熱戦の続く「世界卓球2018スウェーデン(団体戦)」<4月29 ~5月6日/ハルムスタッド>が5月1日、大会3日目を終え、女子の予選グループリーグが終了した。グループBの日本は初戦から怒とうの5連勝。しかも1ゲームも落とさない"完封"勝利で予選1位通過を決め、3日から始まる決勝トーナメントの準々決勝へ駒を進めた。




 予選グループリーグを振り返ると「圧勝」という言葉しか見つからない。格の違いと言ってしまえばそれまでだが、世界卓球のような大舞台ではたとえ格下が相手でも何が起こるかわからない。その中にあって一つの取りこぼしなく予選グループリーグを終えた日本女子代表チームは「勝って当たり前」の期待に見事に応えた。

 予選グループリーグを振り返ってみると、5戦中4戦で1番手起用された伊藤美誠(スターツSC)の役割は大きかった。「1番手が好き」と言う強心臓の17歳は注目が大きければ大きいほど力を発揮するタイプ。采配を振るう女子代表チームの馬場美香監督にとっても頼もしい存在で、緊張して然りの先頭でも毎戦しっかり得点を挙げた。

世界卓球2018

 このいい流れを引き継ぎ、さらにチームを勢いづけるのはキャプテン・石川佳純(全農)の役目だった。5戦中3戦で2番手、あとの2戦は3番手起用され、いずれも危なげない試合運びで全勝。石川の武器であるフォアハンドに加え、攻撃力をつけたバックハンドでの得点も随所に光った。また、キャプテンとしても10代の若いメンバーを盛り立てる姿は印象的で、試合後のインタビューでは伊藤や世界卓球団体戦初出場の平野美宇(日本生命)、早田ひな(日本生命/希望が丘高校)らに労いや賛辞の言葉を忘れなかった。

長崎美柚 (左)、早田ひな(右)Photo:Itaru Chiba


 平野と早田は、早田が2戦目のエジプト戦で2番手起用されたのみで、試合序盤は団体戦初出場の硬さも見られたが、最終的にはストレート勝ち。チームのグループ1位通過に貢献した。また、どの試合でもベンチからとびきり大きな声でチームメートに声援を送っているのも彼女だ。

 平野は4戦に出場し、最終戦のアメリカだけ2番手、あとの3戦は3番手でしっかりチームの勝利を締めくくった。今大会はこの平野の調子が鍵と言える。最近の課題として強化してきたフォアハンドもよく振れており、試合ごとに調子を上げている印象だ。1日に行われたオーストリア戦では試合前のラケットチェックを忘れ、試合中にイエローカード。試合後にラケットをチェックされ一瞬ひやりとする場面もあったが事なきを得た。そんなハプニングもありながら、平野も初出場の世界卓球団体戦の雰囲気にすっかり慣れた様子だ。

 ただ一人、予選グループリーグを通してベンチを温めた15歳の長崎美柚(JOCエリートアカデミー)だが、その理由について馬場監督は、予選グループリーグであまりにも試合数が少なく、選手たちのコンディションも確認した上で最後までベストメンバーで行く決断に至ったことを明かし、「競ったうえでの1位通過なら長崎を使いたいとずっと思っていた」と話している。

(文=高樹ミナ)