ロシアW杯。MF本田圭佑(32)は決勝トーナメント1回戦・ベルギー戦に敗退後、取材エリアで口を開いた。「おそらくこれで自分の代表のキャリアが終わる」。08年から日本代表のエースとして引っ張ってきたカリスマの代表引退。「本田がいない代表は…
ロシアW杯。MF本田圭佑(32)は決勝トーナメント1回戦・ベルギー戦に敗退後、取材エリアで口を開いた。「おそらくこれで自分の代表のキャリアが終わる」。08年から日本代表のエースとして引っ張ってきたカリスマの代表引退。「本田がいない代表は想像できない」「いなくなるのが寂しい。大きな穴が開いた感じがする」と惜しむ声が相次いだ。
自己主張を控えて「奥ゆかしさ」を美徳とする日本人の気質の中、本田は個性的な異端児だった。固定観念に縛られず、常にオリジナリティーを追求する。周りとの衝突を恐れず、強気な発言で自分やチームメートを鼓舞してきた。「成長スピードが日本人のままじゃダメなんですよ」、「俺の最終目標はレアルの10番」。実際に有言実行してきた。イタリアの名門・ACミランでは10番をつけ、10年の南アフリカW杯では4試合にフル出場。初戦・カメルーン戦の決勝点を含む2得点の活躍でベスト16進出に貢献した。
強気な発言は諸刃の剣だ。結果が出ないとバッシングの標的になる。ハリルホジッチ前監督の構想では絶対的存在でなく、ベンチスタートが珍しくなかった。西野朗監督の代表選考で選出された際も「本田はいらない」と不要論だけでなく、「和を乱す存在だから試合に出すな」と根拠のない誹謗中傷まで飛び出した。それでも本田は強気な発言を繰り返す。「3戦全敗で予選敗退が順当」と下馬評が低かった大会前も、「僕は出る以上は常に『優勝』としかこれまで言ってこなかった」とブレなかった。
試合に出られない悔しさは当然あるが、その状況を自分のため、チームのために考えられる精神的な強さがある。控えに回っても若手たちと積極的にコミュニケーションを取る場面が目立った。接触プレーで試合が中断すると、MF乾貴士(30)に歩み寄って助言を送った。そして、主役はやはり本田だった。2戦目のセネガル戦に途中出場すると、1-2の後半33分に左足を振りぬいて同点弾。決勝トーナメント1回戦のベルギー戦もフリーキックで相手GKの好守に阻まれたが、枠の中に入る精度の高いフリーキックを放った。直後のコーナーキックからカウンターで決勝点を許したが、観る人の心を揺さぶるプレーにネット上では「本田さんごめんなさい」のコメントが並んだ。
元来は繊細で気配りの人間なのだろう。強気な発言は自分を追い込むために演じていた部分もあった。初戦のコロンビア戦でFW大迫勇也(28)の決勝点をアシストした試合後。バックアップメンバーで帯同していたFW浅野拓磨(23)に自ら歩み寄ると、指を曲げて両手を前に突き出す浅野のゴールパフォーマンス「ジャガーポーズ」を2人でやった。最後のベルギー戦後の取材エリアでは、「しっかりここで伝えたいのは、仲間に感謝している。本当に選手のみんなを好きになった。こんなに好きになれると思わなかったぐらい好きになった」と振り返った。この姿が「人間・本田」の本質だと思う。
主将のMF長谷部誠(34)も代表引退の意向を表明。今後は若返りが進む一方で、本田と同学年の長友佑都(31)は22年のカタールW杯も目指すことを明言した。本田のキープ力と大きな大会で力を発揮する能力は希少価値だ。22年は36歳。選手としてのピークは超えているかもしれないが、今までも不可能と笑われていた目標設定を叶えてきた。「お疲れ様の気持ちはあるけど、やっぱり本田が代表で輝いてほしい」と願う声が多い。選手としての現役続行を含めてどんな結論を下すのか。決断が注目される。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]