36歳にして、現在もトップレベルで活躍し続けるロジャー・フェデラー(スイス)。"芝の帝王"とも呼ばれる彼は、芝コートの聖地「ウィンブルドン」(イギリス・ロンドン/7月2~15日/芝コート)で2年連続9度目のタイトルを狙う。今からさかのぼるこ…

36歳にして、現在もトップレベルで活躍し続けるロジャー・フェデラー(スイス)。"芝の帝王"とも呼ばれる彼は、芝コートの聖地「ウィンブルドン」(イギリス・ロンドン/7月2~15日/芝コート)で2年連続9度目のタイトルを狙う。

今からさかのぼること15年前、2003年7月に若き日のフェデラーが悲願のグランドスラム初優勝を果たしたのも「ウィンブルドン」。それは今日も続く彼のサクセスストーリーの第一歩となった。当時フェデラーは21歳、まだATPランキングで1位になったことはなかった。グランドスラムで優勝したことがないだけでなく、準々決勝を突破したことさえ一度もなかった。前年の2002年「全仏オープン」「ウィンブルドン」、そして1ヶ月前の2003年「全仏オープン」では1回戦敗退という結果に終わっていた。

そんななか迎えた2003年「ウィンブルドン」開幕。2週間後、終わってみればフェデラーは黄金の優勝トロフィーを抱えて泣いていた。

あれから15年、7月2日にいよいよ「ウィンブルドン」が始まる。37歳の誕生日が近づく中、フェデラーはディフェンディングチャンピオンとして、栄誉あるセンターコートでの初戦に臨む予定だ。フェデラーは1年前、同大会で最多記録となる8度目の優勝を果たした。さらに2018年1月には「全豪オープン」を制し、グランドスラムの通算優勝回数で男子シングルス最多記録となる20回を達成した。

「どれだけ続いていくかは分からない」とフェデラーは語った。「全く分からないよ」

彼は自身の成功についてそう話していたが、もしかしたら彼自身と最大のライバルであるラファエル・ナダル(スペイン)の二人の覇権について話しているかもしれない。

驚くべきことに、フェデラーとナダルは直近6つのグランドスラムすべての優勝を分け合い、3つずつタイトルを獲得してきた。衰えが見えてきたと言われた近年の様々なうわさを考えれば、特に驚異的なことだ。もう一つの事実として、両者は2018年に世界ランキング1位の座を6回入れ替わってきた。これは1シーズン中の入れ替わりとしては、1999年以来最多だ。

また、「ウィンブルドン」でフェデラーとナダルが第1シードと第2シードになるのは今大会で5回目、2010年以降では初となる。二人が第1・第2シードに入った過去4回は、どちらかが優勝を勝ち取った。

その事をロビン・ソダーリング(スウェーデン)は「彼らは全て優勝した。それも1回だけでなく何度もだ」と話した。ソダーリングは、2009年「全仏オープン」でナダルを相手に番狂わせを起こした後、決勝でフェデラーに破れ、2010年「全仏オープン」ではフェデラーを相手に番狂わせを起こした後、決勝でナダルに破れた。「それでも、二人はまだ勝利に飢えている」とソダーリングは言う。

フェデラーは30代のツアースケジュールを、より慎重に送っている。2018年も前年同様クレーコートシーズンをスキップし、休養にあてていた。"テニス界のBIG"の一角であるノバク・ジョコビッチ(セルビア)、アンディ・マレー(イギリス)は、それぞれ故障による手術から完全復活に向けた段階にある。しかし、フェデラーはここに来ても相変わらず良い状態だ。恐らく、これまで以上に良いのではと思うほどに。

「私には分からないが、それはあまり重要ではない。今の方がより良い選手になっているといいと思うが、それは単に過ぎた時間のおかげだ。これまで練習やトレーニングといった事を積み重ねる時間があった」とフェデラーは語った。「でも今は、10年前や15年前とは違うよ」

世界中のファンに愛されるフェデラー、2年連続9度目の「ウィンブルドン」優勝はなるか。彼の活躍を大いに期待したい。(C)AP(テニスデイリー編集部)※写真は2003年「ウィンブルドン」初優勝時のフェデラー

(AP Photo/Dave Caulkin)