの硬さなどは、普段使っているラバー・ラケットとどう違うのか実際に打ってみないと分からないが、学生は特にお小遣いでやりくりする為に、そう簡単にたくさんの用具を試すことが出来ない。

だからこそ、学生にとっては特に「お得な」イベントだったと言える。



出典:ITS三鷹Facebookページ

また、1人で来た参加者や、親子連れで来た小さな子供も、クラブのコーチや、メーカー担当者が相手になってくれるので、気兼ねなく試打をすることが出来た。

どんな人にとっても卓球用具の違いを楽しめる場として、イベントは大盛況であった。

荻村氏が始めたITS三鷹卓球クラブ



ピンポンスポットより

今回のイベントが開催されたITS三鷹卓球クラブは、1988年に日本初の会員制卓球クラブとしてはじまり、30年の伝統があるクラブだ。

卓球の普及に努めた“ミスター卓球”こと荻村伊智朗氏により設立され、プロ卓球選手輩出を目指しつつ、地域に根ざした、学校や企業の都合に左右されない、卓球を愛する人が継続して参加できる卓球コミュニティを目指し創られた。

これは、現在で言うところの「総合型地域スポーツクラブ」のさきがけとも言える。Tリーグに参加しているチームの中にも地域に根ざしたスポーツクラブを標榜しているところがいくつかあるが、現在の30年ほど前にそれを実現しようとしていたのだ。

荻村氏が亡くなった今でもITS三鷹卓球クラブはコアな卓球プレーヤーが集まる場所だ。

今回の「卓球メーカー10社合同試打会」は、地元の卓球選手に限らず、SNSでの口コミなどから来場した人も多く、卓球コミュニティの絆を改めて感じる機会となった。

ITS(アイティーエス)三鷹 卓球クラブ

施設名 ITS(アイティーエス)三鷹 卓球クラブ
住所 東京都三鷹市上連雀2-4-3
アクセス JR総武線 三鷹駅から 380m
TEL 0422-49-8629