ついに70年の歴史を塗り替えた。秋季関東学生リーグ戦(秋季リーグ戦)最終日。前日に専大に敗れ、5勝1敗の早大はライバル中大との最終戦に臨んだ。戦前の予想通り、お互い譲らない試合展開となったが、早大がチームとして1年間強化してきたダブルスで…

 ついに70年の歴史を塗り替えた。秋季関東学生リーグ戦(秋季リーグ戦)最終日。前日に専大に敗れ、5勝1敗の早大はライバル中大との最終戦に臨んだ。戦前の予想通り、お互い譲らない試合展開となったが、早大がチームとして1年間強化してきたダブルスで2勝を挙げてリードを奪うと、最後は鎌田那美(スポ3=北海道・駒大苫小牧)が接戦を制して団体戦スコア4―2で見事に勝利。優勝を争っていた専大が最終戦に敗れたため、早大の秋季リーグ戦優勝が決まった。この優勝で早大は、春季関東学生リーグ戦、全日本大学総合選手権団体の部(インカレ)、秋季リーグ戦を制覇し、創部史上初の快挙となる『グランドスラム』を達成した。また、鎌田は優勝に最も貢献した選手に贈られる殊勲賞を初受賞した。

 阿部愛莉(スポ4=大阪・四天王寺)・徳永美子女子主将(スポ4=福岡・希望が丘)。この4年間、常にワセダを中心で支えてきたのはこの2人だった。4年間のリーグ戦で2人が積み上げた勝利の数はなんと70に上る。中大との最終決戦を前に徳永は「この試合をどのように勝ち切るかがこの1年間の集大成」だとチームに伝えた。この試合、阿部、徳永はシングルスで惜しくも敗れるが、主将の言葉通り頼もしいルーキーが2勝を挙げてカバーし、団体戦カウント2-2で阿部・徳永組のダブルスへと繋ぐ。すると、4年間リーグ戦を駆け抜けてきた2人にとっての最後の試合となるダブルスで、阿部・徳永組は会心の試合を見せる。徳永の粘り強いラリーや、阿部の強烈なフォアスマッシュなど、ワセダで磨き上げてきた持ち味の卓球を存分に披露すると、最後はビハインドの展開から強い精神力で見事に逆転。ストレート勝ちで試合の流れを大きく手繰り寄せた。快勝の裏で、実はこのリーグ戦、4年生はあまり調子が上がらなかった。それでも「調子を気にしていたら悔いが残る」(阿部)、「楽しんで頑張ろう」(徳永)と吹っ切れた2人は試合中何度も笑顔でガッツポーズを見せた。大一番の緊張する場面で最上級生が見せた笑顔はチームに大きな安心感と勢いを与えたことであろう。


勝利で最後のリーグ戦を締めくくった阿部・徳永組

 早大の勝利を決めるべく、6番手で登場したのは鎌田。鎌田は前日の専大戦でまさかの逆転負けを喫し、試合後には茫然とした表情を浮かべていた。しかし、「先輩も含めて色々な方からメッセージをいただいた」と落ち込んでいた鎌田は気持ちを切り替え、堂々と最終戦のコートへ。第1セットを失い焦りもあったというが、周りを見れば鎌田を応援してくれる大勢の人がいた。主将の徳永が「誰よりも努力している」と語るように、謙虚に努力する鎌田の姿勢を見てきたからこそ、選手たちは鎌田に全幅の信頼を寄せる。その仲間の声援を受け、鎌田は迷いなく強気に攻めていった。得意のフォアハンドだけでなくバックハンドでも強打を打ち込み見事に逆転に成功。チームのために勝ちたい、鎌田の勝利への強い執念が実り、ついに熱戦に決着がついた。試合が終了すると、大きな重圧から解放された鎌田の目には安堵の涙が。大仕事を成し遂げた後輩を小笠原芽衣主務(文構4=東京・早実)が優しく抱き寄せると、その周りには選手たちの笑顔の輪が広がり、観客席から大きな拍手とねぎらいの言葉が贈られた。


強気な卓球で早大の勝利を決めた鎌田

 ここ数年、常に関東学生リーグでは上位争いをしていた早大にとって近いようで遠かったグランドスラム。「13人で一つの目標を追いかけることができた」と徳永が語るようにどのチームにも勝るチーム力で快挙を成し遂げたが、このチーム力は「先輩方が築き上げてきてくれた」(阿部)ものであり、ワセダの伝統である。つまり、このグランドスラム達成はOB・OGをはじめ早大卓球部に携わってきた全ての人への最大の恩返しとなったのではないだろうか。歴史を作った早大女子卓球部は今後どのような景色を見せてくれるのか、ここから始まる新たなストーリーからも目が離せない。

