WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス 前週のウィンダム選手権(8月16日~19日/ノースカロライナ州、セッジフィールドCC)をもって、PGAツアー2017-2018シーズンのレギュラーツアーは終了し、いよいよフェデッ…

WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 前週のウィンダム選手権(8月16日~19日/ノースカロライナ州、セッジフィールドCC)をもって、PGAツアー2017-2018シーズンのレギュラーツアーは終了し、いよいよフェデックスカップ・プレーオフ(全4試合)が開幕。ボーナス1000万ドル(約11億円)を手にする年間王者をかけた、エキサイティングな戦いが始まった。

 その激戦の前に、まずはレギュラーツアー最終戦のウィンダム選手権を振り返ってみたい。優勝したのは、初日に「59」をマークしたブラント・スネデカー(アメリカ)。およそ2年半ぶりの勝利を飾って、大会を盛り上げた。

 その一方で、熾烈な戦いが繰り広げられていたのが、来季のシード権をかけた争いだ。

 プレーオフ第1戦に駒を進められるのは、年間ポイントレースとなるフェデックスカップ・ポイントの上位125名。プレーオフに出場できる=来季のシードを獲得する、ということになるため、最終戦はまさに白熱したシード争いが繰り広げられるのだ。ランキング下位の、ボーダーライン上での争いではあるが、ある意味、優勝争いよりも過酷で、ハードな戦いと言えるかもしれない。

 また、ここに出場した選手の中では、世界ランキング16位の松山英樹がランク最上位の選手だった。結局、ランキングの上位陣はプレーオフに備えて、同大会は休養に充てる選手が多いため、シード権争いへの注目度は一層増すことになる。

 ところで、その松山は前週までのポイントレースで88位だった。プレーオフへの連戦覚悟で臨んだ今大会、ギリギリの予選通過だったものの、週末に底力を発揮して11位タイでフィニッシュ。ポイントレースの順位を76位までアップさせてプレーオフを迎えられたことは、”参戦、成功”と言っていいだろう。

 話をシード争いに戻すと、ポイントレース”125位の攻防戦”で最も注目を集めたのは、セルヒオ・ガルシア(スペイン)だった。今大会前までのポイントレースは131位。順位を6つ上げないと、プレーオフに進むことができない状況にあった。

 ちなみに、ガルシアは2017年にマスターズチャンピオンとなって5年シードを獲得。シードという意味ではその権利は確保しており、来季以降もPGAツアーで戦うことができる。

 しかしながら、プレーオフが始まった2007年以降、プレーオフに出場できなかったことはない。その屈辱は是が非でも避けたかったが、多くのファン、メディアが注目するなか、ガルシアの追撃はあと一歩及ばなかった。

 第3ラウンドを終えた時点では、8位まで上昇したガルシアだったが、サンデーバックナインの序盤でボギーを3つ重ねて急降下。最終的には24位タイという成績に終わって、ポイントレースは128位に順位を上げるのが精一杯だった。

 最終ラウンドを終えて、肩を落としたガルシア。そのままメディアを避けて、無言でコースを去ってしまった。



フェデックスカップ・プレーオフ進出を逃したガルシア

 残念ながらシードを失うことになった主な選手には、グレーム・マクドウェル(北アイルランド)がいた。前週までのポイントレースは143位。ウィンダム選手権では「トップ10以内が必要」とされていたが、結果は57位タイと振るわず、ポイントレース144位で来季はシード外となってしまった。

 とはいえ、2010年の全米オープン覇者は大会前から落ち着いていた。

「PGAツアーの出場権を取れれば素晴らしいが、39歳の僕にとっては、それは”生きるか、死ぬか”といった問題じゃない。自分にプレッシャーをかけないでプレーしたい」

 そう語っていたマクドウェルは、第3ラウンドでは松山と同組でプレー。思ったようなプレーができないなかで、苛立ちを見せることもなかった。

 欧州ツアーのメンバーでもあるマクドウェル。来季以降は、そちらが主戦場となると見られる。派手さはないものの、通好みのプレーが光る彼の姿を、PGAツアーで見られる機会が減るのは何とも寂しい限りだ。

 オーストラリアのアーロン・バデリーも、涙を飲んだひとりだ。ポイントレース137位から最終戦に臨んだが、結果は24位タイに終わって、ポイントレースの順位は132位止まり。2016年のツアー勝利で得た資格も、今季で消滅して来季のシード権を失った。

 ただ、ポイントレース126位~200位の選手は、これでシード落ちが完全に確定したわけではない。プレーオフと同じく今週から開幕したウエブ・ドット・コムツアーのファイナルズ(全4試合)に参戦し、上位25名(ウエブ・ドット・コムツアーの上位25名を除く)に入れば、シードが復活。来季も再びPGAツアーでプレーすることができる。

 このファイナルズの4戦は、とても長くて、非常にハードな”最終予選会”のようなもの。そう考えると、やはりポイントレースで125位以内に入るか、入らないかでは、”天国と地獄”のような違いがあるかもしれない。

 そうはいっても、ポイントレース200位以内に入れなければ、ファイナルズへの参戦さえ認められない。

 その200位目前の201位に終わったのは、ビリー・ハーリー(アメリカ)。ウィンダム選手権では、最終日の最終18番ホールで6mのバーディーチャンスをつかんだ。だが、そのパットはわずかにカップに届かず、41位タイでフィニッシュ。その結果、ファイナルズで巻き返すチャンスも、ほんの1ポイント差で逃した。

 激動の最終戦。優勝したスネデカーがトロフィーを掲げる華やかな舞台の裏で、それとは真逆の”痛恨のドラマ”が展開されていたのである。