ミケル・エチャリのポーランド戦レポートを読む>>「長谷部誠、香川真司もしくは本田圭佑、乾貴士、原口元気は、日本にとって外せない選手だった。ポーランド戦の大幅な先発交代でそれが証明された」 スペインの目利き、ミケル・エチャリはロシアW杯グ…

ミケル・エチャリのポーランド戦レポートを読む>>

「長谷部誠、香川真司もしくは本田圭佑、乾貴士、原口元気は、日本にとって外せない選手だった。ポーランド戦の大幅な先発交代でそれが証明された」

 スペインの目利き、ミケル・エチャリはロシアW杯グループリーグの日本代表を総括してこう語っている。

 エチャリはバスク代表監督という肩書きを持つ。バスク地方を代表するレアル・ソシエダで20年間、強化部長など様々な役職を歴任。他にもバスクのクラブであるエイバル、オサスナ、アラベスで働いた経験が評価されてのことである。

「日本が決勝トーナメントに進出したことは、称賛に値する。選手たちの健闘があったからこそ、だろう。非常にポジティブな結果を残した」

 そう語るエチャリが、グループリーグ3試合に出場した日本代表の全選手を個別に評価した。

GK



川島永嗣(コロンビア戦、セネガル戦、ポーランド戦にフル出場)

川島永嗣
コロンビア戦は、FKでの壁の作り方やキャッチングでマイナス点があった。セネガル戦も中途半端なパンチングで失点の契機になっている。ただ、ミドルレンジからのシュートには適切な体勢を取れていた。ポーランド戦は前半、カミル・グロシツキのミドルシュートをビッグセーブ。また、後半にはカウンターからのクロスに飛び出し、決定機を阻止している。

SB



酒井宏樹(コロンビア戦、セネガル戦、ポーランド戦にフル出場)

酒井宏樹
コロンビア戦の後半は積極的な攻め上がりを見せ、ダイナミックにゴールへ迫った。本田、大迫勇也との連係でシュートまで達した場面は、最高の攻撃コンビネーションを見せたと言っていいだろう。前半に岡崎慎司に合わせたクロスも出色だった。



長友佑都(コロンビア、セネガル、ポーランド戦にフル出場)

長友佑都
コロンビア戦は存在感が際立っていた。ただ、攻め上がった後の帰陣が遅れ、フアン・クアドラードに背後を取られる場面もあった。セネガル戦は、オーバーラップのタイミングが早すぎた。危険なプレーで、マイナスポイントにあたる。ポーランド戦でも攻め急ぎ、後半は決定的なカウンターで背後を突かれている。

CB



吉田麻也(コロンビア、セネガル、ポーランド戦にフル出場)

吉田麻也
コロンビア戦はラダメル・ファルカオに手を焼いていたが、後半は長谷部との共闘で相手を上回っている。セネガル戦は安易にコーナーキックに逃げる場面があったし、フィードもミスがあった。ポーランド戦も、ロベルト・レバンドフスキに対しては受け身になり、後半は決定機で前にポジションを取られてしまっていた。




昌子源(コロンビア、セネガル戦にフル出場)

昌子源
コロンビア戦で槙野智章とのポジション争いに勝って先発し、大きなミスはなかった。セネガル戦は体格で優るエムバイエ・ニアンらに劣勢を強いられていたが、とりわけ終盤の積極的なフィードは評価に値する。



槙野智章(ポーランド戦にフル出場)

槙野智章
ポーランド戦で先発出場。川島のビッグセーブの後、しっかりとボールに反応し、CKに回避している。CKの流れからオーバーヘッドでシュートをトライしていた。イエローカードをもらったシーンは、気の毒だった。

MF



長谷部誠(コロンビア戦、セネガル戦にフル出場。ポーランド戦は後半37分から出場)

長谷部誠
ポジショニングがよく、味方のよさを引き出し、バランサーとして際立っていた。コロンビア戦はファルカオをはさみ込んで潰し、中盤を強固にし、柴崎岳、香川らの攻撃を促して、サイドを躍動させていた。セネガル戦も中盤で優位性を保ち、柴崎と並んでマン・オブ・ザ・マッチと言っていい。セネガル戦は82分に出場後、アンカーに入って、試合を落ち着かせた。舵取り役としての能力の高さを見せている。



柴崎岳(コロンビア戦は先発して後半35分まで出場。セネガル戦、ポーランド戦はフル出場)

柴崎岳
守備の強度やポジショニングに問題はあるが、プレーメイクする能力は高い。コロンビア戦で長友に展開したパスは秀逸だった。セネガル戦でも左右にボールを振り分け、攻撃の形を作っている。日本の1点目で、長友に送ったサイドチェンジのパスはすばらしかった。長谷部と並んで日本のベストプレーヤーのひとりだろう。だが、ポーランド戦は山口蛍との距離感をつかめず、中盤のラインを突破されていた。



