「テニス界のBIG4」と呼ばれるラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、アンディ・マレー(イギリス)。2017年ジョコビッチとマレーが故障により離脱し「BIG2」となっていたが、ジョ…

「テニス界のBIG4」と呼ばれるラファエル・ナダル(スペイン)、ロジャー・フェデラー(スイス)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、アンディ・マレー(イギリス)。2017年ジョコビッチとマレーが故障により離脱し「BIG2」となっていたが、ジョコビッチの完全復活によって「BIG3」まで戻った。

「ウィンブルドン」(イギリス・ロンドン/7月2~15日/芝コート)男子シングルスでジョコビッチは、準決勝でナダルに、決勝ではケビン・アンダーソン(南アフリカ)に勝利。ジョコビッチは「ウィンブルドン」で3年ぶり、4回目の優勝を果たすとともに、再び男子テニスのトップに君臨する存在になったのだ。

ナダル、フェデラー、ジョコビッチの三人も、一度はツアーから姿を消した。そして三人は復帰後、2018年にはグランドスラムをそれぞれ一つずつ制した。ジョコビッチは「ウィンブルドン」、ナダルは6月の「全仏オープン」、フェデラーは1月の「全豪オープン」で。

「すごいことだ」「あの3人がこんなふうに復活するとは」と、ジョコビッチのコーチ、マリアン・バイダは言う。

昨年の「全米オープン」で準優勝したアンダーソンは、「ウィンブルドン」決勝でも、最近一緒に練習した時にも、ジョコビッチのテニスの質に感銘を受けた。そして「トップ選手は、今後たびたび彼と対戦することになるだろう」とアンダーソンは予想する。

31歳のジョコビッチは、なんといっても、グランドスラムのタイトルを13個獲得している選手。これは史上4番目の記録であり、これを上回っているのは、現在のライバルであるフェデラー(20回)とナダル(17回)、そしてジョコビッチが子供の頃にあこがれたピート・サンプラス(アメリカ)(14回)のみだ。ジョコビッチはまた、ロッド・レーバー(オーストラリア)が1969年に自身二度目となる年間グランドスラムを達成して以来、グランドスラムを4つ連続で制した唯一の選手でもある。ジョコビッチはこの偉業を2015年「ウィンブルドン」から2016年「全仏オープン」までの4大会で成し遂げた。

それ以来2018年「ウィンブルドン」まで、ジョコビッチはグランドスラム優勝から遠ざかっていた。

BIG4の4人目であるマレーは、グランドスラムで三度チャンピオンに輝き、オリンピックのシングルスで二度金メダルを獲得した。しかし、右臀部の故障や手術で2017年はほとんど試合に出られなかった。ジョコビッチもツアー離脱した時、BIG4は半分に減った。

今回ジョコビッチの完全復活によって、当面はBIG3になると思われる。「僕が一貫してこのレベルでプレーできるのかどうか、みんなが疑問に思っているのは分かっている。はっきり言って、僕自身よく分からない。同時に、今はあまり先へ目を向けることはできない。こんなすごいことを成し遂げたんだから、それを存分に味わわないと」とジョコビッチは語った。

「今後なにが起きようと、これが大きな自信になり、弾みになってくれる」とジョコビッチはつけ加えた。そして「未来のことは分からない。今後なにが起きるか、僕には分からない。それでも、ハードコートでプレーするのは好きだ。全米オープンではいつもいい成績を残せた」と次に控えるグランドスラムの「全米オープン」に向けて話す。

ジョコビッチは「全米オープン」では2007年からの10年間、準決勝に進出できなかったことは一度もなかった。そして決勝には7回進出している。

右肘の故障、続いて自信喪失に悩まされるという厳しい時期を経て、今のジョコビッチは昔の姿をかなり取り戻したように見える。バイダコーチはこの2週間で重要な変化を目にした。「間違いなく彼は以前よりリラックスしている。それに楽しんでいる。楽しみ始めたんだ」とバイダコーチは言う。「これは最も大切な瞬間だ。彼は自分の能力に対する疑いや、恐れがなくなった。だから楽しめるんだ」

「ウィンブルドン」決勝でアンダーソンに勝つ前に、ジョコビッチは準決勝でナダルを倒さねばならなかった。ジョコビッチはその試合を「僕にとって最大のテストだった。自分が勝てるかどうかを見るための」と言い、これで計52回対戦したナダルに対する勝利から大きな自信を得たと語った。

「望むレベルまで戻れるのかどうか、不安になったりイライラしたりする瞬間もあった」とジョコビッチは言った。「それでも、だからこそ、この道のりのすべてが僕にとってより特別なものになる」とジョコビッチは完全復活までの長い道のりを振り返った。(C)AP(テニスデイリー編集部)

※写真は完全復活を果たしたジョコビッチ(「ウィンブルドン」記者会見の時のもの)

(Ben Queenborough/Pool via AP)