関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)は後半戦に突入。空き週を挟み、2週間ぶりの試合となったこの日は国士舘大と相対した。関東学生春季リーグ(春季リーグ)では2戦2勝と相性の良い相手だが、序盤は思うように得点を重ねることが出来ず、もどかしい時間が…
関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)は後半戦に突入。空き週を挟み、2週間ぶりの試合となったこの日は国士舘大と相対した。関東学生春季リーグ(春季リーグ)では2戦2勝と相性の良い相手だが、序盤は思うように得点を重ねることが出来ず、もどかしい時間が過ぎる。しかし後半に入り富永穂香(スポ4=東京・佼成学園女)らの連続得点で突き放すと、最後は国士舘大の反撃から逃げ切り今季2勝目をマークした。
先手を取りたい早大だったが、速攻やセットオフェンスから訪れた得点機でシュートを決めきれず、なかなか1点目が生まれない。吉田瑞萌(スポ2=東京・佼成学園女)が自らのパスカットから速攻を決めたことをきっかけに3連続得点を挙げたが、その後は慣れないオフェンスの形からか、うまく攻撃のリズムがつくれず2点のリードを許してしまった。しかし、この悪い流れを断ち切ったのは4年生だった。「最後のリーグですし、チャンスがあれば思い切ってやっていこうというのはテーマとしてあった」という途中出場の江島朋夏(スポ4=東京・佼成学園女)が難しい体勢から沈黙を破るシュートを叩き込む。このプレーを皮切りに富永が速攻、久保涼子(スポ4=群馬・富岡東)も相手キーパーがいない隙に冷静にシュートを決めて逆転に成功。9−7の2点リードで前半を終えた。
途中出場ながら2点を決めた江島(右)
空き週の間に練習したという国士舘大オフェンスからの対策が功を奏し、「自分たちの思い描いていたようなディフェンスなどはできていた」(江島)、「ディフェンスに関してはプラン通りにいったかなという感じはある」(富永)と守りには手応えを感じていた。後半に入り、地に足がついてくるとオフェンスも機能し始める。富永が果敢に敵陣に攻め込みカットインで連続得点。初戦の筑波大戦を思い起こさせるような圧巻のプレーで流れを早大サイドに引き寄せた。前半1得点に留まっていた吉田のシュートも含め怒とうの6連取でリードを8点にまで広げる。しかし、ここで相手が取ったタイムアウトを機に流れが変わってしまう。セットオフェンスからの得点が停滞する早大とは裏腹に、相手は持ち直し反撃を開始。徐々に点差詰められ重苦しい雰囲気が漂ったが、後半始めに奪った大きなリードに助けられ、3点差で試合を制した。
富永のカットインが試合を決めた
確実に獲りたい試合で勝利を収めることができた早大。一方「オフェンスのリズムが崩れた時の立て直しができないとこれからあと2戦は厳しい」(江島)という反省も残った。だが、「最後まで集中力を持たせる、足を動かし続けるっていうのが今後必要になってくる」(富永)とやるべきことは明確だ。秋季リーグは残り2戦。良い内容で白星を挙げ、全日本学生選手権につなげたい。
(記事 宅森咲子、写真 林大貴、佐々木一款)
関東学生秋季リーグ早大 | 19 | 9−7 10−9 | 16 | 国士館大 |
GK 北村早紀(スポ3=群馬・富岡東) LW 杉山瑞樹(社3=神奈川・横浜創英) LB 吉田瑞萌(スポ2=東京・佼成学園女) DF 高田紗妃(スポ4=福岡・西南学院) PV 島崎愛(社4=熊本国府) RB 富永穂香(スポ4=東京・佼成学園女) RW 久保涼子(スポ4=群馬・富岡東) |
星取表(9月23日現在) | ||||||||||||||
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早大 | 東女体大 | 東海大 | 筑波大 | 桐蔭横浜大 | 日体大 | 国士舘大 | 日女体大 | |||||||
5位 | 早大 | * | 21△21 | 24●29 | 24○20 | 17●25 | 19○16 | |||||||
2位 | 東女体大 | 21△21 | * | 22△22 | 31○16 | 26○19 | 33○19 | |||||||
1位 | 東海大 | 29○24 | * | 25○18 | 26○22 | 24○15 | 26○16 | |||||||