山口蛍(コロンビア戦は後半35分から出場。ポーランド戦はフル出場)

山口蛍
ロンドン五輪前から評価しているボランチで、昨年のベルギー戦を見る限り、着実な成長も遂げていた。しかし、ポーランド戦ではマーキングに固執し、自分のスペースやその背後を敵に明け渡していた。また、ビルドアップもミスパスが多く、なによりスローだった。試合を通して混乱していた。



原口元気(コロンビア戦はフル出場。セネガル戦は先発して後半30分まで出場)

原口元気
コロンビア戦は、右サイドで攻守の切り替えのスイッチになっていた。激しい守備ができるし、カウンターで攻め上がるパワーもある。アグレッシブで運動能力の高いMFで、セネガル戦は終盤になってそのパーソナリティを見せ、チームに活力を与えていた。



酒井高徳(ポーランド戦にフル出場)

酒井高徳
ポーランド戦で先発。4-4-2で相手のサイドにふたをする守備要員としての役割を期待されたのだろうが、ボールを持てず、起点になれなかった。



乾貴士(コロンビア戦はフル出場。セネガル戦は先発し後半42分まで出場。ポーランド戦は後半20分から出場)

乾貴士
コロンビア戦では原口同様、攻撃と守備アクションでサイドでの起点となっていた。とりわけ守備における長友らとのサポート関係がよく、貢献している。セネガル戦は1得点1アシストの活躍。この試合では、ボールを奪われ、相手にカウンターを発動され、自ら帰陣して最悪の事態を回避したというシーンがあった。イエローカードを受けたが、攻撃を遮断しており、プレー判断は適切だった。ただ、ポーランド戦にも途中出場したが、プレー強度は弱く、ボールを失って危うい場面を招いている。



香川真司(コロンビア戦は先発して後半25分まで出場。セネガル戦は先発して後半27分まで出場)

香川真司
コロンビア戦では、開始早々の大迫へのパスなど、いくつも決定的チャンスを作っていた。PKのシーンでは、コロンビアの長い抗議の後、落ち着いてキックできていた。セネガル戦でも乾との連係で質の高さを見せている。これまでも指摘してきたことだが、スモールスペースのプレーレベルは特筆に値する。



本田圭佑(コロンビア戦は後半25分から、セネガル戦は後半27分から出場)

本田圭佑
相手の裏を取る力は抜きん出ているが、トップ下としては、前後左右に顔を出す運動量がやや足りない。コロンビア戦に途中出場すると、CKで大迫のヘディングをアシスト。その直前の、右サイドの酒井宏樹を使ったパスもよかった。セネガル戦は右サイドで途中交代出場し、乾のクロスを叩き込んで同点弾を決めている。

FW



大迫勇也(コロンビア戦は先発し後半40分まで出場。セネガル戦はフル出場。ポーランド戦は後半2分から出場)

大迫勇也
シュート以外はFWとしての資質を備えているという印象の選手だったが、コロンビア戦ではインテンシティの高いプレーを披露し、貴重なヘディングシュートを決めた。セネガル戦でも香川、柴崎と積極的に絡み、バックラインの裏よりも、やや下がって中盤の厚みを増し、準プレーメーカーとして攻撃をつくっていた。長谷部、柴崎に次ぐベストプレーヤーだ。



岡崎慎司(コロンビア戦は後半40分から、セネガル戦は後半30分から出場。ポーランド戦は先発し、後半2分まで出場)

岡崎慎司
コロンビア戦は、途中出場でチームに活力を与えていた。セネガル戦も途中出場で、乾のクロスに対してポジションを取って潰れることで、本田のゴールに貢献した。動きの質が高く、強度も高い。先発したポーランド戦でもプレー強度を誇示し、クロスにヘディングで合わせている。しかし後半は動きが鈍くなり、すぐに交代した。



宇佐美貴史(セネガル戦は後半42分から出場。ポーランド戦は先発し後半20分まで出場)

宇佐美貴史
先発したポーランド戦では、周囲とのコンビネーションが少なく、効果的なプレーに乏しかった。守備面でも、懸命に帰陣するシーンはあったが、乾と比べると見劣りした。



武藤嘉紀(ポーランド戦に先発、後半37分まで出場)

武藤嘉紀
ポーランド戦の前半、球際で闘志を見せていた選手のひとり。ただ連係は乏しく、宇佐美がフリーの状況だったにもかかわらずパスを出せないというプレーがあった。また、自分にも十分にパスを呼び込めていなかった。
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