専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第159回 NHKの朝ドラ『半分、青い。』を見ていますかぁ~。 あれ、ほんと面白いですね。ゴルフと何か関係があるのかというと、ドラマの世界がちょうどバブル時代をまたいでおり、ゴ…
専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第159回
NHKの朝ドラ『半分、青い。』を見ていますかぁ~。
あれ、ほんと面白いですね。ゴルフと何か関係があるのかというと、ドラマの世界がちょうどバブル時代をまたいでおり、ゴルフおやじ世代の直球”ど真ん中”なんですよね。
永野芽郁(めい)さん演じるヒロインの楡野鈴愛(たれの・すずめ)の祖父、楡野仙吉役を演じている中村雅俊さんは、我が母校・宮城県石巻高校の先輩です。
中村雅俊さん主演の学園ドラマ『われら青春!』がオンエアされていた頃、私は高校生でした。自分の高校から、こんな芸能人が出ているとは、「ふぎょぎょ~」でありました。それで、こっちは『俺ら東京さ行ぐだ』のリアル版として、中村雅俊さんの背中を追いかけて、上京したのです。
そうしたなか、中村雅俊さんは美人女優の五十嵐淳子さんと結婚。売れて、大物俳優となった証として、ゴルフ番組も持つようになったのです。当時のテレビ界においては、BS放送もなかったですから、ゴルフ番組のレギュラーを務めることは、”一丁上がり”の証明でもありました。
そんなわけで、今回は『半分、青い。』と、ゴルフの関係をひも解いていきたいと思います。多少無理やり感があるかもしれませんが、そこは”半分こじつけ”として、ご笑納ください。
(1)半分青いゴルフとは?
世界的に有名な天才画家、パブロ・ピカソには「青の時代」という、青春期の陰鬱な時期がありましたが、ゴルフにも「青の時代」があるのでしょうか?
そりゃ、当然ありますよね。
ラフにボールが入っているのに、スプーンを持っていって打ち損じるとか、グリーンのカラーにボールがあるのに、サンドウェッジで打ってダフるとか。そういうのが、”青い時代”のゴルフと言えます。
これを若者がやるなら、まだ笑って過ごせますが、でっぷり太って、顔も褐色がかっていて、すでに黄疸(おうだん)なのか? という”茶の時代”のオッさんがやったら、目も当てられません。ほんと、そんな青臭い行動しちゃ、ダメですよ。
では、具体的に”青いゴルフ”を解消するには、どうしたらいいのか?
答えは、次です。
(2)半分だけゴルフ
青臭いゴルフを自動的に解消してくれるのが、クラブの本数を半分ぐらいにしてゴルフをすることです。7本が理想ですが、9本でも、10本でも構いません。
以前、このコラムでも触れたことがありますが、クラブの本数が少ないと、1本のクラブに対する仕事の比重が増えます。1本で2本分の仕事をする感じでしょうか。つまり、どこぞの”毛髪増毛法”みたいなやり方で、実力を伸ばすのです……って、ほんまかいな。
普段はしないクラブでのショット、例えば残り100ヤードを8番アイアンで打つとか、ドライバーで刻むとか、ね。多彩なショットにより、自動的に学習できます。
また、プレー時間も半分ぐらいの意識でやるのも大事かな、と。これは、考えることより、直感を研ぎ澄ませたいからです。
クラブ選択で悩んだときは、よく「最初に選んだクラブが正解」と言うでしょ。パッティングのライン読みも、最初の直感が結構当たっているのです。
これは、決して「雑にやれ」と言っているわけではありません。時間を半分ぐらいにしたほうが、”勘”を養えるということです。
(3)半分青い芝の攻略
ゴルフは今の時期、芝が生えそろっていて、ふかふかした平らなライでショットを打ったら「さぞかし気持ちがいいだろうなぁ~」って思いますよね。それは、ミスする確率が低いからです。
逆に考えれば、芝がハゲている”半分青い芝”だったら、それはちゃっくりをやったりして、ミスの確率は増します。
要は、ゴルフとは半分青い芝をいかに攻略するかがカギと言えます。
芝がまばらだと、なかなかうまく打てないものなんですよね...
