「別の仕事を探してみれば」。女子テニス世界ランキング11位のマディソン・キーズ(アメリカ)が「全豪オープン」で敗れた後、Twitterに送られたメッセージにはこう書かれていた。別のメッセージでは「テニス界で最も過大評価された選手」とも書かれ…

「別の仕事を探してみれば」。女子テニス世界ランキング11位のマディソン・キーズ(アメリカ)が「全豪オープン」で敗れた後、Twitterに送られたメッセージにはこう書かれていた。別のメッセージでは「テニス界で最も過大評価された選手」とも書かれていた。これらは、いくつかの例にすぎない。キーズも言うように、それらはたいていの場合「本当に嫌な、恐ろしい内容」だ。

これは彼女に限ったことではない。男性女性、ランキングを問わず、世界中のあらゆるプロテニス選手が標的となっている。「ウィンブルドン」やその他トーナメントの試合後に選手らの携帯電話には嫌がらせの着信がある。個人的な侮辱、家族に対する脅迫、そして、よくあるのは不満を持ったギャンブラーからの苦情だと選手たちは言う。

AP通信によると、この問題に対処するためにATP(男子プロテニス協会)は今年、リスクのアセスメントと管理をおこなう企業「テーセウス社」と提携した。また、WTA(女子テニス協会)は同グループとの最終的な契約内容を確定させようとしている。

男子世界110位のピーター・ポランスキー(カナダ)は、「ウィンブルドン」1回戦で敗退した後「今日、軽く目を通しましたが、2・3通のメッセージがありました。内容は『どうやったら自分より下のランクに負けられるんだ』『お前は死んだ方がいい』『テニスをやめろ』といったようなものです」と話した。続けて「それは我々にお金を賭けて、負けた人たちです。踏み込んでそれらを全て止めるのは難しいでしょう。防ぐことはできないと思います」と語る。

男子世界8位のケビン・アンダーソン(南アフリカ)は「これはほとんどの選手が経験していること。そのようなものには近づかないようにしています。よくあることだとは分かっています」と話した。

現在、選手たちはロンドンを拠点とするテーセウス社に通報することができる。テーセウス社は、他のスポーツの選手や芸能人への問題のあるメッセージを対処したりする。また、それが無視できるものなのか、警察に通報するほど深刻なものか相談を受けたりする。

選手の支援を担当するWTA(女子テニス協会)のシニアディレクター、キャシー・マーティン氏は、女子ツアーでは長年にわたりこの問題について選手たちを教育し、カウンセリングを行っている。

マーティン氏はAP通信の電話インタビューに対して「これは社会的な問題でもある。このようなメッセージを選手たちが受けているということは、非常に悲惨な状況であり、私たちはこれを真剣に受け止めています」と述べた。

キーズは「もし私たちがこれを無視し続ければ、これからも起こり続けるでしょう。また、これが私たちに対して起こっているということは、学校の子供たちなどに対しても起こり得るでしょう」と述べた。 「何か行動する必要があります。そして、それによりこのようなことがほぼ日常的に起こっていると、全ての人たちが気づけば、それが最初のステップのようなものになると思います」と話した。(C)AP(テニスデイリー編集部)

※写真は2018年「全仏オープン」出場時のキーズ

(Photo by Tim Clayton/Corbis via Getty Images)