水谷隼 Photo:Itaru Chiba


 2008年広州大会(中国)から5大会連続で獲得してきた日本のメダルが途絶えた。5月4日に行われた「世界卓球2018スウェーデン(団体戦)」<4月29~5月6日/ハルムスタッド>男子決勝トーナメントの準々決勝で、日本男子代表チームは韓国と対戦。張本智和(JOCエリートアカデミー)、水谷隼、松平健太(ともに木下グループ)というメンバーで臨み、2番手の水谷が勝利したものの、ゲームカウント1-3で敗れベスト8に終わった。




 この結果を重く受け止めるチーム最年長の水谷は試合直後、「2008年からずっとメダルを獲得してきて、優勝を狙った今回、メダルすら獲得できなかったことは皆さんに申し訳ない」とうつむき、1番手の張本と3番手の松平が負けて1-2の韓国リードで回ってきた自分の出番をこう振り返った。

「自分が勝って(5番手の)張本に繋げば勝ってくれると思ったが、繋げなくて本当に申し訳ない。相手が気持ちで向かってきて、自分は受け身になってしまった。最初から強気で攻めていけばもっと相手にプレッシャーをかけられたと思う。自分がもっと強くなっていく必要がある」

 世界卓球や五輪など大舞台での団体戦は百戦錬磨の水谷でも今回、エースとしてのプレッシャーは相当なものだったようだ。とりわけ前回2016年のクアラルンプール大会で39年ぶりの銀メダルを手にしているだけに、今大会は決勝進出が当たり前という空気も背負っていた。

 その点について倉嶋洋介監督も、「最近はずっとメダルを獲ってきていて、それが当たり前のようになってきていた。だが相手の勢いなどが噛み合ったこともあり(実際の結果は)ズレてしまう」と指摘し、「打倒中国を果たしたい気持ちはあるが、そこまで突き抜けるか抜けないかのところにいる」と話している。




水谷隼 Photo:Itaru Chiba


 一方、シニア団体初出場でエース起用も経験した弱冠14歳の張本は「自分が1番で流れを作る予定だったけど、ゲームオールで負けてしまって申し訳ない。悔しい」と唇を噛み締め、「世界卓球の団体戦で日本は(5大会連続)メダルを獲っていたのに、自分が入ってメダルを獲れないのはイヤだった。それが現実になってしまった。自分の実力が足りないと改めて思った」と肩を落とした。

 また、3番手の松平も「勝てる試合だったと思う。大事な3番で落としてしまって申し訳ない。競った場面で単調になってしまい、思い切り行けなかったところがいくつかあった」と後悔の念を口にしている。ちなみに松平は相手選手のチャン ジウンに対し、約1年前の対戦では1-4で勝利していた。

 男子チームのオーダーに関しては大会を通して、倉嶋監督の悩みどころだったことは間違いない。それというのも世界卓球団体での結果と2020年東京五輪を見据えた采配の両方を考える必要があったからだ。鍵となったのは成長株の張本にどんな経験を積ませるか。東京五輪で日本が悲願の金メダルを手にできるかどうかは張本の成長にかかっている。そのことは誰もが認めるところだろう。

 さまざまな事情を踏まえ「オーダーはベストだったと思う。これで負けたら仕方がない。今までの対戦成績や戦い方を総合して決断した」と倉嶋監督。「この結果を真摯に受け止めて東京五輪に向け強化していきたい」と締めくくった。

(文=高樹ミナ)