早大の快進撃は止まらない。明大、中大と強豪校を次々と打破し、関東大学リーグ戦(リーグ戦)1次リーグ最終節を迎えた。この日の対戦は強豪校最後のとりでである東洋大だ。出だしから、強気の攻めを見せた早大。FW青木孝史郎(スポ3=埼玉栄)が先制弾…

 早大の快進撃は止まらない。明大、中大と強豪校を次々と打破し、関東大学リーグ戦(リーグ戦)1次リーグ最終節を迎えた。この日の対戦は強豪校最後のとりでである東洋大だ。出だしから、強気の攻めを見せた早大。FW青木孝史郎(スポ3=埼玉栄)が先制弾を放ち、勢いに乗る。シュート数では東洋大の19本に対し、倍以上の42本と圧倒し、4-1での快勝。唯一の全勝で1次リーグを単独首位で折り返した。

 立ち上がりに不安があった前節の反省を生かし、第1ピリオド(P)から積極的な攻めが目立つ。最初に試合を動かしたのは早大だった。第1P開始5分10秒、FW澤出仁(スポ2=北海道・武修館)が強烈なシュートを放つ。そして相手GKが押さえきれずに弾いたパックを、青木がしっかりと押し込み先制。青木はこのゴールで、チームトップのリーグ戦7得点目をマークし、圧倒的な攻撃力を見せつけた。第1P中盤、PK(※2)時には東洋大の鋭いロングシュートに危ない場面も見られた。しかし「自陣より遠いところで、前から相手に早いプレッシャーをかける」(DF大崎大祐、創理3=青森・八戸)というフォアチェックの徹底で、しっかりと守り切る。ピンチを切り抜けた早大は盤石の試合運びで第1Pを1-0で終えた。


チームトップの7点を挙げ、躍進を支える青木

 第2P、好調が続く第2セットのFW陣が、何度も鋭いシュートを放つ。しかしいずれも決定打には至らず。攻勢は続くが、もどかしいまま時計は進んでいった。状況を打開したい30分19秒、ゴール前で粘り、最後はFW矢島雄吾副将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)が左すみから押し込んだ。貴重な2点目を挙げ、矢島は大きなガッツポーズで喜びをあらわにした。「早大らしい得点の仕方ができた」(矢島)というゴールでさらに勢いづく。FW陣の奮闘に応え、DF陣も堅い守りで東洋大に気持ちよくプレーをさせない。ゴール前で守備を固め、相手の放ったパックがGKにたどり着く前にシュートレーンで攻撃を封じる。2点リードで迎えた第3P、ゴール前でしつこく攻め相手GKの態勢を崩す。そして前節でも試合を決める勝ち越し打を決めた、ゴールハンター澤出の放ったミドルシュートがゴールネットを突き刺す。終盤、東洋大の反撃ゴールで1点を奪われるも、選手たちは落ち着いていた。6人攻撃をシャットアウトし、最後は矢島がエンプティゴールで4点目を奪った。


貴重な追加点を含む2得点を挙げた矢島

 この日の勝利で、開幕から7連勝し良いかたちで1次リーグを締めくくった早大。春の悔しさ、そして夏の鍛錬がこの秋、やっと実を結んでいる。『四強』と言われながらも上位3校にはまるで歯が立たなかったこれまでの姿はもうない。近年続いていた構図をついに打ち崩し、「追う立場」から「追われる立場」となった早大。「2次リーグでは早大がターゲットになると思う」と内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)が試合後に語ったように、唯一の全勝チームとして徹底的に研究されるだろう。2次リーグではより一層厳しい戦いが待ち受けている。それでも6年ぶり悲願のリーグ戦優勝に向けて、視界は良好だ。

※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。

※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。

(記事 小林理沙子、写真 糸賀日向子、佐々木一款)

