石川佳純 写真:新華社/アフロ


 世界ランク4位で日本女子のトップを走るエース・石川佳純(全農)が貫禄を見せつけた。8月26日に決勝が行われたITTFワールドツアー「チェコオープン」<21〜22日・予選、23〜26日・本戦/オロモウツ>の女子シングルスで、昨年に続き決勝進出を果たした石川は準々決勝で伊藤美誠(スターツSC)を下した中国の文佳と対戦し、ゲームカウントカウント4-2で勝利。

 強豪の中国人選手を破る価値ある1勝とともに、今年3月のプラチナ大会・ドイツオープンに次ぐ今季ツアー2勝目を挙げた。2018年シーズンのワールドツアーのシングルスで優勝している日本人選手は男女を通じて石川ただ一人だ。

 また、石川は2008年のツアーデビューから今年で丸10年に成るが、その間、今回のチェコオープンを含めるとシングルスで15回決勝に進出し、通算10勝を挙げている(U21を除く)。




パワーで勝る中国人選手と互角のラリー

 今大会、第1シードから優勝を狙った石川は1回戦から準決勝までの4試合を順当に勝ち上がり、迎えた決勝でも対戦相手の文佳に第1ゲームを奪われながら落ち着いた試合運びで2ゲームを奪い返した。試合後、本人も「出だしでリードされても思い切ってプレーしようと思った」と話しているように、29歳のベテランで相手の球に合わせるのが上手い文佳とバックハンドを軸に速いラリー戦を展開し、パワーで勝る中国人選手と互角の打ち合いを見せた。

 怖いのはバック対バックのラリーから繰り出す文佳のフォアドライブだった。実際、何本かストレートに打ち抜かれたが、フォアドライブの決め球なら石川も負けていない。カウンター気味の強烈なフォアドライブをクロスやストレートに打ち分け、負けじとポイントを挙げた。さらに近年、威力を増しているバックハンドも好調で、ゲームカウント3-2リードで迎えた第6ゲームも1点差の攻防の末、先にマッチポイントを握ったのは石川だった。文佳もそこから粘り3 度のマッチポイントをしのいだが、4回目を制した石川が勝利をつかんだ。

「去年と今年と(決勝という)同じ舞台で戦うことは嬉しいことですし、今年は優勝できたのですごく嬉しい」と石川。今大会はアジア競技大会と重なったこともあり、世界ランク10位以内の中国人選手が出場を回避したが、この好機にしっかり結果を出すあたりが石川のエースたるゆえんであり強さなのだろう。




(文=高樹ミナ)