イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(6月27日~7月10日)の第5日。 女子シングルス2回戦を戦ったセレナと3回戦を戦ったビーナスのウイリアムズ姉妹が、揃ってたいへんな苦労を乗り越えて、それぞれひとつ駒を進めた。 第1…

 イギリス・ロンドンで開催されている「ウィンブルドン」(6月27日~7月10日)の第5日。

 女子シングルス2回戦を戦ったセレナと3回戦を戦ったビーナスのウイリアムズ姉妹が、揃ってたいへんな苦労を乗り越えて、それぞれひとつ駒を進めた。

 第1セットを奪うまであと1ポイントと迫ってからそれを落としたセレナは、センターコートのサイドライン沿いの椅子に座り、ラケットを1、2、3度、さらに4度と芝の上に叩きつけた。それから彼女はラケットを無造作に放り投げたが、背後のかなり遠くまで投げたために、それはその試合の様子を撮影していたTVカメラマンの膝の上に落下した。世界65位のクリスティーナ・マクヘイル(アメリカ)との2回戦でのことである。

 セレナは体制を立て直し、勝負を第3セットに持ち込んだが、すぐにブレークされて0-2とリードを奪われる。実際にそれは、彼女が出場した17度のウィンブルドンの中でもっとも早い敗退になるように見えていた。しかし試合後にセレナ自身が言った、「メンタル的に、誰も私を崩せない」という言葉は、はったりではなかったようだ。

 最終的に第1シードのセレナは、この苦境を乗り越えてマクヘイルを6-7(7) 6-2 6-4 で下して勝利をつかんだ。

 大会は雨に悩まされ、いつもなら休みとなる“ミドルサンデー”(大会中日の日曜)にも試合が行われることになった。このような事態は、大会の139年の歴史で4度しか起きていない。過去には1991年と1997年、そして2004年だけだ。

 屋根を閉じたセンターコートで締めくくられたセレナの試合は、劇的なものだったが、劇的という点では、彼女の姉ビーナスの試合もまったくひけをとらなかった。彼女は3度の雨の中断を挟み、待機時間が1時間を超えたそのうちのひとつは、ビーナスがマッチポイントをつかんだ瞬間に起きた。

 しかし、ここウィンブルドンで5度の優勝を誇る、第9シードのビーナスは辛抱強く戦い、第29シードのダリア・カサキナ(ロシア)を7-5 4-6 10-8で破り、4回戦に進んだ。4回戦に進んだ女子選手は2人いて、もう1人はマリーナ・エラコビッチ(ニュージーランド)を6-2 6-2で破った第12シードのカルラ・スアレス ナバロ(スペイン)だ。両勝者が4回戦で対戦する。

 「ウィナーが通り過ぎるわ、ロブが入ってくるわで、次はいったい何? という感じだった。彼女はすごくインスピレーションに満ちていたわ」と、ビーナスは試合後に振り返った。36歳の彼女は、このレベルで最年長の女子選手で、この2日においてはシングルスとダブルス(パートナーはセレナ)を合わせて6時間半もプレーしている。

 第3セットで5-4とリードし、カサキナのサービスゲームで30-40とマッチポイントを握ったときに雨の中断が起きたこの日の顛末について、ビーナスは「まるでハリウッド映画の脚本みたいだった」と言った。

 一方、セレナは第1セットでセットポイントを握り、一時はそれをものにしたかに見えていたのが、マクヘイルが自分のショットをアウトとした判定に対して「チャレンジ」(自動ライン判定)を要求。この判定が覆ったあたりから、セレナの機嫌と雲行きが悪くなった。マクヘイルはアグレッシブにプレーし、彼女がついにセットを取ったときに、セレナは自らのフラストレーションをラケットにぶつけたのだ。

 「私はすごくすごく、本当に怒っていたの。たくさんのチャンスを手にしていたのに」とセレナ。自分の怒りをぶつけた“ラケット投げ”によって、セレナは罰金を食らうことになる。

 セレナとビーナスの試合は部分的に時間が重なっていたため、母のオラセン・プライスは、まず1番コートでビーナスの勝利を見届けてから、セレナの勝利を見ようとセンターコートに急いだ。(C)AP(テニスマガジン)