じゃあ、半分青い芝をどうやって攻略するか?
以前取材で、難しいライの打ち方をレッスンプロに聞いたことがあります。師、のたまわく「これといって正解はない。ただひたすら打って、自分でコツをつかむしかないです」と。
具体的にやったのは、練習場でややハゲた芝から、20ヤードぐらい先を目標にしてサンドウェッジで打ちました。
そして、10球ぐらい打ったところで場所を変えようと思ったら、「いや、同じところから打ってください」と先生は言います。「え~、だって地面が窪んでいますよ」と言うや、先生が見本として、そこから打ってみせてくれました。
そうやって、ほぼ同じ場所で、何度も何度も打つのです。そうすると、確かに高いボールにはなりませんが、低い球で何とか前に出せるといった感じでしょうか。そんなショットは打てるようになりました。
ただ、気づくと、ボール1個分ぐらい、地面が削り取られていました。それぐらいやって、どんなスタイルでもいいから、ボールを前に打っていく、「その執念が大事だ」と先生は言うのです。
というわけで、青い芝は半分以下というか、単なる地面になりましたが、そこではどうにかして前に打つ、ということが大事ってことです。
(4)半分青い漫画家
朝ドラでは、大御所漫画家の生態というか、日常が描かれていて、個人的には大爆笑なんですが、なんでそんなにウケるのか?
いろいろと考えたのですが、たぶん知り合いに、よく似た漫画家の先生が多くいるからでしょう。事実、某先生から「実は朝ドラのほうから、『漫画家の仕事場を見せてくれ』とリサーチ取材があった」と聞きました。
なるほど、だからリアリティーある風景が描かれているんだな、と妙に納得した次第です。
朝ドラに登場する大御所漫画家、豊川悦司さん演じる秋風羽織(あきかぜ・はおり)は、非常にわがままで独善的です。作品について編集者が注文をつけると、連載を打ち切って「他の出版社でやる」という始末。ですが、現実の世界でもさまざまなトラブルがあって、連載を途中から他社でやるケースは結構あるみたいですよ。
よく言えば、漫画家は自分の世界観を完璧に描き、その世界の構築者、支配者です。じゃあ、その現実とのすり合わせをどうするのか?
その答えが、ゴルフです。
多くの漫画家先生がゴルフをしますが、それは”成功の証”。経費で落とせる編集者と1日過ごして親睦を深めるなど、いいことが多いです。さらに、一番重要なのは、別のことだと思います。
それは、「自分の思いのままにならない世界を体験できる」からです。
社会的に成功し、多くのことは何でもできる。けど、ゴルフじゃあ、ティーショットひとつとっても、真っ直ぐ飛ばせず、思うようにいかない。そういう現実を知って、自分を謙虚にさせる、そんな効果があるんですね。
そうして、ゴルフの魅力にハマッた漫画家の多くは、ゴルフの漫画を描いています。ゴルフは飯のタネ。人生そのものになった漫画家も結構います。それほど、ゴルフは魅力的なのでしょう。
ともあれ、朝ドラの秋風羽織は、今のところゴルフはしていません。キャバクラに行ったり、ゴルフをやったりすると、俗物すぎてイメージダウンしてしまいますからね。
秋風羽織にとって心の休まる場所は、岐阜の『ふくろう町商店街』であり、『五平餅』じゃないでしょうか。
ところで、私が現在一番気になっているのは、秋風羽織の本名、美濃権太。これは、「みのもんた」さんからの流用なのか? あるいは岐阜県出身なのか? このコラムが出ている頃には、謎が解けているといいのですが……。
木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。
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