※( )内はシュート数

結果
早大ピリオド東洋大
1(12)1st0(4)
1(17)2st0(10)
2(13)3st1(5)
4(42)1(19)
得点経過
チーム時間ゴールアシスト1アシスト2PK/PP
早大05:108青木19杉本1澤出PP
早大30:1921矢島16鈴木17高橋
早大47:381澤出8青木29ハリデー
東洋大57:2021古川13出口18阿部
早大59:0121矢島25篠田EN
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セットFWFWFWDFDF
21矢島17高橋16鈴木33坂本25篠田
19杉本8青木1澤出29ハリデー18羽場
12飛田9生江14小澤田31大崎13吉野
15伊東 2北村11加賀美10住友23草島
GK34谷口 B-GK39村上
コメント

内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)

――1次リーグ全体を振り返ってください

ちょっと出来すぎな感はあるのかな。一試合一試合を集中してやりましょうと開幕のときに言って、それをやってきた結果が7連勝ですか。やろうと思ってできるわけではないので、一個一個積み上げて来た結果だと思います。

――試合間隔が短く、コンディション調整が難しかったかと思いますが、立ち上がりの動きはいかがでしたか

きのうよりは良かったですね。きのうは1ピリがだらしなかったので、それをきょうは注意するように言っていました。雨だったのでなかなかウォーミングアップが難しかったとは思いますが、よくやったんじゃないかと思います。

――明大、中大、東洋大の3試合でわずか4失点と、ディフェンスが固かったたですね

そうですね。ディフェンスももちろんですし、オフェンスも前からのプレッシャーを掛けていて、いい球出しをさせなかったことが要因として挙げられるんじゃないかと思います。5人で守って5人で攻める、というようにコンパクトに動いた結果ではないかと思います。

――調子は上向いて来ているのでしょうか

相手のミスに助けられた部分が大きいですね。きのうもフリーで2、3本危ない場面がありましたが、それが得点になっていないことがありました。2次リーグはそうはいかないと思うので、マークを外したりするとすぐにスコアがひっくり返ると思います。7試合もあれば自分たちの力だけではないところで勝つこともあるので、それが拾えたことはいいことです。ただ、次は向こうも全部決める気で来るはずなので、そうならないように周りの状況確認をしなければいけませんね。

――アタッキングゾーンでプレーする時間が長いですね

シュートを打った時しかマークを外してくれないので、シュートを打ってゴールに詰めるということを続けると、そういった形に近づくのかなと思います。とにかくシュートを打たないとマークが外れないので、打つことが大事ですね。

――今、ゴールの脇に立つ戦法が多いと思いますが、早大の場合はゴール前に1人ないし2人待っていますね

ゴール前に立たないと試合に出さないと言っています。

――ホッケーを始めて最初に教わる基本に忠実にやっていますね

それしかないので、ウチは。真ん中を走れば、そうさせまいとして守りが小さくなって、脇が空くからサイドに走る。サイドを走れば、中をしっかり固めてくるので、遠くからシュートを打って広げようと、その繰り返しですね。相手の守りを大きくしたり小さくしたりしている中で、マークを外してくれるということも起こりますので、それが今のところ出来ているのかなと思います。これが、去年までと少し違うところですね。

――一つ一つのリアクションに対する声が大きくて、すごく集中出来ていますね

「声を出してパックを要求しなさい」、ということは2人のコーチからも言われていることですね。今まで早大はどうも大人しくて、ベンチの中では元気があるけれど実際に氷に上がると何も喋ってないということがありました。サッカーでもハンドボールでも、ボールゲームではなんでも、声を出して自分はここにいるんだと教えなきゃいけない。1人がパックを持ったら4カ所から声が出るようなチームにしたいです。1人がパックを持つと4カ所のパスコースと、自分が何かプレーするという5つの選択肢があるはずです。けれども、声を出さないことでパスコースが減ると、可能性が減っていくことになる。すると相手に予測されやすくなってしまいます。試験の問題でも五者選択より二者選択の方が難しいですよね。それと同様に、常に相手に五者選択を迫って、相手に簡単に解かれないようでなければいけない。そのために、声を出しなさいとは言っていますね。

――2次リーグに向けて修正するべきところはありますか

パスレシーブをちゃんとやってほしいなと思いますね。シュートも枠を外していることも多いので、その辺を厳しくやらないといけないですね。1次リーグで目立ってしまったので、2次リーグでは早大がターゲットになると思います。だから、その辺をしっかりとやらないと去年のようにボロボロと負けてしまって、優勝争いからこぼれるということになると思うので、もう少しプレーの正確さを高めていかなければいけないと思います。

