いよいよ来週7月2日から始まる今年3つ目のグランドスラム「ウィンブルドン」。"芝の帝王"とも呼ばれるロジャー・フェデラー(スイス)が9回目の優勝を果たすかどうか注目されるが、もちろん日本男子のエース錦織圭(日本/日清食品)や、今年悲願のツア…

いよいよ来週7月2日から始まる今年3つ目のグランドスラム「ウィンブルドン」。"芝の帝王"とも呼ばれるロジャー・フェデラー(スイス)が9回目の優勝を果たすかどうか注目されるが、もちろん日本男子のエース錦織圭(日本/日清食品)や、今年悲願のツアー初優勝を達成した大坂なおみ(日本/日清食品)ら日本人の活躍も期待される。今回は錦織と大坂の過去の「ウィンブルドン」を振り返って紹介する。

■錦織:苦戦する「ウィンブルドン」で今年は躍進なるか

錦織はグランドスラムでは計7回ベスト8進出しており、「全米オープン」では2014年には準優勝、2016年はベスト4へ進出している。しかし芝コートで開催される「ウィンブルドン」では2回のベスト16(2014年、2016年)が最高成績と、グランドスラムで唯一ベスト8に進出できていない。

約1ヶ月という短い芝コートシーズンで、近年錦織が出場するのは「ウィンブルドン」とその前哨戦となる「男子テニスATPワールドツアー500 ハレ」の2大会。

過去3年でみると、錦織はハレではいずれも怪我により大会途中で棄権(2015年はふくらはぎ、2016年脇腹、2017年は左臀部)している。

そして万全でない状態で迎えた「ウィンブルドン」では、2015年は1回戦で当時55位のシモーネ・ボレッリ(イタリア)にフルセットと苦戦しながら勝利するも、2回戦を試合前棄権。2016年は4回戦へ進出するもマリン・チリッチ(クロアチア)との第2セット途中で棄権。2017年は3回戦でロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)に初黒星を喫していた。

2015年と2016年はいずれもハレと同じ箇所の怪我が理由での棄権。そして2017年には3月に故障し、度々棄権や欠場をした後、8月にツアーを離脱せざるを得なかった右手首の怪我を抱えていた。

一方、今年は、復帰序盤は試合勘を取り戻すことや、風邪の影響で苦戦したものの、4月に「男子テニスATPワールドツアー マスターズ1000 モンテカルロ」で1年9ヶ月振りにマスターズ1000で準優勝。「全仏オープン」ではベスト16進出と順調に結果を残しつつある。今年のハレでは2回戦敗退となってしまったが、久しぶりに故障せずに大会を終えることができ、敗退後もハレに残って芝コートでの練習を積んだ。そして今週行われたエキシビションマッチでは、世界ランキング8位のケビン・アンダーソン(南アフリカ)にストレート勝利し、本番に弾みをつけている。

つまり、今年は過去3年よりも怪我の不安が少ない状態で迎えられる「ウィンブルドン」といえるだろう。復帰後のグランドスラム第2戦となる今年の「ウィンブルドン」で、自己最高を更新する姿が期待される。

■大坂:「全豪オープン」に続き3回戦の壁の突破なるか

大坂のこれまでの「ウィンブルドン」での成績は、2015年は予選1回戦敗退、2016年は膝の故障により欠場、2017年は当時11位のビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)に敗れ3回戦敗退となっている。本戦に出場するのはまだ今年が2回目、グランドスラムでシードとして戦うのも今年の「全仏オープン」に続く2回目である。

大坂は、昨年までにグランドスラムでは4つ全ての大会で3回戦進出を果たしていたが、その3回戦を突破することができていなかった。しかし昨シーズン終了後からコーチにサーシャ・バジンが加わると、より結果が出始める。1月の「全豪オープン」では初めて4回戦に進出し、そして3月には「BNPパリバ・オープン」というグランドスラムに次ぐ「プレミア・マンダトリー」と呼ばれる大きな大会で、日本人女子初、そして自身初の優勝を成し遂げた。「全仏オープン」ではより上位シードとなる第13シードのマディソン・キーズ(アメリカ)に敗れ、3回戦敗退となったが、その試合でも成長を見せた。

第1セットは1-6と圧倒され、メンタル面が弱点といわれる大坂は以前ならこのまま挽回できないことが多かった。しかし第2セットも先にブレークを許すものの、戦術を変えて2度追いつき、タイブレークまで持ち込む粘り強さを見せた。

そして今年の芝コートシーズンでは「ノッティンガム・オープン」でベスト4に進出。続く「バーミンガム・クラシック」では2回戦で怪我のため棄権となったが、イベントにも参加し元気な姿を見せている。

また、芝コートは球足が早く、ビッグサーブ、ビッグフォアハンドという武器がある大坂に向いているといわれる。

伊達公子さんも大坂について「彼女のサーブ力、一発のショットの威力を考えれば、優勝の可能性もゼロではない」とポテンシャルを評価するとともに「技術という面でもメンタル面でも、まだまだ成長している過程。プレッシャーから解放されて、のびのびとプレーしてほしい」と話す。

今年になって大きな成長を見せる大坂が、「ウィンブルドン」でも活躍し、上位に進出することが期待される。(テニスデイリー編集部)

※写真は左から錦織(Photo by Visionhaus/Corbis via Getty Images)、大坂(Photo by Roland Harrison/Action Plus via Getty Images)