専門誌では読めない雑学コラム木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第157回 ゴルフをコンスタントに続けてプレーするには、体調管理が重要です。なかでも一番大事なのが、睡眠と言えます。 翌日がゴルフだと何ゆえ、なかなか眠れないんですかね。きっと…

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第157回

 ゴルフをコンスタントに続けてプレーするには、体調管理が重要です。なかでも一番大事なのが、睡眠と言えます。

 翌日がゴルフだと何ゆえ、なかなか眠れないんですかね。きっと興奮しているんでしょう。遠足前日の小学生みたいですね。

 先ほどまで練習場で特訓していたものだから、頭の中はゴルフのことでいっぱいです。「明日はこのドライバーでドローボールをかっ飛ばそう」なんて思って寝るから、夢の中でもラウンドしているのです。気づかずに両手をしっかりグリップしていたりするのが笑えますね。

 そうなふうにしてシミュレーションして床に入るのなんて、高校時代、初デートの前日に枕を相手にキスの練習をして以来……って、いつのことやら。

 ここで、典型的な業界人の、ゴルフ前夜の行動を覗いてみます。

 仕事を早く切り上げ、練習場で2カゴほどボールを打って家に帰ります。時計を見るや、まだ午後11時じゃないですか。そこから、お風呂に入って、ビールを飲んで、気持ちよくなってから寝ようと床に入ったのが、午前1時ぐらい。

 ところが、興奮して眠れない。ついでにトイレに起きてしまい、テレビをつけるや「懐かしい映画、やってるじゃん」。それを見たら、「もう2時すぎかよぉ~」って具合です。

「うへぇ~、睡眠時間が減るぅ~」と焦ると、ますます眠れなくなり、結局寝ついたのは、午前3時。一瞬にして、朝5時にセットした目覚まし時計が鳴り響きます。

「すげぇ~、眠いっす」と、すでにゴルフに行く前から、眠くてしょうがない。それから、クルマを1時間半運転して、ラウンドして、帰りは渋滞に遭遇して2時間以上も運転するはめに……。途中のSAで休みながら、やっと帰ってきました。

 だいたいこれが、30~40代のゴルファーのラウンドです。ゴルフと睡眠不足と過労運転の三重苦です。たとえ、クルマを相乗りして行ったところで、運転担当は決まっていて、そこから抜けられません。

 これが、50歳を過ぎると、ゴルフに対する接し方が違ってきます。

 まずは夜、50代にもなると『報道ステーション』を見ているあたりから、自然と眠くなります。「明日はゴルフだから早く寝よう」と、午後11時には就寝。しかも、そこから深い眠りに陥りますから、実に健康的です。

 なにしろ、普段も11時半には寝ているので、早寝が日常化しています。朝も5時ならば、目覚まし時計が鳴る前に勝手に起きます。しっかりと6時間睡眠。「さあ、青汁飲んで、いざ出発じゃ!」。

 ゴルフ場に行くのも、後輩にクルマで迎えにきてもらって相乗りです。もはや、自分でクルマを運転してコースに行き、帰ってくる体力がないので、知り合いを頼って乗せてもらうわけですね。まあ、運転するほうも、高速代やガソリン代はみんなで分担しますから、経済的に助かっているのです。

 ここまでが、1日のラウンドスケジュールです。

 実は、歳を取ったほうがゴルフに向いているライフスタイルだったんですね。だから、歳を取ってもゴルフをやめる人は少ないのでしょう。

 ところが、です。ラウンド終了後、家に帰って寝ようと思っても、これがまたなかなか寝られないのです。これは、年齢にかかわらず、です。

 若い人がすぐに眠れないのは、精神が興奮しているケースが多いです。

「なんで、あそこで叩いたんだろう」とか、「あの(ニギリの)レート、ぼったくりだよな」とか、「いちいち走れとか、うるせいっていうの」などなど、コースで受けたストレスが効いて、頭の中で煩悩がグルグルと回っているんですね。

