専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第165回 最近のプロゴルフ界はルールやマナーを厳しく指摘され、「ゴルフは紳士のスポーツ」という、原点回帰となっているようです。 でも、レジャー的な要素の強いアマチュアゴルフは…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第165回
最近のプロゴルフ界はルールやマナーを厳しく指摘され、「ゴルフは紳士のスポーツ」という、原点回帰となっているようです。
でも、レジャー的な要素の強いアマチュアゴルフは大丈夫です。こっちはこっちで、楽しくやれればいいのです。
私が危惧するまでもなく、現在は多くのアマチュアゴルファーがエンジョイ派になりつつあります。ここでは「ファンゴルフ」といいますが、そういう方々は、アスリート志向の人々とは対極のポジションにいます。
そもそも日本の、ゴルフの”競技人口”はどれぐらいなのでしょうか。単純計算でいくと、約2500あるコースに100人くらいのアクティブメンバーがいれば、25万人ほどが競技人口となります。ゴルフ人口が500~700万人として、競技人口は5%にも満たないのです。
というわけで、競技志向の減少と、「ファンゴルフ」の隆盛について、いろいろと述べていきたいと思います。
まずは、憧れの”倶楽部ライフ”衰退のお話です。
高いお金を払ってゴルフ会員権を購入し、メンバーとなった紳士淑女が倶楽部に集う構図が、昨今は崩れつつあります。
SNSが普及し、ネット上のコミュニティが盛んな現在、ネットでゴルフ愛好者を募り、その仲間たちとゴルフをしにいけばいいので、メンバーになる必要性がないのです。
向上心のある方も、ネットの競技志向のサークルに入り、「今度、一緒に練習ラウンドにいきませんか?」とか、「どこそこでダブルスの試合がありますが、どうします?」といった具合で、さまざまなコースでのプレーを堪能。競技をやるからといって、どこぞのメンバーにならなければいけない――その必然性はなくなっているわけですね。
ゴルフ界においては、今やリアル社会のほうが怖いくらいです。生身の人間が集うゴルフ倶楽部は、みなさん、それなりの社会的地位を築いておられるので、付き合いが面倒くさいのです。
古参メンバーの「モラルハラスメント」や「指導ハラスメント」があって、居心地が悪い場合もあります。そういうことをされた話は、山ほど聞いています。だから、日頃はヴァーチャルでつながっている方のほうが何かと楽、そういう時代なのかもしれません。
続いて、今の世代の「ファンゴルフ」の生態を覗いてみたいと思います。
(1)スコアにはこだわらない
日本ゴルフ界の重鎮、日本プロゴルフ協会の会長・倉本昌弘プロは、エッセイなどで「たまにはスコアをつけないで、のびのびゴルフをやってみたら」と提唱しています。
プロは試合があって、普段のラウンドは練習ラウンドでしょ。それなら、できますよね。
アマチュアは、生涯練習ラウンドなのか、あるいはコンペが試合でプライベートラウンドが練習ラウンドなのか、区別がつきにくいところですが、スコアにこだわらないラウンドは、ぜひやりたいものですね。
個人的には、そういうラウンドが年に数回あります。仕事柄、ほとんどのラウンドはスコアを残さなければならないのですが、たまにプライベートラウンドのみ、というのがあります。
そこで、前半を「49」くらいで回って、後半もどよよ~んという状況にあったとき、16~17番ホールあたりからスコアを投げます。もちろん、ラウンドは真剣にしますけど、叩き癖だけは止まらないことってあるでしょ。
ラウンド終了後のニギリの請求とかは、言われるがままです。こっちは同伴競技者に頼んで、スコアを確認するだけ。自分のスコアカードは2~3ホールが空欄、ということがよくありますね。
でも、80台を出したときは、必ずスコアをつけています。叩くとスコアをつけなくなるのは、現実から逃げたいからですかね。こういうとき、ほんとアマチュアでよかったと思います。だって、所詮ゴルフは遊びなのですから。
(2)他人に甘い
そもそもゴルフのスコアって、110ぐらいで回れるようになってから数えるものじゃないですか。
120台だと、ハーフ60でしょ。そのレベルだと、空振りは「見てないから」と言ってあげるし、「オーケー」の距離も超甘いし、1ペナになったときの処置も「もっと平らなところにボールを出していいよ」って言うじゃないですか。
それを、甘やかしているとか、得意の暴言「それはゴルフじゃない」と言っても始まらないでしょ。
ゴルフ人口が減っているのは、叩いて挫折する人が多いからです。叩いているときに厳しくすると、いじけてしまいますし、その人の「人生最後のゴルフ」になりかねません。
ゴルフは「他人に甘く」の精神でいきましょう。
(3)女性にも甘く
「ファンゴルフ」で欠かせないのは、女性の存在です。
コンペなどで参加者が30人ほどいたときに、3人は女性だった、ということがありますよね。こういう場合は、女性部門の1位から3位も決めるのです。つまり、女性は3人だから、全員入賞となります。
ドラコンにしても、レディースティーから挑戦させましょう。そうすれば、かなり高い確率で女性が持っていくことでしょう。
それぐらいのサービスをしないと、次から女性は来てくれません。
今や、女性ゴルファーは貴重な存在です。あなた、40人ぐらい集めて、全員男だらけのコンペをやってみなさいよ。成績発表のパーティーじゃあ、愛人話とキャバクラ自慢、風俗失敗伝に、老化の話ばっかですから。
それが、女性が2、3人いるだけで、品もよく、非常に華やかなパーティーになります。これぞ「ファンゴルフ」です。
(4)ルールと進行について
プライベートラウンドでも、コンペでもいいのですが、ラウンド中の進行は一番うまい人に従っていきます。それで、事はスムーズに運びます。また、コンペの組み合わせにおいては、初心者に上級者をアテンドするのが鉄則です。
従来の方法では、ゴルフのうまい人にはうまい人を組み合わせていました。つまり、シングル同士の対決をお楽しみください、と。
しかし、プロアマ騒動以降、コンペは「親睦を深めるもの」という考えに変わってきています。弱者を助けての楽しいゴルフ、そうありたいですね。
(5)せっかく遠出したのだから…
アフターゴルフというのは、従来男同士で、キャバクラにいったり、エキサイティングな店にいったりするのが常でした……って、あくまでも個人的な嗜好の話ですよ。
でも近頃は、煩悩も減りつつ……ということもあり、メンバーも若返ってきたので、ラウンド後は温泉施設で休んだり、アウトレットに寄ったり、単にうまいものを食べにいったりと、健全なものになりました。
スコアなんて気にせず、ゴルフをする一日をとにかく楽しむというのもいいですね
それに、最近はゴルフをやると疲れて、その日は仕事も何も手につかないので、じゃあいっそ、丸一日遊んじゃえ、となっています。
しかも、もっぱら電車か、誰かの車に便乗させてもらう派なので、お酒も飲み放題。疲れた体にアルコールがじ~んとしみわたり、もうお家に帰りたくない……って、女子大生の気持ちがよくわかるようになりました。ほんまかいな。
どうです。ゴルフはスポーツというより、みんなが仲よくなるコミュニケーションツールかもしれませんよ。ゴルフを通じて、人生を謳歌しましょうか。
木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。
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