スパイクでチームを引っ張る富澤慶大は開幕からいまだ勝ち星をあげられていない。リーグ後半戦に突入してから初めてのこの試合、相手は日大。絶対に負けられない0勝同士の対戦となった。しかし慶大は立ち上がりから自陣ミスでつまずき、その後も相手スパイク…


スパイクでチームを引っ張る富澤

慶大は開幕からいまだ勝ち星をあげられていない。リーグ後半戦に突入してから初めてのこの試合、相手は日大。絶対に負けられない0勝同士の対戦となった。しかし慶大は立ち上がりから自陣ミスでつまずき、その後も相手スパイクに翻弄されてしまうなど、最後まで自分たちの形に持ち込めなかった。慶大はストレートでこの試合を落とし、リーグ暫定最下位に落ち込んでしまった。

9月29日(土)

秋季関東男子1部バレーボールリーグ戦

第7戦 慶大×日大

@日本体育大学健志台キャンパス米本記念体育館

得点
慶大セット日大
1525
2125
2225


ブロックに跳ぶ清水(左)と小出(右)

「今日は入りからつまずいてしまった」(富澤太凱=経3・慶應)――第1セット立ち上がり、2連続のダブルコンタクト、さらにはサーブレシーブのミスでいきなり4連続失点を喫する。その後、富澤と小出捺暉(環1・駿台学園)のスパイクを中心に得点していくが、相手の両サイドからのスパイクを止めることができず、ブレイクを奪えない。さらには、ポジショナルフォールト(サーブを打つ瞬間に規定のポジションに位置していないこと)やアウトオブバウンズ(ボールがアンテナに触れる、またはアンテナの外を通過すること)など、細かいミスが目立った慶大。自分たちらしいプレーができないまま、10点の大差でこのセットを奪われた。


セッター谷

第2セットも立ち上がりに4連続失点。しかし、直後には富澤の強烈なサービスエースや加藤真(商2・慶應)のダイレクトスパイクでブレイクを奪い、すぐに追いつく。その後、谷舜介(環1・徳島城東)のブロックなどで一歩前に出たが、なかなか一度で攻撃を決め切れず、リードを守ることができない。さらに、審判の笛の前にサーブを打ってしまうなど、焦りも見られた選手たち。最後も相手のピンチサーバーにサービスエースを献上し、4点差でこのセットも落とした。

あとがない第3セット。序盤は、清水柊吾(総2・広島城北)のサービスエースや樫村大仁(環2・茨城高専)のブロックなどで順調に得点を重ねる。しかし、11-10の場面から、返ってきたボールの処理などによって満足に攻撃できず、2本のブロックポイントを含む5連続失点。その後は樫村のクイックなどでサイドアウトを取って大量失点こそ避けたが、慶大が目指すブロックアンドレシーブの形になかなか持ち込めず、相手スパイクを切り返して攻撃することができない。最後も相手のクロス方向へのスパイクが決まり、試合終了。無念のストレート負けとなった。


慶大バレーを体現してほしい

「今はまだ自分たちが『今日は全部出した!』っていうところまでいっていない」(宗雲監督)――主力選手が2人抜け、チームを大きく作り替えてきた慶大は、なかなか自分たちの目指す完成度まで到達できていない。それに加え、今日はもったいないミスも重なってしまった。入替戦進出もちらつき始め、次戦以降負けられない戦いが続く。焦ることなく、自分たちのバレーをコートの上で伸び伸びと表現してほしい。

(記事:藤澤薫 写真:尾崎崚登・菊池輝・小嶋華・澤田夏美)

以下、コメント

宗雲監督

――今日の試合を振り返って

日体戦と順大戦から比べたらもう全く別のチームになって、やることなすことがレベルの低いことになっちゃいましたね。けがはしょうがないとは思うんだけど、ちょっと夏にだいぶ良いところまで仕上がっていたので、そういう意味ではこの本番でそれを披露できないというのはさみしいですね。

――両サイドからスパイクをかなり決められていたが

ブロックも今ちょっとフィットしていないですね。色々試行錯誤しているんだけど、裏目裏目に出ている。向こうのセッターもうちのブロックを見ながら小さい方から攻めてきていますし、だいたい全部1:1になっているので厳しいですね。

――先週に比べてクイックが少なかったが

サーブレシーブが返らないんですよ。この前半戦のデータを他のチームと比較しても(サーブレシーブ成功率が)断トツで低い。サーブレシーブがネット際につかないんですよね。あとはチャンスパスもワンタッチボールもきちんと返らないので、セッターとかミドルを非難できないですね、やっぱりパスを出す人が仕事をしてくれないと。データ上もすごく悪いので。そういうのが原因だと思います。

