許キン 写真:AAP Image/アフロ


 6日間にわたる激戦が繰り広げられた「オーストラリアオープン」<7月24~25日・予選、26~29日・本戦/ジーロング>が閉幕した。


 男子シングルスではダブルス準優勝の大島が健闘を見せた。準々決勝でチョン ヨンシクを破り準決勝に駒を進め、準決勝では中国の20歳・劉丁碩と対戦。だが力の差を見せつけられストレート負けを喫した。ちなみに水谷隼(木下グループ)も1回戦で劉丁碩と当たりフルゲームの末に敗退。

 その劉丁碩は準優勝している。男子シングルス優勝は中国トップの一角、世界ランク5位の許キン。2017年11月のスウェーデンオープン以来、久しぶりの優勝とあって安堵した様子だった。その許キンは準決勝で張本智和(JOCエリートアカデミー)と対戦。張本は先手を奪われる展開を変えられず、ゲームカウント2-4で敗れた。

 今大会、男子は樊振東や馬龍ら中国のトップ選手が回避しており、日本人選手に優勝の芽があると見られていた。しかし8カ月間、ツアー優勝から遠ざかっていた許キンにとってもシーズン初優勝を挙げるチャンスだったし、若手の劉丁碩にとっても結果を出し評価を高める絶好の機会だったと言える。

 実際、許キンは試合後、「世界卓球(スウェーデン2018)が終わってから、最近のワールドツアー2大会は自分のプレーができずプレッシャーを感じていた。まだ解決しなければならない課題はあるが、今回、プラチナ大会で優勝できたことは自信につながるだろう」(ITTFプレスリリースより抜粋)と胸中をのぞかせており、常勝中国でも国内の勢力争いは熾烈であることを感じさせた。


 女子シングルスも日本のエース・石川佳純(全農)が準決勝に駒を進めたが、対戦相手の世界女王・丁寧(中国)にストレートで敗れた。平野美宇(日本生命)も丁寧と準々決勝で当たったが、やはりストレート負け。石川も平野もサービスからの3球目攻撃や石川ならフォアハンド、平野ならバックハンドなどそれぞれ得意な1本でポイントを決める場面もあったが、ラリーになるとどうしても相手より1本ミスが早くなる。

劉詩ブン 写真:AAP Image/アフロ

 最近パワーをつけるためトレーニングをより強化し、体重も2kg増やしたという石川やプロ転向後、新たな練習環境が整いつつある平野をはじめ日本勢は前戦韓国オープン、そして今回のオーストラリアオープン2連戦を終え、また課題の洗い出しと解決に追われる忙しい夏を過ごす。なお、女子シングルス優勝は劉詩ブン、準優勝は丁寧と男女とも中国が表彰台を独占する結果となった。

(文=高樹ミナ)