きょうから上位対決となった秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)。早大はきょう、先週の時点で3位だった明大と対戦した。第1セットを僅差で落とすも、勢いを盛り返して第2、3セットを連取。第4セットも勢いはそのままに一時5点のリードを奪うも、試…
きょうから上位対決となった秋季関東大学リーグ戦(秋季リーグ戦)。早大はきょう、先週の時点で3位だった明大と対戦した。第1セットを僅差で落とすも、勢いを盛り返して第2、3セットを連取。第4セットも勢いはそのままに一時5点のリードを奪うも、試合中盤にスパイクが全く決まらずにまさかの10連続失点で逆に追う展開に。失速してしまった早大はスタメンを半分以上入れ替えて悪い雰囲気の打破に挑むも、明大に逃げ切られてセットカウント2-2のタイに持ち込まれる苦しい展開に。しかし、第5セットは集中力と体力をしっかり保った早大が実力を見せつけ大差で勝利。セットカウント3-2(22-25、25-16、25-21、18-25、15-5)で7連勝とした。
序盤から宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西)にトスを集め、テンポよくサイドアウトを切っていく早大。ここまで好調を維持し、先週までの総得点ランキングでもトップ5に食い込む実力を見せている鵜野幸也(スポ4=東京・早実)の調子が上がらないものの、センターの武藤鉄也(スポ3=東京・東亜学園)や村山豪(スポ2=東京・駿台学園)などにも積極的にトスを上げ、全員で1点ずつ得点を積み重ねる。終盤まで常に2点差以内で試合を進めていくが、その均衡を破ったのは明大のブロックだ。試合終盤にかけてサーブレシーブの成功率が落ちたことで、サイドのスパイカーに明大のマークが集中し始める。明大のピンチサーバーが放ったサーブでレシーブを乱され、不十分な体勢で打った宮浦のスパイクがシャットアウトされ、ついに19-21と2点差に。藤中優斗主将(スポ4=山口・宇部商)のスパイクでなんとか追い上げを見せるも、明大が先にセットを獲得した。気持ちを切り替えたい第2セットは、藤中の2連続のスパイクで2-0と1歩前に出る。また、クイックも多用し、先週まで調子が上がらず悔しい思いをしていた村山も、軟打を多用しながら攻撃に絡んでいく。8-5で迎えた鵜野のサーブから切り返しの攻撃と相手のミスで11-5として一気に主導権を握ると、次の村山のサーブではついに明大のクイックを藤中、武藤の2枚でブロック。20点に到達する頃には8点差をつけ、藤中、武藤のスパイクでダメ押しの3連続得点。25-16と大差でこのセットを獲得した。続く第3セットも流れを渡さず序盤からブレークを重ねる。このセットはブロックだけで4得点と明大の攻撃の幅を狭めることに成功し、25-21でこのセットも奪取。勝利に王手をかけた。
クイックを打つ村山(上)とトスを上げる小林
第4セットは村山が徐々に調子を上げ、スパイク、ブロック、サーブと大活躍を見せる。特に、宮浦のサーブからの5連続得点のうち、3本が村山のブロックポイント。春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)スパイク賞、そして東日本大学選手権ブロック賞の実力をようやく発揮し始めた。10-6と4点差をつけ、『勝てそう』な雰囲気を見せ始めた。しかし、藤中の決まったかと思われたスパイクがアウトと認定された審判の判定から、早大の歯車が徐々に狂い始める。続く明大の池田(2年)のサーブをなかなか切ることができず、すぐに10-10と追いつかれると、今季2つの大会でリベロ賞を獲得している明大の小川(4年)を中心にスパイクを全て拾われ、10-13と逆転されてしまう。徐々に暗い雰囲気が漂い始め、タイムアウトを要求して巻き返しを図るも効果は見られず、10連続失点を喫して10ー16。痛すぎる6点差へと傷口を広げられ、選手たちは厳しい表情を見せる。これまで高いパフォーマンスを見せてきた村本涼平(法3=京都・洛南)を下げ、北川諒(教1=東京・早実)をコートへと送り込むと、藤中のスパイクでなんとかサイドアウトをもぎとるが、今度はピンチサーバー島(2年)のサーブから4連続失点。12-21と9点差まで開き、完全に失速すると、松井泰二監督(平3人卒=千葉・八千代)は次々に交代カードを使い、スタメンを半分以上入れ替える作戦に出た。ここで力を発揮したのは小林に代わって入った中村駿介(スポ2=大阪・大塚)だ。丁寧なトスで吉田悠眞(スポ1=京都・洛南)にスパイクを決めさせると、今度は自らのサービスエースで得点を決めた。4連続得点で猛追を見せ16-22とするも、試合中盤での借金を帳消しにすることができず18-25でこのセットを落とし、勝負は先週の東海大戦に続いてフルセットに持ち込まれた。
藤中がスパイク、ブロックを決めて2-0と価値のあるブレークポイントで最終セットがスタート。続く小林のサーブから今度は宮浦がスパイクとブロックを決め、一気に5-1と4点のリードを奪い、早大陣営は大いに盛り上がった。しかし、第4セットで息を吹き返した明大の三輪(2年)が連続でクイックを決め、5-4と1点差まで詰め寄られる。あの10連続失点の記憶が蘇りかけたとき、ここで明大が痛恨のアタックライン踏み越しのミスを犯す。6-4としたところでサーブは藤中。明大のセンター線に圧力をかけるサーブを打つと、集中力の切れ始めた明大のサーブレシーブが乱れ、武藤がネット際でボールを押し込みブレークに成功。続く鵜野も同じようなかたちで得点し、8-4でコートチェンジ。相手のミスで9-4とすると、またも武藤、鵜野がネット際での強さを見せ11-4。続く12点目は鵜野がクロススパイクを1枚でシャットアウト。それでも早大の勢いは止まらず、今度は宮浦が助走をたっぷりとったスパイクを明大のコートに鋭く叩きつけて13-4。相手のミスで更に1点を追加し、相手に手も足も出させないままにマッチポイントを迎えた。最後は武藤のクイックで15点目を締めた。勝利を収め、これで秋季リーグ戦7連勝としたが、雰囲気改善の打破などに少し課題の残る内容となった。