4位 | 筑波大 | 20●24 | 18●25 | * | 25○21 | 22○15 | 26○18 | |||||||
3位 | 桐蔭横浜大 | 25○17 | 22△22 | * | 22●29 | 23○21 | 25○20 | |||||||
6位 | 日体大 | 16●31 | 22●26 | 21●25 | 29○22 | * | 25○17 | |||||||
7位 | 国士舘大 | 16●19 | 19●26 | 15●24 | 15●22 | 21●23 | * | |||||||
8位 | 日女体大 | 19●33 | 16●26 | 18●26 | 20●25 | 17●25 | * |
コメント
江島朋夏(スポ4=東京・佼成学園女)
――2週間のブレイク期間を挟みましたがその間に意識して練習してきたことはありますか
ディフェンスから速攻というのは今年のテーマとしてやっているんですけど、その速攻の部分で1次速攻、2次速攻だけじゃなくて3次速攻という部分は意識して練習してきたかなと思います。
――きょうの試合で描くゲームプランはどのようなものでしたか
国士舘大は何回もやっている相手で相手のやりたい事はわかっていたので、それをしっかりディフェンスで守ることと、ディフェンスの相手のシステムもわかっていたので練習してきた事をやってしっかり自分たちの力を出し切れればいいなという風に考えていました。
――試合展開を振り返っていかがですか
立ち上がりでシュートをみんな外していて。でもその後は自分たちの思い描いていたようなディフェンスなどはできていたんですけど、中盤や後半の最後、穂香(富永、スポ4=東京・佼成学園女)が決めた後の時間帯だったり、そういうオフェンスのリズムが崩れた時の立て直しができないとこれからあと2戦は厳しいなという反省があります。
――江島選手自身は途中出場から沈黙を破るシュートを決められましたが振り返っていかがですか
途中からだったので、相手のディフェンスがどうなっているかというのは自分の中で分かっていました。やることは決めていたので、最後のリーグですし、チャンスがあれば思い切ってやっていこうというのはテーマとしてあったのでそれができて良かったと思います。
――次戦に向けて一言お願いします
ケガ人も出てきてしまっていて、チームとしては側から見れば厳しい状況なのかもしれないんですけど、チーム全員で戦うということはずっとやってきたことなので、もう一度チームでやる事をはっきりさせて全員であと2戦勝って終わりたいと思います。
富永穂香(スポ4=東京・佼成学園女)
――前節から2週間程空きがありましたがその期間はどのようなことに取り組んできましたか
やっぱり2週間空くということで、気持ちを切らさないようにということと、それだけ準備ができる期間があったので、国士舘大の対策、自分たちができることっていうのを確認しました。
――国士舘大に対する対策とはどういったものでしたか
相手の攻め方に対するディフェンスというのを結構やっていました。やはり真ん中4枚がキーになってくるということで、真ん中4枚に対する守り方と、オフェンスに関してだと、左側が弱いという分析があったので、そこに対するオフェンスの攻め方はチーム全体として共有していました。
――試合ではそのプランというのはいかがでしたでしょうか
ディフェンスに関してはプラン通りにいったかなという感じはあるんですけど、オフェンスに関しては練習で金庭(亜季、社4=群馬・富岡東)がケガをしてしまって、2日間で仕上げなければいけない状況だったので、練習はしていたんですけど、より密なコミュニケーションが必要だとは思いました。ただ2日間にしては悪くはなかったかなという感じですね(笑)。
――ケガ人の影響もあって、中央でプレーする時間帯も多かったと思いますが
それも前から練習はしていたので、私的には不安はあまりなかったんですけど、伊地知(華子副将、社4=宮崎学園)が入ってきて、だいぶ緊張していたと思うので(笑)、私が引っ張るんだと思ってはいました。私がずっと試合に出ていたので、その部分に関しては自分が引っ張っていかないといけないなと思います。
――ご自身きょう7得点で、立て続けに得点する場面もありましたがパフォーマンスを振り返っていかがですか
