「ATP500 ワシントンD.C.」(アメリカ・ワシントンD.C./7月30日~8月5日/ハードコート)で2連覇を果たし、通算ツアー9勝目を飾ったアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)。この大会で彼のハイライトといえば、兄ミーシャ・ズベレフ(ド…

「ATP500 ワシントンD.C.」(アメリカ・ワシントンD.C./7月30日~8月5日/ハードコート)で2連覇を果たし、通算ツアー9勝目を飾ったアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)。この大会で彼のハイライトといえば、兄ミーシャ・ズベレフ(ドイツ)と初対戦した3回戦だろう。

二人は、2016年に「深圳オープン」で初対戦の可能性があった。しかし、アレクサンダーが棄権したため対戦は実現せず。AP通信によると、ようやく同大会で初顔合わせとなった兄ミーシャは、「いろんな感情で溢れました。最初にまず、幸福感です。自分を誇りに思います。コイントスの後、写真を撮ってベースラインに戻ったとき、涙をこらえなければなりませんでした」と試合後に語った。

試合は終始穏やかな雰囲気に包まれ、ミーシャが感極まったというコイントスの際は、弟アレクサンダーや主審も終始笑顔を見せていた。とくにアレクサンダーは兄との対戦とあって照れもあったのかもしれない。「ぼくたちは子供のころ、グランドスラムの決勝で対戦していると想像しながら、裏庭のミニテニスコートでプレーをしていたんです」と、二人で練習をしていた様子を話す。

TENNIS TVの実況からも「これから試合というより、いつもふたりで練習をしているかのように思える」と話し、いかにこの3回戦が"スペシャル"だったのかがわかる。

試合は、兄弟対決とはいえライバル同士。ズベレフ兄弟は互いのコート上での長所と短所をよく知っている。ゲームポイントをなかなか取れず苛立ちを見せるアレクサンダーだったが、いつもとは違う表情を見せていた。

さらにネットに詰め寄りウィナー級のボレーで返したアレクサンダーに対し、ミーシャが対角線を全速力で追いつきポイントを取ったシーンは、どちらを応援していいのか少し戸惑いながら見ている会場からは、微笑みと大きな拍手で二人に称賛を送った。

主審も通常の試合ではプレーヤーを呼ぶ際、単に姓を使用するが、この試合はファーストネームも併せてコールしていた。 アレクサンダーのニックネームを使って、「ゲーム、サーシャ・ズベレフ」といった具合だ。

試合後のTENNIS TVのインタビューで、ミーシャは「重要な一日だった」という。「ぼくたちがコートから戻るとき、観客が応援していました。ほとんど泣きそうでした。『なんて特別な気分なんだ。私の両親は今何を考えているのだろうか?』。数秒舌を噛んで集中しなければならなかった。ぼくにとって、それは信じられないほど特別なことでした」。

アレクサンダーも「とても特別でした。ミーシャが言ったように、どこの誰が世界で最も大きなトーナメントの一つで弟とプレーしたといえるでしょう?」と続ける。 「これは信じられないほど特別でした。これが最後ではなくて、これから続くことの最初であることを願っています」。

今後も二人の対戦が巡ってくる事を期待したい。(C)AP(テニスデイリー編集部)

※写真は試合後にハグをする兄ミーシャ(手前)とアレクサンダー(奥)のズベレフ兄弟

(AP Photo/Andrew Harnik)