2018年の「ウィンブルドン」男子シングルスは、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の優勝で幕を閉じたが、多くの熱い戦いも繰り広げられた。一方で試合の長時間化による選手の疲労や大会スケジュールの遅延という問題も、今大会では改めて表面化した。「全…

2018年の「ウィンブルドン」男子シングルスは、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の優勝で幕を閉じたが、多くの熱い戦いも繰り広げられた。一方で試合の長時間化による選手の疲労や大会スケジュールの遅延という問題も、今大会では改めて表面化した。

「全米オープン」を除く3つのグランドスラムでは、フルセットにもつれ込み、第5セットもゲームカウント6-6となった場合は、従来のタイブレーク制ではなく、2ゲーム差がつくまで決着しないアドバンテージセット制が採用されているため、いつまでも試合が終わらないという事態が度々起こっている。

これを踏まえ「全豪オープン」では第5セットのタイブレークについて選手から意見を募り始める様子だ。

同大会ディレクターのクレイグ・タイリー氏は「最近では、男子の試合での第5セットタイブレークについての意見が目に見えて多くなっている。われわれは論議を推奨しており、選手の考えを知りたい」と「全豪オープン」公式サイト上で話しており、検討に前向きな姿勢を示している。

「全豪オープン」の第5セットタイブレークを検討する取り組みについて、2018年の「ウィンブルドン」準決勝2試合が要因の1つだ。1試合目に行われたジョン・イズナー(アメリカ)とケビン・アンダーソン(南アフリカ)の対戦は6時間36分にも及び、グランドスラム史上2番目に長い試合となった。

実際、第5セットの24-23となった後のチェンジコート時に、イズナーが主審に「24-24になったらタイブレークにしたらどうか」と提案。ほかにもアンダーソンも試合後に「6時間以上コートにいる状況で第5セットに入るのは、本当に身体にとってきつい」と過酷さを窺わせるコメントを残しており、決勝戦のプレーへの影響もなかったとは言えそうにない。

さらにこの試合は、後に予定されていたもう1つの準決勝にも影響。ラファエル・ナダル(スペイン)とノバク・ジョコビッチ(セルビア)が対戦したが、ジョコビッチがセットカウントで2-1とリードした時点で順延になり、翌日に決着をつけることになった。

結局、ジョコビッチが決勝に進出してアンダーソンも退けて優勝したが、本来であれば準決勝を終えて中1日をおいて決勝戦に臨めるはずだった。しかし、現実にはジョコビッチが連日にわたって強豪選手と戦う形になってしまっており、一考する余地はありそうだ。

タイリー氏は公式サイト上で、「女子の第3セットタイブレークについての考えも知りたい」との関心も示した。「単純に深いレベルの情報収集だ」としながらも、「全豪オープン」が第5セットタイブレークについて関心を抱いているとは言えそうだ。ゲームの枠組みが変わるかもしれないだけに、今後の推移を見守りたい。(テニスデイリー編集部)

※写真は2018年「全豪オープン」での表彰の様子

(Photo by Quinn Rooney/Getty Images)