(記事 吉田寛人、写真 涌井統矢)


集合写真

結果

▽女子 第7戦

VS 中大 ○4―2

○笹尾3-0山本

●阿部2-3森田

○笹尾・岩越組3―1秋田・森田組

●徳永1-3梅村

○阿部・徳永組3―0山本・梅村組

○鎌田3-1瀬山

コメント

阿部愛莉(スポ4=大阪・四天王寺)、徳永美子女子主将(スポ4=福岡・希望が丘)

――グランドスラム達成おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか

徳永 複雑だったんですけど、優勝できてほっとしています。

阿部 ほっとしています(笑)。

――昨日敗れた後選手たちにはどのような話をしたのですか

徳永 負けはしたんですけど、今までは負けている時にベンチも暗くなってしまうこともあったのですが、最後までベンチの雰囲気も暗くなることはなかったですし、やることはやれたので試合自体は良かったということを伝えました。また、きょうの中大戦は何対何(で勝てば優勝)とかいうこともあったんですけど、そういうことは考えずに目の前の1勝を取りに行くというで、この試合をどのように勝ち切るかがこの1年間の集大成だと思ってみんなで頑張りましょうということを話しました。

――阿部選手は直近2試合思うようなプレーができませんでしたがどのように切り替えましたか

阿部 自分の調子としては良くなかったのですが、調子を気にしていたら最後ですし悔いが残ると思ったので、きょうは相手よりも自分のことを考えるようにして、やるべきことを徹底してできたので、負けはしたんですけど、後半戦で一番いい試合ができたかなと思います。

――2-2でダブルスが回ってきましたが、試合前に何か二人で話はされましたか

徳永 前もって戦い方などは話していたんですけど、私が4番で変な負け方をしてしまって頭がパニックだったのであまり具体的に話す余裕もなくてとりあえず楽しんで頑張ろうという話だけしました(笑)。

――最後のリーグ戦で最優秀ペア賞を受賞できました

阿部 今まで何回もペア賞を取れそうなところで逃していたので、最後に取れて嬉しかったです。

徳永 今回はダブルスで出る機会も少なかったので賞を取れるとは思っていなくて名前を呼ばれた時はビックリしたんですけど、4年間愛ちゃん(阿部)と一緒にダブルスをやってきて最後にこの賞を取れて素直に嬉しいです。

――この1年間チームを引っ張ってきましたが、今どのような思いですか

徳永 結果的にグランドスラムを達成することができたんですけど、春もインカレも負けてもおかしくない試合ばかりだったので、その中で3回も優勝することができたのは、サポートの選手がミスなく応援だったり練習だったりで支えてくれた力がほとんどだと思っているので13人で一つの目標を追いかけることができたことはすごく良かったと思います。

阿部 今までは試合に出る時には自分のことばかり考えていたのですが、4年生になってみて、今までの4年生が見えない部分で支えてくれていたんだということに気付くことができました。この1年間は勝つことも負けることもあったんですけど、後輩に支えられていることを実感することもできて、色々なことに気付かせてくれた1年間だったと思います。

――来年はどのようなチームを作っていってほしいですか

徳永 後輩には話したのですが、昨日専大に負けて全勝優勝することはできなかったことは、チームとして足りない部分があったからだと思うので、来年はもっと良くなれば全勝優勝することもできると思うので、主将の鎌田を中心に新しい色のチームを作っていってほしいなと思います。

――1年生からレギュラーとして活躍してきたお二人にとってリーグ戦とはどのような場でしたか

徳永 1年生の時にはたくさん負けて苦しい試合が多かったんですけど、どの年のリーグ戦でも自分の中で気持ちに変化があったのでリーグ戦は自分を成長させてくれた場だと思っています。自分のことしか考えられなかった1年生の頃からは少しずつ成長できたのかなと思います。

阿部 こんなに勝って嬉しくて負けて悔しい試合はリーグ戦だけだと4年間戦ってみて実感しました。私は最後の最後でなかなか勝ちに貢献することはできなかったんですけど、負けても試合自体は続くので、そこからどのように立て直すかということを学べたという点で私も自分を成長させてくれた大会だと思いました。

鎌田那美(スポ3=北海道・駒大苫小牧)

