専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第174回 なんとまあ、勇ましいタイトルですなぁ。 人間は老いてくると、視力が衰え、尿漏れが頻繁になり、ドライバーの飛距離が落ちていきます。そこで、老眼鏡を『ハズキルーペ』に変…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第174回
なんとまあ、勇ましいタイトルですなぁ。
人間は老いてくると、視力が衰え、尿漏れが頻繁になり、ドライバーの飛距離が落ちていきます。そこで、老眼鏡を『ハズキルーペ』に変え、尿漏れは尿漏れシートで吸収し、ゴルフもジジイが打つ「シニアティーから打たざるを得ないなぁ……」と嘆きます。
というわけで、今回はシニアティーを中心に、ゴルフ場のティーグラウンドの話をしたいと思います。
最近のゴルフ場は、多様性の時代だからか、さまざまなレベルに合わせてティーグラウンドを設けています。一番長いティーグラウンドは、チャンピオンティー、もしくはブラックティーで、プロツアーやクラブチャンピオンを決めるときなどに使用します。
次いで、月例などハンデ戦の競技会やメンバーがプレーする際には、ブルーティーを使用する場合が多いかな。ビジターで訪れて打つのは、おおよそレギュラーティー、もしくはホワイトティーとなります。
さらに、女子にはレディースティー、シニアにはシニアティーがあったりして、数えたらきりがありません。
たくさんあるティーグラウンドですが、実は併用していることが多いです。要するに、そんなに多くはティーグラウンドを作れないから、レディースティーとシニアティーを同じティーグラウンドにするとかですね。
そもそも、30年ぐらい前のゴルフ場には、基本「バックティー」と「レギュラーティー」の、ふたつのティーグラウンドしかありませんでした。その後、バブル景気がやってきて、外国人設計家がコースを作り始め、レディースティーを大量にこしらえたのです。
アメリカのコース設計においては、老若男女あらゆる層にラウンドしてほしいからと、もともとティーグラウンドを4つぐらい作るのが一般的。その考えのもと、日本でもティーグラウンドを増産したんですね。
それ以前は、女性ゴルファーそのものが少なく、需要がなかったのもあるでしょう。私が以前に会員だった鶴舞カントリー倶楽部でも、ミレニアムのちょっと前の頃、女子ティーを新設する工事をしていましたね。
今の時代、レディースティーがないのは、パワハラですよ。そういえば、女性の入会を認めていないコースもありましたね。あれは何ですか? 相撲の土俵と勘違いしているんですかね。
女性専用のハンディキャップやコースレートができたのも、およそ20年前です。昔の月例競技や理事長杯は男女混合で、全長6700ヤードぐらいのコースを、女子も一緒にラウンドしていました。
これは、今思うと異常な光景です。ドライバーの飛距離200ヤード未満の女性が、全長6700ヤードのコースをラウンドするって、もはや苦行、いじめです。
だって、現在の女子プロトーナメントですら、全長6200~6600ヤードぐらいのコースで行なわれています。6700ヤード超えのコースで戦うなんて、年に1、2回あるかどうかです。
それなのに、なんでアマチュアの女子がプロよりも長いコースでやらなければいけないのか? 不思議でしょうがありませんでした。
さて、いよいよ本題はここからぁ~。
問題は、シニアティーの存在と、その使われ方です。
ゴルフ場では、飛距離の落ちたシニアのためにシニアティーを設けているにもかかわらず、そのシニアティーでラウンドしているジイさんを見たことがありません。いったい、これはどういうことでしょう?
さまざまな理由がありますが、一番の原因は「年寄り扱いされるのが嫌だから」でしょう。
今や、名門クラブや古いゴルフ場のメンバーの平均年齢は、60歳近くになっています。ということは、ゴルフ界では60歳が若造、70歳で普通のオヤジ、80歳でようやく先輩です。だから、60歳でシニアティーを使うなんて、ありえないのです。
一方で、シニアティーとほぼ同じ場所にあるレディースティーの需要は、逆に増えています。コンペなどでも、女性は飛ばないから「レディースティーを使ってください」と強く勧められます。
レディースティーのポジションは、ひどいとレギュラーティーから100ヤードぐらい前にあったりします。そんな前から打てば、レギュラーティーから打つ男子よりも飛ぶことが多いですから、コンペでも女性が「見事、ドラコンゲット!」なんてことがよくあります。
女性には、楽しいから「また来たい」と思ってもらわないと、オッサンばかりの集まりになって、男性陣も困りますからね。
ところが、シニアティーは驚くほど人気がありません。コンペでも「オレ、60歳過ぎたから、シニアティーで打っていい?」なんて、聞いてくる人は皆無です。もしそういうことがあって、「ドラコン、ゲットぉ~!」とか言ったら、「国賊モノ」「卑怯モノ」などと非難轟々でしょう。
結局、シニアティーは、レディースティーと違って、誰も打ちたがらないのです。
内心、最近ドライバーの飛距離が落ちたから、本当はシニアティーで打ちたいけれど、そんなことしたら、友人たちから絶交宣言を出される――そう思っている人が多いと思いますが、どうしたらいいでしょうか?
方法は、2つあります。
ひとつは、飛ばない飛距離をアプローチでカバーするやり方です。
まあでも、そんなことはとっくにやっていて、まったく進化なし。そもそもスコアなんてどうでもよくて、ドライバーを打ったとき、ひとり置いてきぼりにされるのが嫌なのですから、その解決法は無意味ですね。
そこで、ふたつ目の方法です。
“高反発ドライバーを使う”です。
正解は、これですかね。もちろん、シニアティーを使うのと同じくらい、非難される可能性もあります。
けど、現実的には圧倒的に飛距離が伸びており、一緒に回る友人たちも「ずるい」とか「あかんやろ」と言いつつも、「それ、どこで買ったの? (値段は)いくらした?」なんて、聞いてくるかもしれません。
言ってしまえば、「シニアティーから打つよりも、高反発クラブでカッ飛ばすほうが、100倍カッコいい」――それに尽きます。
高反発クラブを使って、もしコンペでドラコンを獲ったら、どうします?
大概のコンペでは、誰かしら文句を言いつつも、しぶしぶ「ドラコン賞」を与えてくれるでしょう。それは、素直に受け取っていいと思いますよ。
うるさ型がいて、「そんなドラコンの資格ははく奪だ」って言ってきたら、「そんなもん、いらないよ」って言って、「けど、誰よりも一番飛んだのは事実だから」と、涼しい顔で言ってやればいいのです。
腹は決まった! 早速、高反発ドライバーを仕入れてみますか?
シニアティーから堂々と打てるようになればいいのでしょうが...
うん? 待てよ。そういえば、反発係数規制以前のドライバーは、高反発クラブなわけだよなぁ。昔のドライバーで打ってみるか。それなら、何食わぬ顔をして、ラウンドしてもバレることないか……。
それ、アイデアとしては申し分ないのですが、やはり技術革新は日々進んでおり、今の高反発ドライバーのほうが圧倒的に飛びます。
ただ、癖があるのも確かです。何度も試打して、自分に合うクラブをぜひ見つけてくださいね。