芝シーズンの初戦であり、ウィンブルドン前哨戦となるゲリー・ウェバー・オープン。2回戦で、世界ランク36位のカレン・ハチャノフ(ロシア)と対戦した錦織圭(世界ランク27位)は、ストレート負け(2-6、2-6)で敗退。7月2日(日本時間)…

 芝シーズンの初戦であり、ウィンブルドン前哨戦となるゲリー・ウェバー・オープン。2回戦で、世界ランク36位のカレン・ハチャノフ(ロシア)と対戦した錦織圭(世界ランク27位)は、ストレート負け(2-6、2-6)で敗退。7月2日(日本時間)に始まるウィンブルドンに、不安の残る形で向かうことになった。



ゲリー・ウェバー・オープン2回戦でカレン・ハチャノフにストレートで敗れた錦織圭

 1回戦では、昨年の大会準優勝者であり、世界ランク3位のアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)が世界ランク34位のボルナ・チョリッチ(クロアチア)にストレート負けを喫する波乱があり、あらためて芝の難しさを感じさせた。

 錦織のサーブで始まった試合は、4度目のデュースをハチャノフがモノにし、第1ゲームからブレークを許してしまう。第3ゲームは3度のデュースの末に何とかキープし、第5ゲームはストレートでキープしたものの、第7ゲームはミスから再びブレークされて第1セットを落とした。続く第2セットも、第1ゲームでまたもブレークを許し、第1セットと同じ展開となる。結局、自らは最後までブレークできないまま、あっけなく敗れた。

 試合後、敗因について問われた錦織は「今日は単純にあまりにも多くのアンフォースト・エラーを犯してしまった」と、自らのミスを真っ先に挙げた。データを見ると、この試合で錦織が犯したアンフォースト・エラーはハチャノフより7つ多い32。「特にフォアのミスが出ていた」と本人が語るように、フォアでは相手より8つ多い20のアンフォースト・エラーを犯していた。

 立て直したかった第2セット最初のゲームでブレークを許すと、続く第2ゲームの最初のポイントで、ハチャノフの時速169kmのセカンドサーブのリターンをネットに引っ掛け、ラケットを地面に叩きつけるそぶりを見せた。結局は思いとどまった錦織だが、場内は大きくどよめいた。

 ハチャノフのプレーが錦織をミスに追い込んでいたのは間違いない。この日、7つのエースを奪ったサーブに加え、リターンでも鋭くフラットなショットをコート深くに返していた。

「(ハチャノフは)ボールに威力もありますし、フラット系(のショット)なので、なかなか自分から攻撃していくことはできなかった」(錦織)

 ただ、相手にプレーしやすい展開を作ってしまったのは錦織自身だろう。

「今日は両セットともに最初のゲームをブレークされてしまった。ビッグサーバー相手に先にブレークされると、余裕を持たれてしまいますし、相手のプレーも変わってくるので。それが一番よくなかったです」(錦織)

 ラケットを叩きつけるのを思いとどまった後、錦織は何とか踏みとどまろうと、ミスを減らすテニスに切り替えて粘り強いプレーを続けた。第6ゲームでは、ついにこの試合で最初のブレークポイントを迎えている。しかし、これを決めきれずにブレークバックを逃すと、気持ちが切れてしまったのか、続く第7ゲームはダブルフォルトでブレークを許し、試合の行方は決してしまった。

「もうちょっと自分にしぶといプレーができていれば、(第2セット第6ゲームで)3-3にブレークできていれば、もうちょっと変わったかもしれないですね」(錦織)
 
 ウィンブルドンに向けた感触について問われた錦織は、「1回戦はいいテニスもできていましたけど、今日はすごく自分のミスが多かったので、なかなか判断するのは難しい」とだけ答えた。自らのミスが多すぎて、今日の試合はあまり参考にならないというのが錦織の見方なのだろう。

 ポジティブな要素を挙げるとすれば、4年ぶりにこの大会をケガすることなく終えたことだ。1回戦の試合後は手首をアイシングして会見場に現れたが、この日はそれもなし。身体的な問題は「ない」と言い切った。

「もう1週間、練習する期間はあるので、じっくり練習していきたいと思います」という錦織のウィンブルドンに期待したい。

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