欧州の主要リーグがすでに始まっているなかで、ブンデスリーガ1部は今週末に開幕する。 リーグ戦開幕を前に行なわれたドイツ杯1回戦では、長谷部誠の所属する昨季のドイツ杯王者フランクフルトが、4部のチームに敗れて敗退するアクシデントがあった…

 欧州の主要リーグがすでに始まっているなかで、ブンデスリーガ1部は今週末に開幕する。

 リーグ戦開幕を前に行なわれたドイツ杯1回戦では、長谷部誠の所属する昨季のドイツ杯王者フランクフルトが、4部のチームに敗れて敗退するアクシデントがあった。昨季はドイツ杯1回戦で敗れたハンブルガーSVが、リーグ戦でも浮上のきっかけをつかめず、そのまま2部に降格している。不吉な滑り出しといえよう。

 ドルトムント、ハノーファー、ブレーメン、デュッセルドルフ、ニュルンベルクと、他の日本人選手が所属するクラブは、順当に勝利を収めている。浅野拓磨(ハノーファー)、大迫勇也(ブレーメン)は、それぞれ新天地でゴールを決め、好調ぶりをアピールしている。

 気になるのは香川真司だ。



ドルトムントでトレーニング中の香川真司とマルコ・ロイス

 一時はフェネルバフチェ(トルコ)への移籍が噂されたが、その話は消滅したといわれている。残留説も根強くあるなかで、ドイツ杯1回戦フュルト戦ではメンバーに招集されず、ドルトムントに残った。地元紙ルールナッハリヒテンには、招集されなかった選手について、ケガなどの理由が書かれていたが、香川とヌリ・シャヒン、ダン・アクセル・ザガドゥに関しては、ただ「遠征の飛行機に乗らなかった」とだけ記されていた。

 今季は、W杯への出場などにより、選手によってチームに合流するタイミングにズレがあった。とはいえ、W杯で準決勝に進出したベルギー代表アクセル・ヴィツェルは、新加入ながらこの日は74分から出場。1点を追う90分に得点を挙げ、延長戦に持ち込む大仕事を果たしている。合流時期が遅かったから、香川のコンディションが整っていないという見方をするのは難しい。

 移籍の可能性の有無については、本人サイドは沈黙しており、何もわからない。ただ、ルシアン・ファブレが監督に就任した今季のドルトムントにおいて、今のところ、香川がメンバー外であることは間違いないだろう。
 ドルトムントは1年前、その前のシーズンにドイツ杯で優勝したにもかかわらず、トーマス・トゥヘル監督を解任。

「信頼関係を築ききれなかった」という、どこかの国でも聞いたような理由を、クラブ側はわざわざ声明文を出して発表した。

 トゥヘルの後釜として昨シーズンのドルトムントを率いたのは、元アヤックスのペーター・ボス。ボスは選手から受けのいい攻撃的サッカーを志向したものの、成績は低迷してシーズン途中に解任。引き継いだのは、最下位ケルンをクビになったばかりのペーター・シュテーガーだった。シュテーガーはどうにかチームを立て直し、チャンピオンズリーグ・ストレートインの4位でシーズンを終えた。

 今季から指揮を執るファブレは前ニース(フランス)監督。それ以前はボルシアMGで4シーズン、さらにその前はヘルタ・ベルリンで2シーズン、監督を務めており、ブンデスではおなじみだ。ボルシアMG時代にはマルコ・ロイスが在籍していたという縁がある。

 4試合あったテストマッチは2勝1敗1分けで、アメリカに遠征して参加したインターナショナル・チャピオンズカップでは、マンチェスター・シティ、リバプール、ベンフィカという強豪相手ではあったものの、2勝1分けとしている。

 ドイツ杯1回戦は、2部のフュルトに苦しんだ。この試合ではドルトムントが70パーセントのボール支配率を誇り、30本のシュートを放ったが、勝ち切るのに120分かかった。

 ファブレ監督は試合後、選手のコンディションが揃わないことを苦戦の理由に挙げ、「多くのチャンスを作れていたことが重要」と話した。「まだ時間がかかる。ディテールを詰めるべきことがたくさんある」とも言う。新加入選手も多く、まだメンバーの力を把握している最中といったところか。

 ファブレが率いていた当時のボルシアMGは、守備の統率こそが生命線だった。守備面の構築さえできれば、攻撃力を発揮することができると考えているのかもしれない。

 開幕戦の相手は難敵ライプツィヒ。ここ数年、不甲斐ない成績が続くドルトムントを脅かしてきた新勢力との対戦に注目が集まっている。