 ゴルフって、結局はスコアを競う遊びでしょ。負けたときは、本当に悔しいです。ストレスマックスでのしかかってきます。そうなると、いろいろと思い出してまったく眠れません。

 一方、年配の50歳以上の方は、精神的なダメージは少ないです。強い相手とは最初からニギッたりしませんから。私も「悔しい」という言葉は、もう何年も使っていません。

 悔しくないけど、眠れない。それは、体が興奮しているからです。

 特に今からのシーズン、日焼けして体が火照っていると、眠りづらいです。体は疲労している反面、興奮もしているのです。要は、普段はのんびりと過ごしている年配の方は、いざ体のゴルフスイッチが入ると、そのゴルフモードがなかなか抜けないのです。

 ですから、何回も寝返りをうって、夜中に目が覚めたり、トイレに行ったりと、眠りが浅いのです。そうして翌日、朝7時ぐらいに起きますが、体がすこぶる重い。鉛になった感じですかね。

 日頃の癖で起きますが、動きは本当に鈍いです。結局、疲れた体を完全に回復させるには、その翌日もちゃんと寝て、ようやく元に戻ります。

 歳を取ると回復に2日かかります。年配の方は、風邪をひいても「治りが遅い」と言われますが、それと一緒です。

 だから、翌日も休日のときのゴルフが人気です。一般的なサラリーマンで言えば、土曜日あたりがベストになるんですかね。

 じゃあ、疲れない泊まりのゴルフがいいんじゃないかって思うでしょ。確かにそうですけど、実情は泊まりのほうがきついというか、すごいことになるのです。

 というのも、予算縮小の折、宿泊先のホテルが相部屋だったりすると、隣のベッドから爆音が聞こえてくるのです。いびきです。

 もちろん、こちら側もします。相手にもたくさん迷惑をかけていることでしょう。だったら、同じじゃん……って、いやいや、こういう場合は先に寝た人の勝ちなのです。

 以前、「いびき界のチャンピオン」と言われる友人と同室となり、ほとんど眠れませんでした。リズミカルないびきなら想定内ですが、その人は、突然絶叫するのです。

「乗ったぁ~!」ってね。

「どうしたの?」と聞いても、相手はグゥ~グゥ~寝ているだけ。

 けど、また何分か経つと、「いけぇ~、入れぇ~!」とか叫んで、頭の中でドリームマッチをやっていますからね。

 そんな状況ですから、その日はとても部屋では眠れなくて、最終的にはホテルのロビーにあるソファーに毛布を持っていって寝ました。

 また別のときは、風呂場にスペースがあったので、脱衣所で寝ました。そうしたら、そいつがトイレに起きてきて、足を踏まれてまた大変……って、コントみたいなことが起きてしまいました。



泊まりのゴルフもいいのですが、相部屋は結構きついんですよね...

 ゆえに今は、誰とゴルフに行こうが、シングルか、シングルユースの部屋でお願いしています。それでもね、慣れない硬いベッドや、エアコンの調整がうまくいかないなど、宿泊先では困難が多いです。

 あと、泊まりのゴルフは、夜中まで飲んだりもしますから、睡眠時間が減ります。しかも、環境に馴染めず、眠れないことが多いです。だから、泊まりのゴルフの2~3日は、思い切り疲労するように、遊びまくります。

 それで、家に戻ってきたら、丸2日は外回りの仕事は入れない。家でデスクワークのみをして、身体の調整を図るのです。

 ゴルフって、1日100回ほどボールを打つだけですよね。それも、長いクラブを使うのは半分以下。それで疲れるのだから、本当に不思議です。

 プロゴルファーは、さらにいろいろなことを考えて神経を使って、とんでもないプレッシャーにも立ち向かわなければなりません。

 ほんと、アマチュアゴルファーで、ゴルフを”遊び”と捉えていて、よかったと思いました。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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