WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス 今季メジャー初戦のマスターズを戦い終えたあと、スポット参戦した4月のRBCヘリテージでPGAツアー初優勝を飾って、日米のゴルフ界を驚かせた小平智。今度は、アルバトロスを達成して大…

WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 今季メジャー初戦のマスターズを戦い終えたあと、スポット参戦した4月のRBCヘリテージでPGAツアー初優勝を飾って、日米のゴルフ界を驚かせた小平智。今度は、アルバトロスを達成して大きな注目を集めた。



アルバトロスを決めて注目を集めた小平智

 PGAツアーメンバーとして臨んだ3試合目、「ベン・ホーガンの庭」と呼ばれるコロニアルCCで開催されたフォートワース招待(5月24日~27日/テキサス州)の初日のこと。10番スタートの小平は、折り返しの1番パー5を迎えた。そこで、残り234ヤードの第2打を打つと、それがそのままカップイン。70年の歴史を誇る同大会で、史上2度目となるアルバトロスを決めたのだ。

 同大会で最初にアルバトロスが記録されたのは、40年前の1978年。ジョージ・バーンズ(アメリカ)が達成している。

 ところで、「ダブルイーグル」とも言われるアルバトロスは、パー5の第2打、もしくはパー4の第1打がカップインすること。パー3の第1打が入るホールインワンよりも、ずっと難易度が高い。

 なぜなら、極端に言えばパー3の場合、おおよそアマチュアゴルファーでもグリーンに届く距離に設定されているため、ホールインワンの可能性は誰にでもあるが、アルバトロスとなると、ある一定以上の飛距離が求められるため、誰にでもチャンスがあるわけではないからだ。

 プロゴルファーの中でも、アルバトロスが実現可能な選手は、わずか10%と言われている。正確なショットに加えて、飛距離も求められる、それほど難しい”記録”なのである。

 また、アマチュアも含めた全ゴルファーにおいても、ホールインワンを達成する確率は1万3000回に一度と言われるが、アルバトロスは600万回に一度だという。この数字を見ても、その難しさがよくわかる。

 PGAツアーでも記録を取り始めた1970年以降、48年間でアルバトロスが達成されたのは、今回の小平で132回目。つまり、世界のトッププロが集まる同ツアーにおいても、平均すると年間3回あまりしかない稀有な記録と言える。

 今季で言えば、5月にTPCソーグラスで開催されたプレーヤーズ選手権で、ブルックス・ケプカ(アメリカ)が最終日の16番パー5で達成。今回の小平はそれに続く2度目のこととなる。

 ここで、過去の有名なアルバトロスのシーンを紹介しよう。

 最も有名なシーンは1935年、当時はまだ「オーガスタ招待」と呼ばれていた現マスターズ・トーナメントにおける”名勝負”の中で達成された、ジーン・サラゼン(アメリカ)のアルバトロスだろう。

 サラゼンが達成したのは、最終日の15番パー5。4番ウッドで打ったセカンドショットが、見事にそのままカップインした。

 首位のクレイグ・ウッド(アメリカ)を3打差で追いかけていたサラゼンは、このアルバトロスでウッドに並ぶと、そのままふたりは同スコアでホールアウト。そして、アルバトロスを決めて勢い乗るサラゼンが、翌日に行なわれた36ホールでのプレーオフを制して、マスターズチャンピオンに輝いた。

 最近のメジャー大会では、1994年のマスターズでジェフ・マガート(アメリカ)が13番パー5でアルバトロスを達成。そのマガートは2001年、ロイヤルリザム&セントアンズで行なわれた全英オープンの6番パー5でも、アルバトロスを記録している。なお、メジャー大会で2度のアルバトロスを達成しているのは、このマガートだけだ。

 ちなみに、PGAツアーで日本勢がアルバトロスを達成したのは、小平が初ではない。1993年のザ・デポジット・グランディ・ゴルフクラシックで倉本昌弘が記録している。

 さて、晴れてPGAツアーメンバーとなった小平は、4月に国内ツアーの中日クラウンズに出場したあと渡米。5月のプレーヤーズ選手権から、本格参戦を果たしている。

 パッティングの不調もあって、プレーヤーズ選手権、AT&Tバイロン・ネルソンの2大会は予選落ちとなったが、このフォートワース招待ではアルバトロス達成で勢いをつけ、2日目を終えた時点では3位に浮上している。結局、3日目、4日目はスコアを伸ばせず、最終的には20位に終わったものの、フェデックスランキングは50位と好位置をキープ。これからの活躍が期待される。

 今後の予定は、メモリアル・トーナメント(5月31日~6月3日/オハイオ州)に出場後、1週オフを取って、今季メジャー第2戦となる全米オープン(6月14日~17日/ニューヨーク州)に挑む。

 苦労していたパッティングも復調気配にあるなか、正確なショットを武器にしてどんな戦いを見せてくれるのか。米ツアーで奮闘する小平から、ますます目が離せない。