そうですね、連続得点の流れに持っていけたのは良かったんですけど、そこからは得点が停滞してしまったっていうのはチームとしての課題ですし、オフェンスでイージーミスからの逆速攻で点差を縮められてしまったので、最後まで集中力を持たせる、足を動かし続けるっていうのが今後必要になってくると思います。
――得点が滞る時間帯もありましたが、その部分で課題などはありますか
ここで流れを切りたいっていうのがあって、私の中ではパスを出そうと見たとき両サイドの足が止まっているなという印象を受けたんですね。そういった部分の改善は必要かなと思いますね。1人だけだと締められちゃうなって思うので。
――秋リーグも残り2戦となりましたが、今後どのように戦っていきたいですか
これ以上ケガ人を出さないっていうことと(笑)、ただそれでも全員で戦っていけるチーム力はあると思うので、全員で試合に出て勝ちたいっていう思いはあるんですけど、出ているメンバーがしっかり仕事をしていかないといけないかなと思います。
北村早紀(スポ3=群馬・富岡東)
――試合全体の振り返りをお願いします
後ろから見ていて、ディフェンスはよく守れていました。ただ、前も課題だった自らの逆速攻を受けることがまだ多かったです。後半にそこを立て直せたことは良かったと思います。
――前半は7失点に抑えられていましたね
前半は私自身は調子が悪かったんですけど、シュートを打たれない時間もあったりしてディフェンスに助けられていました。ディフェンスは完成してきていると思います。
――押され気味の中で、ノーマークシュートをセーブするなどチームを救うセーブがありましたね
前半止められなかったので、後半は私が巻き返さないとまずいなと思っていました。ノーマークだけ止めればいいわけじゃないんですけど、頑張りました(笑)。
――今季のご自身の調子はいかがですか
まだ調子が良くなくて、ディフェンスに助けられている部分しかないので、これから私がチームを助けるようなキーピングをしなければいけないと思います。
――日女体大戦への意気込みをお願いします
絶対勝つということはもちろんなんですが、インカレ(全日本学生選手権)に向けて内容にもこだわって、いい内容で勝ちたいです。
紅林詩乃(スポ1=東京・佼成学園女)
――まずきょうの勝利の感想をお願いします
勝ちを取れたのは良かったと思うんですけど、もう少し点数を離したくて、勝った感じがあまりなかったです。もっと決められるところは決められたし、自分たちの思うようなプレーが全力でできたかというとそうではない気がするので、みんなでもっと喜べるような勝利をつかみたかったと思います。
――最近の試合ではポストでの出場が増えていますが、出場時に意識していることはありますか
だいたい途中から出るので、初めに出ているポストの人のどういうプレーが通用しているかをある程度見ておきます。自分はブロックするよりスペースに走るのが得意なので、こういうところにブロックしたらスペースができるかな、というのを考えながらやっています。
――最後の一点を決めたのも紅林選手でした
その前に1回シュートを外していたので、打つ時やばいなと思ったんですけど、コートに立っている以上しっかりやらないといけないなと思ったので、結構力ずくで打ちました(笑)。
――流れが行ったり来たりの試合展開でしたが、タイムアウト中はどういったことを話しましたか
基本、とりあえず一度落ち着こうという感じで取って。相手に流れがいっていても、自分たちのプレーができていなかったのが大前提だったので、まずは自分たちのプレーをしようと落ち着くためのタイムアウトだったと思います。
――1年生から見て、現在のチーム状況はいかがですか
亜季さん(金庭、社4=群馬・富岡東)がケガして、その時は自分からしてもやばいのかなと思ったんですけど、4年生が結構落ち着いていて、亜季さんがいなくてもチームをしっかり作ってきたから大丈夫と言っていて。1年生の阿部(美幸、スポ1=東京・佼成学園女)もケガして自分の中でも不安があったんですけど、4年生がしっかり引っ張ってくれているので大丈夫じゃないかなと思います。
――リーグ戦は残り2試合となりました。どのように戦っていきますか
春の下位リーグで日体大には勝てていなくて、相手もこちらを秋リーグ全試合を通じて研究していると思うので、相手のつぼにはまらないように日体大や日女体大にしっかり自分たちのプレーを出し切って2勝できたらいいなと思います。