ミケル・エチャリのガーナ戦レポートを読む>>「ガーナ戦の日本は、選手の動きが噛み合っていたとは言えなかった。中に入るタイミングが早すぎたり、ボールを受けに来ることができなかったり。何より相手の1トップに対して3バックで挑む必要はあっただ…
ミケル・エチャリのガーナ戦レポートを読む>>
「ガーナ戦の日本は、選手の動きが噛み合っていたとは言えなかった。中に入るタイミングが早すぎたり、ボールを受けに来ることができなかったり。何より相手の1トップに対して3バックで挑む必要はあっただろうか? 3バックをひとつのオプションにするのはいいが、これでは数的不利が起こるのは当たり前だ」
ロシアワールドカップ前の壮行試合でもあったガーナ戦について、ミケル・エチャリは厳しく鋭い批評をしている。
エチャリは「スペインの目利き」として知られ、過去にはハビエル・デ・ペドロ、ホセバ・エチェベリア、シャビ・アロンソのような選手の成長に多大な影響を及ぼしている。プレー分析力は卓越。戦略担当として監督に授けた作戦によって、2013~14シーズンのレアル・ソシエダはチャンピオンズリーグ出場を果たし、ベスト16まで勝ち進んだ。
“慧眼(けいがん)”エチャリは西野ジャパンの初陣を戦った選手たちを、どう見たのか?
【GK】
川島永嗣(フル出場)
川島永嗣
先発で90分間プレー。1失点目のFKでは、あろうことか壁を割られてしまっている。2失点目のPKも、長谷部とのコミュニケーションミスから生まれたものだった。どちらも避けられた失点と言えるだろう。また、味方が敵のプレスでビルドアップが詰まったときに、ボールを受けられていない。
【CB】
長谷部誠(先発、後半31分まで出場)
長谷部誠
3バックの中央でプレー。ガーナのFWエマニュエル・ボアテングの高さへの対応に苦しんでいた。長谷部は戦術的なセンスに恵まれた選手で、チームの中心として考えるべきではあるが、このポジションが適正といえるだろうか。
吉田麻也(フル出場)
吉田麻也
2016年までは、ターンの鈍さや、その不安からくる不用意なファウルが見られた。しかし最近の試合では、弱点を見せていない。ガーナ戦でも特記すべきミスはなかった。
槙野智章(フル出場)
槙野智章
1失点目となったFKは、彼の不用意なファウルによるものだった。ガーナの選手に一歩遅れるシーンは他にもあった。3バックで1トップに対処するというミスマッチを槙野は解消できていない。
【WB】
原口元気(先発、前半のみ出場)
原口元気
ガーナの左サイド、ナナオポク・アンポマーにフタをされていたこととも関係あるが、序盤は攻め上がりのタイミングが合わなかった。しかし徐々にフィットし、高い位置でパスを受けられるようになって、右サイドからクロスを送り、チャンスを演出した。
酒井高徳(後半から出場)
酒井高徳
原口と同じ役割を託されて後半から出場。香川に決定的なクロスを送るなど、右サイドからの攻撃を活性化させていた。ボランチやサイドバックで起用されたときのような違和感はなかった。
長友佑都(フル出場)
長友佑都
試合開始直後、左サイドを攻め上がり、大迫に質の高いクロスを供給した。ただ、原口と同じく、攻め上がりのタイミングが少し早く、コンビネーションは合っていない。左サイドで孤立しがちだったが、鋭い動きでいくつか好機を作っている。
【ボランチ】
山口蛍(先発、後半14分まで出場)
山口蛍
昨年11月のベルギー戦では、アンカーとして自らのポジションを守って全体を機能させ、日本のベストプレーヤーのひとりだった。ところが今年3月のウクライナ戦では、軽率なスライディングなど不用意なプレーを連発した。ガーナ戦でも背後をとられ、トーマス・パーティーに自在に使われている。結局、それを試合の中で修正できなかった。システム上、中盤が数的不利になったこともあって混乱したのかもしれないが、プレー判断が悪い。後半も、自陣で二度ほど単純なパスミスから失点のピンチを招いた。もっと危険を回避する選択をすべきだった。
大島僚太(フル出場)
大島僚太
何本か相手ラインを破るパスを出している。しかし、山口とともに中盤で強固なブロックを担えておらず、自分たちのラインを簡単に破られていた。彼自身には攻撃センスのよさを感じるが、果たしてこのままの中盤構成でいいのだろうか。
柴崎岳(後半14分から出場)
柴崎岳
山口に代わって出場。ガーナのラインが下がったこともあるが、柴崎が入ったことにより攻撃面は改善した。
【シャドー】
宇佐美貴史(先発、前半のみ出場)
宇佐美貴史
3月のマリ戦と同様、フィニッシュまではいいものの、シュートは緩かった。大島からパスを受けての好機にしても、カウンターからの攻撃にしても、シュートそのものに可能性が感じられなかった。また、中盤をサポートできず、中に入るタイミングも周りとの呼吸が感じられなかった。
本田圭佑(先発、後半14分まで出場)
本田圭佑
3月の欧州遠征では戦術理解度の高さをあらためて証明したが、ガーナ戦はトップ下でかなり自由な動きを許されていた。原口の攻め上がりを誘うなど、いくつかチャンスを作った。FKは惜しかったし、CKの流れからの1対1でも決定機を作っていた。
岡崎慎司(後半14分から出場)
岡崎慎司
後半に疲れの見えてきた本田に代わって出場し、攻撃は改善された。コンディションに問題があるようだが、戦術的にはとてもクレバーなアタッカーだ。
香川真司(後半から出場)
香川真司
後半からトップ下で出場。決定機を得るが、シュートは当たっていなかった。スモールスペースでのプレーに特長のある選手で、プレーの連続性とコンビネーションに優れているだけに、周囲と”感覚”が合っている時間はよかったのだが……。
【トップ】
大迫勇也(先発、前半のみ出場)
大迫勇也
ポストワークのレベルは高く、原口のクロスからヘディングシュートを放つなど、しっかりボールも呼び込んでいる。しかし試合開始直後、長友のクロスを受けて外したシュートのように、決定力を著しく欠く。技術的には高く、これといった弱点は見えないのだが……。
武藤嘉紀(後半から出場)
武藤嘉紀
大迫に代わって後半から出場。直後にいいポジションでヘディングシュートを放つが、枠を外れた。ガーナ戦の出場メンバーのなかではもっとも判断材料が乏しい選手で、もう少し見極めたい。
スペインの戦術家がガーナ戦の16選手を評価。「W杯で使えるのは?」