FW矢島雄吾副将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

きのうの中大戦は出だしがあまり良くなかったという反省があったので、今回は1ピリから足を動かして運動量を多く、早大らしいホッケーをしていこうという話をしていました。それが上手くできたのでこういう結果になったのかなと思います。

――矢島選手のゴールシーンを振り返っていかがですか

あれもずっと秋リーグ始まってからずっと続けていたシュートを多く、ゴール前粘って、というプレーがああいう得点の形になって出たので、早大らしい得点の仕方ができたのかなと思います。

――連戦ですがコンディション調整はいかがですか

僕ら元々朝3時台からやっているということもあって、体内の時間の調整とか難しいところはあります。でもそこで文句を言ってもしかたないのでしっかり休んでやっています。

――1位で折り返しましたがその点についてはいかがですか

結果として1位で、全勝で帰ってこれたというところはあるんですけど一つ一つの試合の積み重ねがこういう結果となっているだけなので今後も変わらず1試合1試合、ワンプレーワンプレー大切にやっていきたいと思います。

――2次リーグに向けて改善、調整していくところはどのあたりですか

きのうの中大戦もそうだったんですけど入りがちょっと悪い時とか度々あるのでその辺を、毎回100%の状態でやっていけるようにしたいです。

――それでは最後に次の試合に向けての意気込みをお願いします

相手がどこだろうと早大らしいホッケー、100%の力で戦って絶対勝ちたいと思います。

DF大崎大祐(先理3=青森・八戸)

――6連勝で迎えられたきょうの試合、意気込みはどのようなものでしたか

6連勝して、自分たちのやってきたホッケーは決して間違っていないっていう自信がついたので、相手に何も負けないという気持ちを持って試合に挑めて、良かったです。

――きょうの勝利で一次リーグは全勝となりました、率直なお気持ちをお聞かせください

素直に嬉しいです。春夏4位で終わってて、夏合宿を通して『優勝』という目標に向かってやってきて、それがやっと実になったというか、かたちになってきたので、やってきて良かったなと率直にうれしいです。

――相手のシュート数をかなり抑えられたと思うのですが、ディフェンスではどういうことを心掛けていますか

特にディフェンスは、夏から下がらないというのを意識してやってきて、相手のフォワードにパックが渡ったらすぐ詰めるというプレーを徹底してやってきました。自陣より遠いところで、前から相手に早いプレッシャーをかけることで相手に良いかたちで攻めさせないっていうのが、シュート数が減った大きな要因だと思っています。

――きょうのご自身のプレーを振り返っていかがですか

いつも通りできて良かったなと思っています。ところどころミスすることもあったんですけど、次の試合まで2週間開くので、練習の中で修正して、次の試合でいいプレーができるように頑張っていきたいと思います。

――リーグ戦通して、第3セットの調子はいかがですか

第3セットは今、非常に良い状況にあると思っています。ディフェンスも早く詰めることもできますし、フォワードもすぐ戻ってきて相手にプレッシャーをかけることができています。5人で守って、そこから5人で攻めていくというかたちができているので、とても良いと思っています。

――前半戦を振り返っていかがですか

初戦の慶大戦で、接戦というか結構ギリギリで勝って、その次の日に臨んだ法政戦でワセダのホッケーを60分通してずっとできたというそこから、ワセダの波が良くなってきて調子が上がってきたと思うので、これからも良いプレーを持続できるようにしていきたいと思います。

――ここまでの勝因はワセダのホッケーができた、ということにあるのでしょうか

はい。相手がパックを持ったときに、前線からプレッシャーをかけて相手にいいホッケーをさせないで、パックを取り返したら5人で攻める、理想的な5人でやるホッケーができていると思います。

――後半戦への意気込みをお願い致します

前半戦を全勝したので、周りからの見られ方も変わってきますし、相手も相当研究してくると思うので、受け身にならず自分たちから挑戦して、むしろ立ち向かっていくような気持ちで頑張りたいと思います。