専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第164回 最近、スポーツ界の”本音と建て前”について、いろいろと考えさせられることが多いですね。 先のサッカー・ロシアW杯における、日本vsポーランド…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第164回

 最近、スポーツ界の”本音と建て前”について、いろいろと考えさせられることが多いですね。

 先のサッカー・ロシアW杯における、日本vsポーランド。西野ジャパンが最後に見せた”ボール回し戦術”には、非難する声が相当ありました。

「あれはサッカーじゃない」「試合とは呼べない内容だ」「最も恥ずべき10分」「茶番だ」……などなど。ルールに則ってプレーをしているのだから、そこまで言われる筋合いはないと思うんですけどね。

 でも、あのパス回しは西野朗監督の”賭け”でした。同時刻に行なわれていたコロンビアvsセネガルにおいて、もしセネガルが1点入れて追いついたら、日本は試合に負けて、グループリーグ敗退も決まるところでした。

 そうなったら、たぶん西野さんは3年ぐらい日本に戻って来られなかったんじゃないですか。そういう意味では、”大勝負”でしたよね。

 サッカーのパス回し戦術は、現状においては短時間ならアリでしょう。ただ時代とともに、スポーツのルールやレギュレーションは変わっていきます。

 1988年ソウル五輪では、競泳男子100m背泳ぎで鈴木大地選手(現スポーツ庁長官)がバサロ泳法(潜水泳法)で金メダルを獲得しました。しかしその後、バサロ泳法は距離が限定されることになりました。

 そう考えると、ロシアW杯で採用された『反則ポイント』による順位決定なども、そのうち使用されなくなるかもしれません。

 そんなわけで、今回はゴルフを中心に、日々変わっていく「ルール」や「マナー」、そして「常識」や「多様性」について、綴っていきたいと思います。

 ゴルフは、数あるスポーツのなかでも、とりわけルールに厳しいスポーツです。ゆえに、いろいろな問題が起こりがちです。

 たとえば、こういう都市伝説があります。

 とある日、緑色のジャケットを着て、頭にパナマ帽をかぶったオジさんが、クラブハウスの前でゲストのクラブを入念にチェックしていました。そして、違反クラブを見つけるや、その所有者にツカツカと近づいて、こう発したそうです。

「キミ、高反発クラブを使っているね。それはゴルフじゃないから、違反だよ」

 さもゴルフ界を背負っているかのような、その口調は何なんですか!? どこかの超名門倶楽部では、そのようなクラブチェックがさりげなく行なわれているとか、いないとか。別に周りに迷惑をかけなければいいじゃんねぇ。

 その「ゴルフじゃないから」宣言は、都市伝説ゆえ、ギャグと思うでしょ? 実は、似たようなことはマジで頻繁に起こっているんですよ。

 私は過去に、来場したコースのメンバーさんに言われたことがあります。2003年ぐらいのことでした。

 ちょうどクラブの高反発規制が発表されるときで(規制開始は2008年から)、そのメンバーさんから「飛ぶクラブは、将来的に違反になるから。それを使ったら、ゴルフじゃないよ」って。なんか、犯罪者みたいな扱いをされて、本当に困りました。

 ゴルフじゃないなら、何なんだよ。ただの棒叩きか?って。クラブ1本でゴルフを全否定するのは、ほんとやめてほしいです。

 たしかに2008年以降、月例などのクラブ競技は、SLEルール適合クラブ(低反発クラブ)を使わないといけないのですが、別に入賞資格はなくていいから、高反発クラブを使用していても、プレーに参加するぐらいはいいじゃないですか、って思うんですよね。



クラブ1本のことで、そこまで言われたくないですよね...

 東京マラソンやハワイのホノルルマラソンなどでは、こんな光景をよく見ます。それは、着ぐるみやコスプレをして参加している人です。しかも、そういう方が実にたくさんいます。

 こうした大都市で行なわれるマラソンは、その多くは国際大会で、世界記録が達成されれば、ちゃんと歴史に刻まれるんですよ。先頭でスタートしていく招待選手たちが好成績を出せば、そのニュースは世界中に報道されます。

 そんな”激闘”の傍らで、『ふなっしー』みたいな着ぐるみを着た人たちがノロノロと走っていたりするわけです。いやぁ~、それはまた、実に見事な多様性だと思いませんか。

 その他、スキー場の夏スキーなどでは、Tシャツに短パン姿で滑っている人が大勢いるでしょ。ひどいと水着ですから。

 だからって、「おまえら、服装がなっておらん!」と、監視員が怒鳴り込んできたりしませんよね。まあ、スキー客のほとんどはゼッケンも付けずに、ただ上から滑ってくるだけですから、もともとルールも、服装もないんですが……。

 というわけで、楽しいスポーツライフを送るためにも、ゴルフ界ももう少し寛容的になって、ある程度の多様性は認めて、アスリート派も、エンジョイ派も、共存できたらいいな、と思います。

 最後に、うるさ型には「これはゴルフじゃない」と言われがちなことを、以下に列挙してみました。みなさんのお考えはいかがでしょうか?

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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