勝ち進むにつれて、自信も手に入れつつある錦織圭 自分より上位のシード選手を破るという第一関門を、錦織圭は見事に突破してみせた。 今季最後のグランドスラムであるUSオープン(全米テニス)の3回戦で、第21シードの錦織(ATPランキング19…



勝ち進むにつれて、自信も手に入れつつある錦織圭

 自分より上位のシード選手を破るという第一関門を、錦織圭は見事に突破してみせた。

 今季最後のグランドスラムであるUSオープン(全米テニス)の3回戦で、第21シードの錦織(ATPランキング19位、8月27日づけ/以下同)は、第13シードのディエゴ・シュワルツマン(13位、アルゼンチン)を、6-4、6-4、5-7、6-1で破り、2年ぶりのベスト16進出を決めた。

 錦織は、シュワルツマンとはUSオープン開幕前に一緒に練習し、グランドストロークの感覚をつかむことができ、いい最終調整になっていた。

「彼と練習するのは結構好きで、自然とストローク戦が長くなるので、いい感覚をくれる」と錦織は質の高い練習ができたことを喜ぶ一方で、「試合ではあんまりやりたくないですけど」とも吐露していた。

 シュワルツマンとは過去2戦2勝の錦織だったが、今回の対戦ではシュワルツマンがランキング上位であり、試合の序盤では錦織が劣勢に立たされた。

「正直硬さのあったスタートだったので、球が浅くなった。(ラケットの)スイングができていないと、(シュワルツマンに)前に入られてどんどん打たれてしまった」

 さらに錦織は、試合の準備中にタイムバイオレーション(遅延行為)をとられて出鼻をくじかれたこともあり、いきなり第1セットを1-4とされる。

 だが、シュワルツマンに対しては、ボールをつないでいるだけではだめで、自分から打ち続けないと勝てないということを思い出したかのように、得意のフォアハンドストロークで、コースを変えて展開していき、シュワルツマンを走らせてミスを誘った。

 そして、「あそこまで流れが変わるとは思っていなかった」という錦織が徐々に調子を上げていき、第6ゲームから5ゲームを連取して、逆転でセットを先取した。

 第2セットも錦織が奪ったが、メンタルが屈強なシュワルツマンはあきらめない。闘争心を前面に出して、錦織から19本のミスを引き出すと、シュワルツマンが第3セットを奪い返した。

 再び錦織は自分を奮い立たせて、アグレッシブなテニスを心がけ、第4セットだけで12本のフォアハンドウィナーを放ち、ファーストサーブでのポイント確率は93%と高い数字を記録。これぞ錦織の攻撃テニスというものを試合の終盤に披露した。

 結局、錦織は63本のミスをしたものの、フォアハンドの22本のウィナーを含む49本のウィナーを決めて、3時間18分におよぶ熱戦の末、粘り強いシュワルツマンを振り切った。

 3回戦でのシード選手同士の対決で、より高いクオリティーのテニスを求められた錦織だったが、自らグランドストロークはトップ選手の一人だと認めるシュワルツマンに打ち勝つことができたのは大きい。ハイクオリティーなラリー戦の中から、錦織はさらに自分のいいテニスを引き出すことができた。

 これからグランドスラムの第2週目を戦っていくうえで、大きな武器にできるはずだ。

「自信は戻って来ています。今日(3回戦)も内容がよかったし、1、2回戦もよかったです。自信を持って攻めて、この2週間だけは、この調子で乗り切りたいですね」

 4回戦では、3回戦で第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(4位、ドイツ)を破ったフィリップ・コールシュライバー(34位、ドイツ)と対戦する。

 対戦成績は錦織の2勝0敗で、34歳のコールシュライバーは、28歳の錦織からまだ1セットも奪ったことがない。

「圭はものすごいパワーのあるサーブを打つわけではないけど、すごく高いクオリティーで、ピンポイントにサーブを賢く入れたり、ボディサーブを多用したりする。とてもいいバックハンドを打つし、コート上で素晴らしい動きをする。圭に対しては、ときには少しリスクを冒さないといけないね」

 このようにコールシュライバーが語る一方で、錦織も決して油断はしていない。

「(コールシュライバーは)バックがうまいし、タッチ(のセンス)のある選手。なるべく早いタイミングでプレーしたい」

 試合を重ねるごとに、調子を上げてきている錦織は、ドロー運のよさも味方につけながら、USオープンでの3度目のベスト8入りを狙う。