――グランドスラム達成おめでとうございます。今の率直な気持ちを教えてください

グランドスラム達成ということをみんなで目標にしてきて、4年生がそれに向かってすごく頑張ってくれていたので、お世話になった分、グランドスラム達成して4年生を送り出すことができて本当に良かったです。

――昨日はショッキングな敗北をしてしまいましたが、1日でどのように立て直しましたか

昨日負けてしまって優勝の可能性が低くなってしまったので、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだったんですけど、まだ完全に可能性がなくなった訳ではなかったので、また大事な場面で回ってくると思って昨日の反省をしっかりしてきょうの試合に臨めたことが良かったと思います。昨日は先輩も含めて色々な方からメッセージをいただいたので、負けはしたんですけど、たくさんの応援が力になって、みんなに感謝したいなと思います。

――きょうの試合でも先にセットを奪われる展開でしたが焦りなどはありましたか

昨日から時間がなくて正直あまりいいイメージが持てなかったのですが、もう私はとにかく勝つしかなかったので、諦めずに戦いました。応援の方にもとても盛り上げていただいたので、本当に色々な方に支えられているなと改めて感じた試合でした。

――結果として個人賞も獲得することができました

個人賞については、あくまでもチームの1勝としてみんなで勝ち取ったものだと思うので、私だけのものじゃないと思っています。ただ個人賞をもらえたことはとても光栄なことなので、これを自信にしてこれからも頑張っていきたいと思います。

――4年生と最後のリーグ戦を戦っていかがでしたか

4年生は一人一人がチームのことを想って声掛けなどをしてくれていて頼もしい先輩方で、これが最後だとはまだ信じられないのですが、今年の4年生のように来年は私も頑張りたいです。

――来年は主将となりますが

来年は来年で新体制としてまた一から始まるので、また新たな気持ちでみんなで協力していいチームを作れるように頑張りたいと思います。

笹尾明日香(社1=神奈川・横浜隼人)

――グランドスラムを達成したいまのお気持ちは

入学してからずっと言われてきたことだったので、達成できてよかったと思います。

――きょうのシングルスを振り返ると

しっかりと体調を整えて、(相手を)分析していたので、それを試合前に確認して入れたことがよかったと思います。

――では岩越帆香選手(スポ1=福岡・希望が丘)と組んだダブルスに関してはいかがでしたか

シングルスの勢いのまま持っていけたので、すごくよかったと思います。

――活躍された4年生を見て、何か感じたことはありましたか

4年生はいつも頼もしくて、すごく尊敬していました。重圧などもたくさんあったと思うんですけど、それを感じながらもしっかり戦い抜いてくださったということに感謝しています。

――今後に向けた、プレー中の課題などはありましたか

ダブルスで特にそうだったんですけど、攻撃されたときに守りが出来ていないので、それがしっかり出来ればいいと思います。

――今後は個人戦となりますが、意気込みや目標があればお願いします

個人戦は全日学(全日本大学総合選手権個人の部)、全日本(全日本選手権)と続きますが、しっかり全力を尽くして、全日本では今まで以上の結果を、全日学では上を目指して頑張りたいと思います。

――「上を目指す」ということですが具体的には

メダルと優勝を目指したいです。

岩越帆香(スポ1=福岡・希望が丘)

――優勝、そしてグランドスラム達成おめでとうございます!

ありがとうございます!

―グランドスラムを達成されて、どのようなお気持ちですか

春リーグとインカレで優勝したことで、グランドスラムを達成したいという思いが強くて、ここへ向けてずっと練習を頑張ってきたので、すごく嬉しい気持ちでいっぱいです。

――そんな中、戦う4年生の姿を見て、どのように感じられましたか

試合中もすごいたくましくて、自分の試合が後にあるんですけど、安心して見ていました。すごく感動するプレーもたくさんあってかっこよかったです。

――ご自身のダブルスを振り返っていかがでしたか

インカレでも対戦した相手だったこともあり、相手のイメージも掴めていたので、対策もしっかりと練れました。事前の準備がしっかりとできていたので良かったなと思います。

――どのようなプランでダブルスに臨まれましたか

最初から攻めていこうという話はしていました。自分たちの得意なパターンが、攻めていって流れを作っていくことなので、今回も思いきって攻めていきました。

――今後へ向けての課題は見つかりましたか

シングルスでは自分が得意なパターンから点が取れなくなった時に、他の色々な戦術を立てて、もっとたくさんの得点パターンを作っていければなと思いました。

――今後へ向けての意気込みをお願いします

全日学に出場するのは初めてなんですけど、大学のトップレベルの選手と当たる中で勝ち進んで、優勝を目指したいと思います。