プロ野球選手から見る「応援」企画の第3弾。今回は、”火の玉ストレート”がいまだ健在の、阪神タイガースの藤川球児投手と、横浜DeNAベイスターズの守護神・山﨑康晃投手にスポットを当てた。緊迫した場面でマウンドに上…
プロ野球選手から見る「応援」企画の第3弾。今回は、”火の玉ストレート”がいまだ健在の、阪神タイガースの藤川球児投手と、横浜DeNAベイスターズの守護神・山﨑康晃投手にスポットを当てた。緊迫した場面でマウンドに上がる東西のリリーフエースが、登場曲に関する秘話や応援に関するそれぞれの考えを語る!
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藤川球児・阪神タイガース
今季もピンチの芽を摘み続ける阪神の藤川
──登場曲にリンドバーグの『every little thing every precious thing』を選んだ理由は?
「すべては妻のためです。妻がその曲が好きだったので選びました」
──リリーフ投手として、スローテンポな曲を採用している選手はあまりいないように思うのですが。
「そこは意識していませんでした。ただ、2008年だったか、横浜DeNAの山﨑康晃投手が現在使っている曲に変えようかなと思ったことはありましたね。でも、今の曲がファンに根づいていたので、『曲は変えたらあかん』と思いとどまりました」
──あくまで登場曲は、奥さまやファンのためのものなんですね。
「自分の気持ちを表したものではないですからね。僕がマウンドに上がるときには、グラウンドレベルで起こることに集中していて、それ以外のことには反応しないようにしているんです」
──今年の7月21日の誕生日に登板された際には、ハッピーバースデーソングも流れましたが。
「気がつきませんでした。ファンの皆さま、すみません! 祝っていただける気持ちは本当にうれしいです。ありがとうございます」
──それだけ集中されていると、他のチームの応援もプレッシャーにはならなそうですね。たとえば、ヤクルトスワローズの山田哲人選手の応援歌などは盛り上がりもすごいと思うのですが。
「山田選手の応援・・・・・・どんな感じでしたかね(笑)。あ、でも、巨人の応援は威圧感があります」
──東京ドームでの応援ですか?
「それはもちろんですが、甲子園でも熱量がすごいんです。やっぱり”伝統の戦い”とファンの方も認識しているからか、特別に声援が大きく感じます。それに負けないように、しっかり集中して向かっていこうと思います」
山崎康晃・横浜DeNAベイスターズ
入団1年目からクローザーを任されている横浜DeNAの山﨑
──プロ野球ファンにお馴染みとなった登場曲、Zombie Nationの『Kernkraft 400』は、どのような理由で選曲したんですか?
「この曲を最初に聞いたのは大学4年のときだったと思うのですが、NBAの試合のハーフタイムに使われていたんです。それから間もなく、侍ジャパンの大学代表としてオランダで試合をした際にも球場で流れていて、『この曲、独特のリズムで盛り上がっていいなぁ』と感じました。それで、プロに入ったら使おうと思ったんです」
──実際に、曲が流れている中でマウンドに向かうときはどんな気持ちになりますか?
「ブルペンで投げているときからボルテージを徐々に高めていくんですが、やはり曲が流れてから一気に上がります。それに合わせてファンの皆さんが一斉に自分の名前をコールしてくれますし」
──初めてそのコールを聞いたときはどう思いましたか?
「コールをしてもらえるようになったのはクローザーに定着して2、3カ月が経ってからだと思いますが、うれしかったですね。ジャンプを含め、曲にマッチした素晴らしいパフォーマンスだと思います。チームメイトがつないできたバトンを受け継いでマウンドに上がるので、大きな支えになっています」
──10年前には、阪神の藤川投手も『Kernkraft 400』を使うことを考えていたそうです。
「そうなんですか? 知りませんでした。横浜のOBである佐々木主浩さんも、メジャーで活躍されていたときに、実際に使用していたか使用を検討していたか・・・・・・記憶はあいまいですが、そんな話をご本人からお聞きしたことがあります」
──今では甲子園の地区予選でも、山﨑投手の登場曲を応援歌に採用している高校が増えているようです。
「本当にうれしいです! いっそう、恥ずかしいプレーはできないと身が引き締まります。今年の甲子園は、チームメイトとロッカールームで話をすることもありましたし、家でもニュースで試合をチェックしていました。応援に関しては、やはり大阪桐蔭の応援はアレンジが効いていてレベルが高いように感じましたね。まさに”共存共栄”といった印象です」
──ちなみに、自分以外で好きな登場曲や応援歌はありますか?
「チームメイトで恐縮ですが、筒香(嘉智)さんの応援歌ですね。ビジター試合でも、『何かが起きるんじゃないか』という独特な雰囲気になるので」
──ピンチを背負う場面で登板することもありますが、マウンド上で脅威に感じた相手チームの応援は?
「衝撃を受けたのは、広島カープのスクワット応援です。あの一体感ある応援は圧力があります。今まで野球をやってきた中でも、もっとも強烈なインパクトがありました」
──山﨑投手は侍ジャパンでも活躍されていますが、国際試合でもコールと”ヤスアキジャンプ”が巻き起こりますね。稲葉篤紀監督も、「球場の空気が変わる」とコメントしていました。
「国際試合でもコールとジャンプをしてもらえるとは思っていませんでした。そういった演出を含め、常に『空気を変える投手になりたい』と思っているので、稲葉監督の言葉はうれしいです」
──2020年の東京五輪では、横浜スタジアムが野球の会場になりますね。
「もちろん投げたい気持ちはあります。まずはメンバーに選ばれるように、もっともっと成長していきたいです!」
(つづく)