レアル・マドリードからクリスティアーノ・ロナウドが、バルセロナからアンドレス・イニエスタが退団。クラブだけでなく、リーグの顔となる選手を失ったリーガ・エスパニョーラの新シーズンが開幕した。CL優勝を目指すバルセロナのリオネル・メッシ …

 レアル・マドリードからクリスティアーノ・ロナウドが、バルセロナからアンドレス・イニエスタが退団。クラブだけでなく、リーグの顔となる選手を失ったリーガ・エスパニョーラの新シーズンが開幕した。



CL優勝を目指すバルセロナのリオネル・メッシ

 今季も優勝候補としてあげられるのは変わらない。昨季王者のバルセロナ、2位のアトレティコ・マドリード、3位のレアル・マドリードは、戦力と豊富な資金力で抜け出た存在である。

 イニエスタが退団したバルセロナ。ジョゼップ・グアルディオラ(現マンチェスター・シティ監督)が築きあげた、圧倒的な強さを誇るパスサッカーを知る選手は、いまやリオネル・メッシ、ジェラール・ピケら、わずかになった。すでにその独特なプレースタイルは影を潜め、エルネスト・バルベルデ監督のもと、前線のメッシやルイス・スアレスといった決定力の高い選手の個の力に頼るサッカーへと変貌している。

 また、これまでは下部組織重視のチームづくりをアイデンティティーとしてアピールしていたバルセロナだが、この点でも変化が見られる。昨季のウスマン・デンベレ、コウチーニョほどの大型補強というわけではないが、今季もブラジル人のアルトゥール(←グレミオ)、マルコム(←ボルドー)、チリ代表アルトゥーロ・ビダル(←バイエルン)など、南米勢を中心に攻撃的な選手を補強した。

「自分たちは、どこかのクラブのように大金を使って補強をすることはない」と、数年前にピケが話していたのが嘘のようだ。

 まるで方針を一変したかのようなバルセロナだが、こうした補強は別に新しい話ではない。ジョアン・ガスパール会長時代、オランダ人監督ルイス・ファン・ハールのもとで、チームはオランダ人だらけだった。過去にはバルセロナも外国人選手を重用していた時代はあったのだ。

 とにかく4年ぶりのチャンピオンズリーグ(CL)優勝を目指すチームは、レアル・マドリードと同等、もしくはそれ以上の金額を使用してチーム強化を図った。デンベレ、マルコム、コウチーニョをどのように起用していくのかも注目される。

 一方のレアル・マドリード。監督ジネディーヌ・ジダンとエースのロナウドが去り、元スペイン代表監督であるフレン・ロペテギは、CL3連覇を達成したチームを再構築しなければいけない。なかでも年間50得点を決めていたロナウドの後継者探しが一番のポイントになるだろう。

 地元メディアはW杯期間中からネイマール(パリ・サンジェルマン)、ロベルト・レバンドフスキ(バイエルン)、ハリー・ケイン(トッテナム)、エデン・アザール(チェルシー)などをリストアップしたと伝えていたが、ここまでの大型補強はチェルシーから獲得したGKティボー・クルトワのみ。手元に残している3億ユーロ(約390億円)は、来季のネイマール獲得のために貯めていると言われていた。

 ところが、UEFAスーパーカップで、クルトワの古巣であるアトレティコ・マドリードに延長戦の末、2対4で敗れると、再びCF獲得の必要性が新聞の一面を飾るようになった。そこにはネイマール、マウロ・イカルディ(インテル)、ティモ・ヴェルナー(ライプツィヒ)、ロドリゴ(バレンシア)らの名前が上がっている。

 チームには将来性豊かなブラジルの新星、ビニシウスが加入したものの、まだ18歳。ロナウドの代役を担わせるだけのタフさは身につけていない。

 実はこの夏、CL3連覇を達成したレアル・マドリードには瓦解する可能性もあった。各選手にあちこちから誘惑の手が伸びたが、なんとか阻止したというのが実情だ。

 世界1の評価をしてほしいと望み、最高額年俸を要求したロナウドこそ止められなかったが、噂に上がったガレス・ベイルのプレミアリーグ復帰や、ルカ・モドリッチへのインテルの熱烈なラブコールは実現していない。ロナウドのラブコールを受けたマルセロのユベントス移籍も成立しなかった。

 驚異となったイタリアの移籍市場は、この金曜日に閉じた。そして、フロレンティーノ・ペレス会長が大物選手を獲得するのはたいてい移籍市場閉幕の直前だ。

 残り2週間で、レアル・マドリードを2年ぶりのリーガ優勝、CL4連覇へと導く、ロナウドの後釜となる選手が見つけられるかどうか。レアル・マドリードファンだけでなく、サッカーファンなら気になるところだ。