専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第166回 猛暑日が続いています。こんだけ暑いと、1日かけて18ホールのラウンドなんて、やってられませんよね。 じゃあ、ショートコースはどうですか? たいがいパー3が9ホールあ…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第166回

 猛暑日が続いています。こんだけ暑いと、1日かけて18ホールのラウンドなんて、やってられませんよね。

 じゃあ、ショートコースはどうですか? たいがいパー3が9ホールあって、1周するのが1時間くらいですから、あっという間に終われます。

 ただ、それはいいんだけど、わざわざ1日空けて、ショートコースを1時間で回って終わりにするのも、なんだかなぁ~。かといって、同じところを回っても、せいぜい2周するのがいいとこでしょう。

 そんなわけで、やってもいいけど、ちょっと物足りなさを感じるショートコースの現状と、その未来について検証したいと思います。

 まず、ショートコースの数ですが、関東には70ちょいあります。これが、多いのか、少ないかも判断に迷いますね。

 ちなみに、18ホール以上ある本格的なゴルフ場は、関東に約700あるといわれています。つまり、ショートコースは本格的なコースのおよそ10分の1。しかも、毎年閉鎖されるコースがあって、新規オープンというのは聞いたことがありませんから、決して多いとは言えないかもしれませんね。

 続いて、ショートコースのカテゴリーについてですが、一般的にパー3ばかりのコースを「ショートコース」と言います。9ホールのところもあれば、18ホールのところもあります。

 2グリーンは少ないです。河川敷みたいな、視野が開けているコースもあれば、120ヤードのパー3でもドッグレッグというレイアウトがあるコースもあります。

 人気があるのは、木の下にグリーンがあって、転がさなければ乗らないとか、ピッチングウエッジでフックをかけなければグリーンを狙えないとか、レイアウトが凝っているコースですね。

 また、ショートホールがメインながら、たまに290ヤードのミドルホールなどが混ざっているコースがあります。そういうコースは「ミドルコース」と言い、9ホールでパー30ぐらいに設定されています。

 たかがショートコースといって、侮るなかれ。昔からある人気のコースは、シングルプレーヤーですら、満足させられるコース設定になっております。

 ゴルフ専門誌などが主催して、『ショートコース選手権』なるものも開催されています。予選を各地で行なって、優秀者が一堂に集う決勝大会も行なわれます。

 これは、本格的な18ホールの競技に出るのは気が引けるけど、ショートコースなら出てもいいかな、という競技予備軍のみなさんに人気です。過去に私も何回か出場しましたが、レベルは結構高いです。3~4オーバーぐらいじゃないと、予選突破できませんからね。

 それでは、ショートコースのお客さんというのは、どういう人たちなのでしょうか。

 これは、圧倒的に地元の人が多いです。わざわざ1日空けて、都心からショートコースに行く方は珍しいです。同じ1日を開けるなら、18ホールの本格的なコースをラウンドしたい、そう思うのが正常な思考ですよね。

 ゆえに、地元の人以外でショートコースに行く方は、よっぽどの事情がおありなのでしょう。他人には見られたくないパートナーと練習ラウンドをしたいとか、18ホールのコースだと緊張してわけがわからなくなるから、慣れるためにこっそり練習ラウンドをしたいとか、さまざまな理由があると思います。

 でも、通常は90%ぐらいが地元の方が利用するので、違和感があることは否めません。

 地元の方でも、多いのはシニア層です。近所のゴルフ好きなオジさんたちやご夫婦が、レクリエーションと練習を兼ねて、ショートコースにやって来ます。

 年配の方は飛距離が衰えてきていて、18ホールあるコースだと、みんなから置いてきぼりにされて、つまらなく感じるのです。むしろ、ショートコースのほうが得意のアプローチを発揮できて、楽しいのだそうです。そうやって、いそいそとショートコースに通う人がたくさんいます。

 ショートコースの営業は、地元の常連で成り立っているのは仕方がないのですが、そこだけの”ローカルルール”なるものが発生しています。

 以前、ゴルフ雑誌の企画で、20ほどのショートコースをラウンドしたのですが、その半分以上で行なわれていたのが、2回打ちのルールです。どうせ前の組が詰まっているんだからと、2回打ってしまうんですね。

 あるコースでは、3回打っていた人がいました。それは余りにもひどいと思って注意したのですが、逆に「みんな、やっているんだ」と開き直って言い返されてしまいました。

 コース側としても、「2回打ち禁止」と張り紙をして注意をうながしているのですが、だからといって、取締りをしているようには見えません。建前は禁止だけど、本当に禁止にすると、お客さんが来なくなる――そう危惧しているのでしょう。

 関東郊外の、さらに人里離れたところになると、今度はショートコースの、とある1ホールに居座って、日がな一日、アプローチに専念しているお客さんがいたりします。これには、もう笑うしかありません。

 もちろん、他のお客さんのプレーを邪魔することはありません。グリーン脇やティーグラウンドにいて、お客さんがいなくなったら、打って、寄せて、プレーしています。けど、お客さんが来たら、借りてきた猫みたいにおとなしく鎮座して、だんまりを決め込むって寸法です。



地元の年配の方々の、憩いの場となっているショートコースもあるみたいですね...

 そんなこんなですから、ここはいっそのこと逆転の発想で、ショートコースでは2回打ちをオーケーにしたらどうでしょう。週末は混むので、禁止になると思いますけど、ウイークデーはあくまでも練習ラウンドというくくりにして、2回打ちはもちろん、流れに任せて、打ち放題にしてもいいかもしれません。

 というわけで、ショートコース=練習ラウンドという文化は、結構進んでいるようです。すなわち、ゴルフ場でラウンドしながら、練習ショットも試してみたいわけですね。そういうニーズが、実際にあるのです。

 ならば、18ホールの本格的なゴルフ場でも、2回打ちオーケーというのをやってみてはいかがでしょうか。

 実際のところ、進行上の問題があって、なかなかうまくいきませんが、ホール貸しをやっているコースはいくつかあります。それはつまり、午後2時すぎぐらいから、空いている1ホールを2時間ほど貸して自由に打っていいですよ、という方法です。

 これなら、何度打っても構わないし、”現場力”を養えます。ただ、ずっと同じホールですから、飽きてしまう。それが、問題ですね。

 現実レベルとして、18ホールの本格的なコースで2回打ちができるのは、レッスンプロに教わりながらラウンドすること。これなら可能です。

 でもこれは、レッスンプロに指導料を払わなければいけないので、金額的にしんどい部分があります。ゴルフ場側としても、あんまり頻繁にレッスンラウンドをされるとコースが傷む、という問題が生じます。

 ともあれ、好きなだけコースで打って、”現場力”を養いたいニーズは確かにあります。そこをゴルフ場側がうまく汲み取って、何らかのビジネスチャンスにつながればいいのかな、と。

 どこか、打ち放題のコースプランを考えてくれませんかね。ぜひ、よろしくお願いいたします。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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