「B.LEAGUE EARLY CUP 2018 TOKAI」が9月7日~9日豊橋市総合体育館で開催され、「新生シーホース三河」が今季初の公式戦に臨んだ。アウェイながらも、シーズン開幕を待ちわびるファン・ブースターが観客席を青く染め、新た…

 「B.LEAGUE EARLY CUP 2018 TOKAI」が9月7日~9日豊橋市総合体育館で開催され、「新生シーホース三河」が今季初の公式戦に臨んだ。アウェイながらも、シーズン開幕を待ちわびるファン・ブースターが観客席を青く染め、新たな船出への期待の高さをうかがわせた。

 

 8日に行なわれた準決勝の茨城ロボッツ戦は、序盤は少し堅さが見られたが、3Qに新加入のグラント・ジェレットの14得点を含む35得点を奪って突き放し、95-64の大勝で今季初勝利を飾った。名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの決勝は、エース・金丸晃輔が28得点で牽引するも、名古屋Dのアップテンポなバスケットで主導権を握られ、71–78で悔しい準優勝に終わった。

「いい部分と悪い部分の両面が出たので非常に収穫のあるゲームだった」と鈴木貴美ヘッドコーチ(HC)が振り返れば、今季飛躍が期待される西川貴之も「チームの力がこんなものだと分かったのが一番の収穫。ここから3週間、また積み上げていきたい」と開幕に向けて気持ちを高めていた。

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28得点にも「僕はいつも通りやっただけ」 クールなエースが示した覚悟

 別格の存在感を放ったのは、エースの金丸晃輔だった。準々決勝では硬さの見られるチームメイトを余所に、桜木ジェイアールとの長年培ってきたホットラインから得点を積み上げ、1Qだけで二桁得点の本領発揮。21分43分の出場で3Pシュート3本を含む19得点を挙げてチームを牽引した。

さらに決勝では、タイトなマークにあいながらもそれを上回り、ゲームハイとなる28得点を叩き出す無双ぶり。「僕はいつも通り攻めて点を取っただけです」と淡々と語ったが、得意のキャッチ&シュートだけでなく、1on1で仕掛けてマークを揺さぶり、体勢を崩しながらもジャンプシュートをねじ込む進化も披露。流れが悪いときはチームメイトに声をかけてゲームをコントロールする姿も見られ、新たなチャレンジへ挑むエースとしての覚悟を印象づけた。

エナジー全開の司令塔と走れるビッグマン

 注目の新加入選手もそれぞれの個性を発揮し、ファン・ブースターを沸かせた。

ポイントガードのポジションは、2試合とも新加入の生原秀将が先発。守備では大柄な外国人選手を身体を張って止め、攻めに回れば冷静なパスさばきとアグレッシブなリングアタックでクリエイトした。

「ジェーアールや金丸さんのところは自分たちのストロングポイントなので、そういうところを冷静に考えながら、アグレッシブに、前を向いて得点を取りにいったり、ゴールにアタックすることを忘れちゃいけない。練習でも色々な組み合わせでやっていますが、公式戦だとまた違った部分がある。毎試合毎試合、自分たちで良いところ悪いところを分かりながらやっていければと思っています」

 新たなビッグマン2人も期待に違わぬ活躍を披露した。
茨城戦で先発したパワーフォワードのジェレットは、破壊力抜群のダンク、ポストプレー、3Pシュートと多彩なスコアリングテクニックで26得点の大活躍。2試合に出場したスモールフォワードのジェームズ・サザランドは、アウトサイドシュートや巧みなドリブルで相手をかわしてゴールに切り込み得点を重ねただけでなく、相手の速攻をブロックショットで阻止する機動力も光った。
アーリーカップの準決勝はジェレットとサザランドが、決勝はバッツとサザランドがベンチ入りした。タイプの違う3人の外国籍選手をどのような組み合わせで起用するかは今季の見どころになりそうだ。

新たなスタイルを披露した10分間

 桜木を中心にした盤石なハーフコートバスケットは三河の変わらぬアドバンテージだ。茨城戦の3Qでは、それに加えて今季目指す「ディフェンスから走る」スタイルも披露した。生原、森川正明の果敢なドライブとスティールからのファストブレイクで得点して一挙35点を挙げた。

試合後、金丸は「前半は逆に相手に走られた。前半やられたことをうちがやらなければいけなかった。ゆっくりゆっくりボールを運んで、ハーフコートに入ってセットオフェンスでやりましょうというのがうちが一番ダメなときなんですよ。リバウンドを取って、どんどんプッシュして速い展開で攻めていくのがうちのリズム。後半はそれが出たので突き放すことができた。あれを出だすことができれば、うちは強いと思います」と開幕に向けて収穫と課題を検証する。

 鈴木HCも「出だしは硬くてチグハグなプレーもあったが、徐々に自分たちのディフェンスから走る展開もたくさん出て、いい形で試合を終えられた。ディフェンスからファストブレイクやアグレッシブにリングにアタックすることもできた。後半アジャストできた良いゲームだった」と手応えを口にした。

一方、課題は守備だ。茨城戦も名古屋D戦も、得点後に休む間もなく走られるアップテンポな展開に苦戦した。

「どこのチームもトランジションを狙ってくると思うので、そこは課題です」と名古屋Dの中東泰斗のドライブを封じ込めるなど守備で貢献した西川は、しっかりとやるべきことを見据えてアーリーカップを後にした。

 

 10月6日、三河はアウェー・ドルフィンズアリーナでB.LEAGUE3度目の開幕を迎える。開幕の相手はアーリーカップで敗れた名古屋D。また翌週の13日のホーム開幕戦は、ウィングアリーナ刈谷に昨年王者のアルバルク東京を迎える。開幕から強敵との対戦が続くが、新たなチームの力を試す絶好の機会でもある。アーリーカップ、昨季のセミファイナルのリベンジを果たして、勢いに乗りたい。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]