好調の藤中のサーブ
先週の第5セットよりも安定した試合運びで勝利をつかむことができた原因は、きっと第4セットに早大が取った5点にある。それは、第4セット終盤での4連続得点と、宮浦の代わりにコートに入った中野博貴(教4=東京・早実)の粘り強いブロックでの1点だ。この5点があったからこそ、第5セットの破竹の勢いを呼んだといっても過言ではない。『全員バレー』を強く感じることのできる一戦だった。早大と共に全勝で前半を折り返した日体大が筑波大に敗れ、ついに全勝は早大のみとなった。あすはその日体大との対戦。きょうのような試合をして、足元をすくわれてはならない。
(記事 松谷果林、写真 萩原怜那)
セットカウント | ||||
---|---|---|---|---|
早大 | 3 | 22-25 25-16 25-21 18-25 15-5 | 2 | 明大 |
スタメン | ||||
レフト 藤中優斗(スポ4=山口・宇部商) レフト 鵜野幸也(スポ4=東京・早実) センター 武藤鉄也(スポ3=東京・東亜学園) センター 村山豪(スポ2=東京・駿台学園) ライト 宮浦健人(スポ2=熊本・鎮西) セッター 小林光輝(スポ4=長野・創造学園) リベロ 村本涼平(法3=京都・洛南) |
コメント
鵜野幸也(スポ4=東京・早実)
――きょうの試合はいかがでしたか
チームとしてバタバタしてしまった部分が多くあって、準備をもっと早くすべきだったと感じる試合でした。
――1セット目はスパイクでポイントを取ることが出来ませんでしたがご自身の調子はいかがですか
1セット目以外もあまり決められなかったです。相手のストレート方向のブロックを意識しすぎたことと、高い打点をうまく生かせなかったことが原因かなと思います。
――2、3セット目以降はブロックポイントが増えました
相手がそこまで高さのあるチームではなかったことでスパイクの高さを落としてきたので、自分達の持っているデータに合わせて、しっかりブロックにつくことでブロックでのポイントを増やせました。
――5セット目に入る前に考えていたことはありますか
4セット目に普段出ていないメンバーが出場して、チームの雰囲気を良くしてくれました。その良い雰囲気を落とさないようにしようということを意識しました。
――5セット目は鵜野選手と武藤鉄也選手(スポ3=東京・東亜学園)の押し込みでのポイントが多くありました
サーブでの効果と相手の疲れ両方あったと思います。優斗(藤中主将、スポ4=山口・宇部商)のサーブが長く続いたことで少し崩して、そこでブロックしやすい状況を作りました。あそこで連続してブレークを取れて、価値につながったと思います。
――あすに向けて
日体大は東日本(大学選手権)でもフルセットでギリギリで勝てている相手で、きょうのように守りが堅い相手だと思います。そういう中でも自分の軸をぶらさず、自分たちのバレーをして勝ちにつなげたいです。
武藤鉄也(スポ3=東京・東亜学園)
――今日の試合を振り返って見ていかがですか
今日は1セット目の入りが悪くはなかったですが、取られてしまいましたが、2、3セットは取って、4セット目はリードしていたのに1ローテ目でハマってしまって。取れていたゲームであったのではないかと思います。でも5セット目は体も動いていて負ける気がしなかったです。
―2セット目以降からブロックがよく決まっていましたが何かブロックで気をつけたことはありますか
データを基にワークを確認しました。コミットで跳んで決まったこともありましたがミスも多かったと思います。
――ネット側の処理がよかった印象があったのですが、それについてはどう思いますか
相手のセッターが僕の高校の後輩だったので、特徴であったりやってくることはわかっていたのでうまくできたと思います。
――先週と同様にフルセットの展開でしたが何か意識した点はありますか
なるべくストレートで勝ちたいですが、簡単にはいかないと思うのでフルセットまでいった際に勝てるようにトレーニングしてきていて、その成果がでたので5セットとまでいっても勝てたのだと思います。
――最後に明日の試合に向けて修正点などはありますか
明日は日体大ですが、明治と同じようにレシーブが良いチームなので今日の4セット目の途中の連続得点を許してしまった場面はレシーバーのいるところにスパイクを打ってしまい点を挙げられていたので、そこを修正して相手が対応できないような攻撃をやるということとスパイクに対してしっかり対応できれば良いと思います。
村山豪(スポ2=東京・駿台学園)
――きょうの試合はいかがでしたか
4セット目がもったいなかったセットだと個人的には思っていますが、前回の東海大戦からチームもまとまってきて、全てのセット、特に5セット目はまとまってやれていたなという感じがあります。
――前回よりもとても好調に見えましたが
ご自身のプレーを振り返って
きょうで今までの悔しさなどを少し晴らせたかなと思います。いつもに比べたら調子が良かったです。トスも、光輝さん(小林副将、スポ4=長野・創造学園)とこの1週間でたくさん合わせる練習をしてきました。
――5セット目に入る前にチームで確認したことはありますか
とりあえず受け身にならず、全員で攻めようということを確認しました。
――あすに向けて
1セット目の入り方、そして中盤での連続失点をできるだけ防ぎながら頑張りたいと思います。