「ティア1」と格付けされる世界トップクラスの強豪国相手に、日本代表は連勝することはできなかった。大分での快勝に続き、神戸でもイタリア代表を苦しめたが、6月16日におこなわれた第2戦は、22-25で惜敗した。 日本は16点ビハインドから、後半…

「ティア1」と格付けされる世界トップクラスの強豪国相手に、日本代表は連勝することはできなかった。大分での快勝に続き、神戸でもイタリア代表を苦しめたが、6月16日におこなわれた第2戦は、22-25で惜敗した。
 日本は16点ビハインドから、後半に3トライを奪い返して執念を見せたが、逆転することはできなかった。

「規律が守られていないところがあった。そして、両チームとも11回の反則があったが、あちらはそれらをものにして、こちらはそうできなかった。だが、選手たちは点差を離されても、タオルを投げず、(もう少しで)勝てるところまでいけた。ただやはり、ミスやペナルティを重ねてしまったのが痛かった」(ジェイミー・ジョセフ 日本代表ヘッドコーチ)

 兵庫・ノエビアスタジアム神戸に20,276人の観客を集めておこなわれた「リポビタンD チャレンジカップ 2018」の第2戦。

 前半の主導権を握ったのは、リベンジに燃えていたイタリアだった。

 開始早々、15フェイズを重ねたイタリアの連続攻撃を規律よく守った日本だが、4分、タックルにいったLOアニセ サムエラが相手選手の顔付近にスイングアームでイエローカードとなり、10分間の退出となった。

 数的不利の時間帯、自陣で守ることが多かった日本は、SH田中史朗のナイスセービングなどで耐えていたが、イタリアは19分、FBで先発チャンスをもらったニュージーランド出身のジェイデン・ヘイワードがカウンターで中央を破って大きくゲインし、WTBトンマーゾ・ベンヴェヌティへとボールは渡って先制トライを挙げた。

 その後も攻め続けるイタリアに対し、日本は粘り強くディフェンスしていたが、26分にはドライビングモールでゴールラインを割られ、TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)でトライが認められた。

 日本は32分、スクラムを押し込んでPGチャンスを得、この試合が50キャップ目となったSO田村優がショット成功。
 しかし、前半は自陣でプレーする時間が長く、ボール支配率も約30%と劣勢で、3-12と9点ビハインドで折り返した。

 後半の立ち上がりで流れを変えたかった日本だが、先に加点したのはイタリアで、44分(後半4分)、イングランド出身の成長著しい22歳FLジェイク・ポレドリが先発起用に応え、22メートルラインからパワフルに突破してゴールに持ち込み、16点差とした。

 48分にはWTBマッテオ・ミノッツィがターンオーバーから疾走し、スタジアムは落胆の声に包まれたが、TMOでオフサイドが確認されトライは認められず、日本は望みをつなぐ。

 そして、プレッシャーをかけられていた司令塔の田村をベンチに下げ、60分にSO松田力也とCTB中村亮土を投入すると、流れは変わった。

 60分、敵陣深くのラインアウトから攻め、FW前進後にBK展開、SO松田からクイックパスをもらったCTBウィリアム・トゥポウが抜け、10-19となった。

 さらに64分、日本はハーフウェイでペナルティを得ると、SH流大がタップから速攻を仕掛け、フェイズを重ね、アドバンテージをもらってからの速いボール回しから、この日インパクトプレーヤーとなったNO8アマナキ・レレイ・マフィがパワフルにフィニッシュ。松田のキック成功で2点差に詰めた。

 しかし、72分、74分と日本に反則が続き、イタリアがPGでリードを8点とした。

 それでも、あきらめない日本は試合終了間際に攻め込み、FB松島幸太朗が防御網を破ってトライを挙げ3点差とし、リスタート後のラストチャンスにかけたが、イタリアが踏ん張り、ノーサイドとなった。

「素晴らしいテストマッチだった。選手の反応も素晴らしかったし、特に60分までが良かった。私たちは長期的な計画を持ってやっているが、それを出せた」と語ったのは、イタリア代表のコナー・オシェイ ヘッドコーチだ。「この試合では、勢いをものにできた。後半、規律に課題が出たりもしたが、選手たちは先週の結果を乗り越えてやった。キャプテンがこの1週間よくやってくれた。我々は、目指すプレーができた前半のような戦いを毎週やっていかないといけない」。
 イタリアのテストマッチ連敗は8でストップ。指揮官は、「先週はうまくいかなかったことが山ほどあった。きょう勝って、先週のパフォーマンスが私たちのプレーではないと示したかった。第1テストでは、フィフティ・フィフティのボールにジャパンが勝って、今週は私たちがその部分で勝った」と満足げだった。

 コンディション不良のため来日できなかった大黒柱のセルジョ・パリッセに代わり、キャプテンを務めたレオナルド・ギラルディーニは、「仲間を誇りに思う。(先週の試合が終わってから)タフな1週間だった。勝ったことは嬉しいし、勝ち方もよかった。ラグビーにはなかなかパーフェクトはないが、きょうはよくやれた。この先、自分たちのチームがどこに行きたいのか明確になった試合。数年やってきたことが形になった。これをきっかけにうまくやっていきたい」とコメントした。

 前半の最初からプレッシャーをかけてきたイタリア代表を、日本代表のジョセフ ヘッドコーチは素直に称賛する。
「学ぶことは多かった。ワールドカップへ向けてやるべきことが見えた」

 リーチ マイケル主将も、悔しい敗戦のなかに収穫はあったと振り返る。
「この1週間、メンタリティーのことを重要にしてきた。試合のなかで、どう立て直すかが勉強になった。負けたが、レベルアップできた。どうやって勝つまでに持っていくか、そこを話し合いたい。ペナルティが多かったのは、必死にやるなかで、ボールを欲しい、欲しいとなって、やり過ぎたところがあった。もう一度マインドセットをしないと」

 日本代表は次週23日、6月のテストマッチシリーズ最終戦として、愛知・豊田スタジアムで世界ランキング12位のジョージア代表と対戦する。