――つながらないシーンも多かった

気を抜いているわけではないんだけど、たとえばブロックフォローも「決めてくれ」と思ってブロックフォローに入っているので、構えてないんです。そういう考え方がちょっとずれているというか。そういうところじゃないですかね、視野が狭くなっているんでしょうね、みんな余裕がなくて。それが一番出たのが、審判が笛を吹いてないのにサーブを打った谷とか、全く周りが見えていないので、みんなが余裕がないですね。

――修正するところは

修正するところはいっぱいあるんですよ。もうありすぎて困るくらいなんだけど、でも、たとえばメンタル面とかは明日すぐに修正できる。ブロックフォロー入ったらしっかり構えてリバウンドをイメージするとかね、そういうのはすぐにできることなので、すぐできることは明日すぐにやりましょうと学生には伝えました。まあ難しいことは反復練習しなくてはいけないので。

――明日の学芸大戦に向けて

今のチームでベストパフォーマンスが出ても相手がいるので、相手がそれを上回るようなパフォーマンスをしてきたら負けることもあると思うんですよね。でも、今はまだ自分たちが「今日は全部出した!」っていうところまでいっていないので、学芸大に限らず、まず自分たちを立て直すことを期待しています。

富澤太凱(経3・慶應)

――今日の試合を振り返って

前半戦が終わって、ここからいかに自分たちのバレーが出来るかがカギだと思っていました。しかし、今日は入りからつまずいてしまい、全体を通して掴めず負けてしまった印象です。

――ブロックがはまらずに苦しんだが

相手のチームスタイルは思い切りやってくるとわかっていましたが、それに対して自分たちのブロックとレシーブの関係が相手より精度が低く決め続けられてしまいました。

――自身の攻撃面は

いかに吉田(吉田祝太郎=政2・慶應)に頼っていたかを感じる日々です。谷も祝太郎に劣る部分はないと感じているので、ここで打ちきれないのは実力不足が出てしまったと思っています。チームを引っ張る存在として悔しい気持ちでいっぱいです。

――昨季の下位相手にストレート負けは非常に悔しいものがあったと思うが

そこは切り替えて前に進めるかが大事だと思います。明日までの時間は短いですが、各個人個人に加えてチームもしっかり切り替えて明日の学芸大戦にぶつかっていきたいです。

樫村大仁(環2・茨城高専)

――今日の試合を振り返って

今日は6敗同士で絶対に勝たなきゃいけない試合だったので、対策はしっかりしましたが逆に作戦にとらわれすぎて、相手にうまくやられてしまいました。試合中に対応ができなかったです。

――どのような意識で試合に臨んだか

6敗しているという意識はなく、いつも通りにやろうとしました。

――明日に向けて

明日も絶対に勝たなきゃいけない試合なのでギアチェンジして全力でやっていこうと思います。

小出捺暉(環1・駿台学園)

――今日の試合を振り返って

今日は、出だしから自分たちの力を出せなかったので悔しいです。

――両サイドからかなり決められてしまった

1:1の駆け引きとか、あとは指示に頼りすぎたというか、指示ばかり気にして自分たちのプレーができなかったというのが、ブロック一番頑張らなきゃいけないのにできなかったので、そこは切り替えて明日から修正していきます。

――ブロックフォローなどつなぎのプレーに関しては

もうなんか全体的にダメで、細かい部分もっと詰めて明日からやっていかなきゃ勝てないです。あと集中力がないとブロックフォローとかできないと思うので、集中力を、ベンチからの指示じゃなくて、相手と戦うという方に向けて頑張りたいと思います。

――チームで改善したいところは

出だしの雰囲気がまず一番大事だと思うので、出だしの雰囲気を、相手にぶつかっていく雰囲気にもっていければ良い試合ができると思うので、頑張りたいと思います。

――明日に向けて

日大に勝てなかったのは残念だったんですけど、学芸も勝たなきゃいけない相手なので、まず1勝目、明日勝ちたいと思います。

出場選手
サイド小出捺暉(環1・駿台学園)
センター樫村大仁(環2・茨城高専)
オポジット富澤太凱(経3・慶應)
サイドマルキナシム(総3・川越東)
センター清水柊吾(総2・広島城北)
セッター谷舜介(環1・徳島城東)
リベロ岩本龍之介(商4・仙台第二)
途中出場加藤真(商2・慶應)
 宮川郁真(総1・松本県ヶ丘)
 加藤靖丈(商1・慶應)
順位表(9月29日終了時点)
 大学勝利数セット率
1位早大3.0000
2位筑波大2.7143
3位順大2.5000
4位日体大2.3750
5位明大2.1111
6位中大1.8889
7位東海大0.8750
8位駒大0.5882
9位国士館大0.3158
10位日大0.2778
11位学芸大0.2381
12位慶大0.2381

◇順位の決め方◇

勝利数が同じ場合、セット率(得セット数/失セット数)の高い方が上位となる。

セット率も同じ場合、得点率(総得点/総失点)の高い方が上位となる。