「ロシアW杯のベルギー戦の落胆は、今も消えずに残っている。日本の選手たちが見せたパフォーマンスは賞賛に値した。その後…
「ロシアW杯のベルギー戦の落胆は、今も消えずに残っている。日本の選手たちが見せたパフォーマンスは賞賛に値した。その後、新たに森保一監督が就任、新体制となった。コスタリカ戦で選んだ選手は新顔が多く、文字通り、新チームとしてみるべきだ」
森保一監督の初陣となったコスタリカ戦。”スペインの名伯楽”ミケル・エチャリは冷静なトーンでリポートを書き出している。
エチャリはスペイン、バスク地方でレアル・ソシエダ、エイバル、アラベスなど有力クラブで強化部長、育成部長、監督、戦略分析担当、スカウトなどの要職を、数十年にわたって歴任してきた。現在はバスク代表監督(FIFA未公認)の肩書きを持っている。今や指導者として活躍するウナイ・エメリ(アーセナル監督)、ホセバ・エチェベリア(テネリフェ監督)、シャビ・アロンソ(レアル・マドリードU-14監督)などに強い影響を与えてきた人物だ。
「個人的な意見としては、好ましい戦い方だった」
森保ジャパンのコスタリカ戦の船出を、エチャリは最初にそう評価した。

判断のよさ、スキルの高さで際立っていた中島翔哉
「新たにチームを率いることになった森保監督は、4-2-3-1の布陣を選択している。4-4-2とも言えるが、小林悠(川崎フロンターレ)がトップで南野拓実(ザルツブルク)はその後ろという形で、3-4-2-1とも5-4-1とも言えるコスタリカと相対している。
日本は試合の流れをつかんでスタートした。前線の中島翔哉(ポルティモネンセ)、南野らが積極的にシュート。目を引いたのは、そのプレースピードだろう。速く精度の高いパス回しから敵陣に迫っている。
しかし前半8分、最初に決定機を得たのはコスタリカだった。ロングボールをヘディングで競り勝って跳ね返すと、それを拾ったランダル・レアルが、佐々木翔(サンフレッチェ広島)のディフェンスをかわして右サイドに侵入。追いすがる佐々木を切り返して、左足で際どいシュートを浴びせている。
もっとも、日本は主導権を失っていない。スキルの高い選手たちが、コンビネーションを使い、前線までボールを運んでいる。コスタリカの選手たちはそれをファウルでどうにか止めるしかない有様だった。
そして前半16分だった。押し込んでいた日本は、中島が蹴った右CKをニアサイドで佐々木が頭で合わせる。これが敵ディフェンダーの頭をかすめ、オウンゴールで先制に成功している。
その後はコスタリカが中盤を固めたことで、試合は膠着した。
しかし前半38分には、日本は目を見張るコンビネーションを見せている。中盤での強度の高い攻防から、ボールを拾った遠藤航(シント・トロイデン)が絶好のボールを前線の小林に入れる。落としたボールを南野が右足ボレーで枠に飛ばした。ボールはGKに弾き出されたものの、縦に速い攻撃で好機を作り出し、高い連係度を示している。選手たちは、試合の流れに柔軟に対応できていた」
後半に入ると、日本のプレーは加速して完全にコスタリカを凌駕することになった。
「日本は少ないタッチでボールを回し、インサイド、アウトサイドと攻め立てている。プレーテンポの速さは、単純なボールの動かし方だけではない。ボールを失った後のトランジション(攻守の切り替え)にも速さは出ていた。攻撃しながらも守備の準備ができており、”相手に虚を突かせない”という周到な戦い方を見せていたのだ。
集中力が高く、リスタートも迅速。油断がなかった。ライン間の連絡機能も高く、有効なスペースを与えていない。
たとえば敵陣でCKを取ると、得点を取るためのポジションばかり考えがちである。しかし攻撃しているときこそ、守備の準備をしなければならない。この日は、そういった戦術的原則が守られていた。CKの跳ね返りが相手に渡っても、その攻撃を封じ、遅らせる選手が配置されていた」
後半21分、日本は南野が2点目を奪ってリードを広げている。
「コスタリカ戦の中島は、ビジョンの明晰さと判断のよさ、スキルの高さで際立っていた。2点目のシーンも、1本のパスで中央左サイドを破っている。走り込んだボランチの遠藤が、マイナス方向にパス。これを受けた南野が適切なコントロールから、左足でゴールを決めた。コンビネーションを使った素晴らしい得点で、この日、最高のプレーだったと言えるだろう。
アディショナルタイムには、交代出場した伊東純也(柏レイソル)が右サイドを攻め上がり、1対1から中に切り返してマークを外し、左足のシュートを鮮やかに決めている」
3-0の完勝。森保ジャパンの初陣はこれ以上ないものになった。
「コスタリカのプレーレベルが低かったことは、残念ながら否定できない。そこは差し引いて評価すべきだ」
エチャリはそう断ったうえで、日本の船出をこう祝福している。
「日本のプレースピードは圧倒的だった。チームとして距離感などのバランスが崩れず、試合を通して選手同士が連係し、ラインもコンパクトに保っていた。攻撃でボールを失った後のリスク管理も徹底され、トランジションは及第点。なにより、日本人のプレーキャラクターであるスピードとテクニックを最大限に活用した試合だったと言える。今後の成長を見守りたい」
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