【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】欧州サッカーの新たな潮流(前編) ワールドクラスのフットボールが、大きな変化の波に襲われている。 今シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)準決勝第1戦でリバプールがローマに5-2と大勝し…
【サイモン・クーパーのフットボール・オンライン】欧州サッカーの新たな潮流(前編)
ワールドクラスのフットボールが、大きな変化の波に襲われている。
今シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)準決勝第1戦でリバプールがローマに5-2と大勝した試合は、その事実を裏づけるものだ。フットボールは新たな戦術の時代に入りつつある。攻撃陣のプレスが非常に速くなり、「ストーミング(嵐のような急襲)」とでも呼ぶべきものになった。
ここ最近、重要な試合で多くのゴールが入るケースが目立つのは、このためだ。同時に、ジョゼ・モウリーニョのような監督が、いまひとつさえない理由でもある(この点は後に詳しく触れる)。
準決勝では2戦合計7対6の乱打戦でローマを下したリバプール photo by AFP/AFLO
ストーミングを明らかに実践しているのは、リバプールだけではない。ボールを失った瞬間から相手ディフェンスにプレスをかけ、敵のゴールに近い位置でボールを奪取しようとする「ゲーゲンプレッシング」(ドイツ人はこう呼ぶ)は、広がる一方だ。
「ゲーゲンプレッシングほど、効果的に試合を左右する戦術はない」と、リバプールのドイツ人監督ユルゲン・クロップはよく言う。ストーミングがしっかり機能すれば、大量得点につながる可能性がある。
ワールドクラスのチーム同士の試合でも、このトレンドははっきりしている。2014年のワールドカップ準決勝でドイツがブラジルから7点を奪ったときは、1試合限りのことだろうと思われた。だがこの試合は、やがて顕著になるトレンドの前兆が一気に噴き出したものだった。
実際、これ以降、ゴール数の多い試合が目立つようになる。ここ2シーズンのCLのラウンド16以降で、多くのゴールが入った試合を挙げてみる。