スカイブルーのジャージーが颯爽と駆けた。 スクラムも押した。 ジュビロの立ち上がりは見事だった。 6月2日、イタリア選抜×ヤマハ発動機ジュビロが長野Uスタジアムでおこなわれた。 1週間後に日本代表と戦うイタリアのスタイルはどうだ。勝負師・…

 スカイブルーのジャージーが颯爽と駆けた。
 スクラムも押した。
 ジュビロの立ち上がりは見事だった。

 6月2日、イタリア選抜×ヤマハ発動機ジュビロが長野Uスタジアムでおこなわれた。
 1週間後に日本代表と戦うイタリアのスタイルはどうだ。勝負師・清宮克幸監督率いるヤマハの乾坤一擲のチャレンジが通じるか。
 注目度の高かった一戦は、立ち上がりから観戦者を惹きつけた。

 開始2分、ヤマハはラインブレイクしたSO清原祥がいっきにインゴールに駆け込んで先制した(Gも決まり7-0)。
 しかし、10分にはアウトサイドを走られて7-5と摘められる。その直後にはキックオフからNO8アブラハム・ユルゲン・ステインに突破を許し、FBマッテーオ・ミノッツィに逆転トライを奪われた(G成功で7-12)。
 しかし集中は切れず、準備してきたものを出す強さを見せた。

 23分、安定したスクラムからのアタックでNO8堀江恭佑がインゴールに入り、14-12とふたたびリードを奪う。
 前半を終わってのスコアは26-19。
 ヤマハはイタリア選抜にリードされたものの、ほとんどがシックスネーションズ経験者の相手と互角に戦った。

 ただ、後半は0-26。最終スコアは52-19と、イタリア選抜が後半の40分を圧倒して勝利を得た。
 勝者となったHOレオナルド・ギラルディーニ主将は、「序盤はディフェンスもスクラムも少し混乱してしまったが、25分過ぎからは自分たちのペースに持ち込めた」と話した。
 タックルを受けてもオフロードパスをつなぎ、前へ、前へ。ヤマハのディフェンスラインを前に出させなかった。
 激しいコンタクトプレーで水色のジャージーからエナジーも奪っていった。そうしておいて小さなパスをつなぎ、崩す。アウトサイドを何度も攻略し、後半だけで4トライを挙げた。

 チームを率いるコナー・オシェイ監督は、「5週間試合から離れている選手たちをオフの状態から戻す必要があった」と話し、続けた。
「BKに能力の高い選手がいるので、昨シーズンから(FW、BKの)バランスがとれた戦い方を模索してきました。それに加え、必ず勝つ、トライを取り切ろうと、メンタル面も含めて高めてきたことが結果につながった」
 来週から始まるジャパンとの2つのテストマッチについては、「均衡した試合になると思う。ジャパンはリズムのいい戦い方をしてくると思うが、それを攻略し、どれだけ自分たちのペースで戦えるか。そこがカギ」と語った。

 敗れたヤマハの堀江主将は「本気で勝つ準備をしてきましたが、後半、僕らの方が足が止まってしまった。特に前半、ボールはキープできたし、アタックは通用するところがあった。でも、倒れた後のパスや近場でのパスに、いいようにやられてしまった」と唇を噛んだ。

 清宮監督は、序盤の出来を「スピードがあったし、いいフォーメーションを作れていた。あの20分を80分続ければ日本一が見える、と気づかせてくれた。そういう収穫はあったと思う」と評価し、選手たちを労った。

 そして、これから戦うジャパンにとってはヒントになる試合と言った。
「きょうのヤマハは、自分たちのパフォーマンスを落としたことで、相手の強みを出させてしまった。ボールキャリアーに対して低いタックルをしてもつながれ、ラックにできなかったから、前に出られないシチュエーションが続いた。それがどういう時に見られたかというと、(自分たちが)キックを蹴った後。(ジャパンは)そうならないようにするか、(相手がやってくることへの)対処を考えないといけない。ディフェンスラインが整っていれば(イタリアは)もっとキックを蹴ってくるとは思いますが」

 桜のジャージーを着る男たちは、きょうの一戦を有効に使いたい。